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Happy Hacking Cradle試用レビュー

 標準でGrafftiによる入力がサポートされているPalmシリーズだが、やはり、キーボードから高速にテキストを入力したいという要望は多いようである。
 実際、いろいろと製品が出ているが、Happy Hacking Keyboard(以下HHK)で有名なPFUから登場したのが、PS/2キーボードをPalmシリーズに接続するHappy Hacking Cradle(以下HHC)である。今回は、このHHCのレポートをお届けする。


■ Palm用キーボードにもいろいろあるが……

Happy Hacking Cradle
PFU Happy Hacking Cradle
オープンプライス(同社直販サイトでは5,900円)

 Palmシリーズで利用できるキーボードは、国内で入手可能なものだけで6種類ある。

(1) LandWare GoType!
(2) PiloKey+Apple Newton Keyboard
(3) TechParts PDA Keyboard Pro
(4) しなの富士通 SH-Keys
(5) オカヤシステムウェア Thumb Type
(6) PFU Happy Hacking Cradle+PS/2キーボード

 このうち、いわゆるフルキーボードになっているは、(1)、(2)、(3)と(6)である。(4)は、「片手キーボード」と呼ばれ、ローマ字入力を専用の変換辞書と組み合わせて漢字変換する特殊なキーボードであり、(5)は、Graffitiエリアに貼り付けて使うもの(本連載1999/10/28の回参照)である。

 このうち今回ご紹介するのが、PFUのHappy Hacking Cradleである。評価用に用意したのは、もちろん、同社のHappy Hacking Keyboard Lite(以下HHK Lite)。Happy Hacking Keyboardでなく、HHK Liteの方を選んだのは、HHCのページにある動作時間(HHCは単三電池を2本使用する)500時間というスペックがHHK Liteでの実測値だったからで、実際HHKよりもHHK Liteのほうが消費電力が小さいようである。

 HHCは、背面部分が、Palm Pilotの底部と同じ構造になっており、ここに、Pilot ModemやSnap Connect、あるいはHotSyncケーブルなどを接続することができる。本体側面には、Keyboardを使うか、背面のシリアル端子を使うかの切り替えスイッチ(電源スイッチ兼用)があり、これをオンにすると、本体上部にあるLEDが点滅(といっても時々点灯するだけ)する。
 HHCとキーボードはPS/2コネクタケーブルで接続する。仕様として5V/50mA以下のキーボードのみ接続できることになっている。

Happy Hacking Cradle Happy Hacking Cradle
HHCを上面から見たところ
HHCにWorkpadを装着した状態
Happy Hacking Cradle Happy Hacking Cradle
フタを開け、側面から見たところ。右側にあるのがPS/2タイプキーボードコネクタ
背面部分。写真左側は、Palm Pilotと同じ形状になっており、Palm用のオプションを装着できる



■ 使うにはドライバを組み込むだけ

 HHCには、日本語対応の109キーボード(Windowsキーなどのあるやつ)や、いわゆるDOS/Vキーボードである106キーボードと、英語版101キーボード(PC/ATのキーボード)や、104キーボード(101にWindowsキーなどが付いたもの)が利用できる。ドライバには、106/109用ドライバと101/104用ドライバの2種があり、キーボードに合わせてドライバをインストールする(両方インストールしておくことも可能)。なお、原稿執筆時点では、最新版のドライバV1.21がPFUのサイトにあり、今回は、それを使ってみた。

 ドライバを組み込むと、HHC Driverアイコンがアプリケーションに表示されるので、これを起動する。ここで、Startボタンを押せば、HHCからの入力が可能になる(その前にHHCの電源がオンになっている必要はあるが)。なお、HHCをオフにする場合、HHC側の電源をオフにすれば、自動的にドライバもオフになるようである(HHC DriverがオンになっているとHotSyncなどができない)。

 アルファベットなどは普通に入力でき、カナ変換のオンオフやメニューショートカットなども、ALTキーやWindowsキー(101キーボードなどではCtrlキー)を使って実行できる。
 具体的には、日本語を入力する時のかな漢変換のオンオフ(Graffitiエリアの「日/英」ボタン)が“Windows+スペース”で、ひらがなとカタカナの変換(同「あ<->ア」)が“Alt+x”とキーボードから入力可能で、スペースキーで変換が行なえる。

 使い勝手からすると、デスクトップマシンで漢字の入力を行なうのとあまり変わりがなく、入力に関してはそれほどストレスを感じない。また、Caps-Lockキーで、大文字の入力ができるなど、便利な点もある(Grafftiでは、シフト2回でCaps Lock状態になるが、意外に面倒)。



■ 使い心地は?

 実際にHHCとキーボードを使って、メモやアドレス、予定表などで入力を行なってみた。入力はかなりスムースに行なえ、単文節変換のつもりでキーを叩いていけば、高速な入力が可能だ。また、他のキーボードと違って、HotSyncケーブルやSnap Connectなどの他のシリアル利用機器の接続が行なえる点も便利だ。たとえば、机の上に置き、背面にHotSyncケーブルをつないで、いわゆるCradleとしても、キーボードアダプタとしても使えるとか、持ち歩く際にHHCの背面にSnapConnectを付けておいて、メールをキーボードから入力するなどである。

 欲をいえば、Functionキーなどにアプリケーションを登録して、起動できるとさらに便利だと思うのだが(GoTypeでは可能)。また、PgUpやPgDn、Home、Endといったキーにも機能を割り当ててあると良かったと思う。

 なお、今回テストした「WorkPad 30J+HHC+HHK Lite」という環境では、付属ドキュメントにあるキーの組み合わせのうち、“ALT+↓”、“ALT+↑”は、上下スクロールボタンと同じということだったが、メモ帳ではスクロールができなかった。画面右下に上下に三角マークが表示される場合(たとえば、アドレス入力中)には、このキーの組み合わせで、スクロールが可能だった。このあたり、なんとか対応していただきたいものである。今後のバージョンアップに期待したい。

 なお、このHHCは、コネクタ部分の仕様が違うPalm V系(WorkPad c3、PalmV/Vxなど)やVisorなどとは接続することができない。これは純粋に物理的な形状の問題で、市販の変換コネクタ(The Brigeなど)を使い、PalmVなどの背面に1cm程度の厚さの板を挟んでやることで、実際には問題なく利用できた(背面にものを挟まないとPalm VがThe Bridgeのみで支えられた状態になり、画面にタップするとコネクタ部分に力が掛かりちょっと危険)。

Happy Hacking Cradle Happy Hacking Cradle Happy Hacking Cradle
The Bridgeを使ってWorkPad c3を装着
実際には、後ろに詰め物がしてある。こうしないとWorkpad c3は宙ぶらりんの状態になってしまう
今回評価に使ったHHKeyboard Lite

写真 p01.jpg HHCを上面から見たところ p02.jpg HHCにWorkpadを装着した状態。 p03.jpg フタを開け、側面から見たところ。右側にあるのがPS/2タイプキーボードコネクタ。 p04.jpg 背面部分。写真左側は、Palm Pilotと同じ形状になっており、Palm用のオプションを装着できる。 p05.jpg The Bridgeを使ってWorkPad c3を装着。 p06.jpg 実際には、後ろに詰め物がしてある。こうしないとWorkpad c3は宙ぶらりんの状態になってしまう。 p07.jpg 今回評価に使ったHHKeyboard Lite

◎関連URL
Happy Hacking Cradle製品情報
http://www.pfu.co.jp/hhcradle/
The Bridge製品情報
http://www.midwestpcbdesigns.com/BridgeV.htm TechParts製品情報
http://www.tecparts.ab.psiweb.com/
Landware製品情報
http://www.landware.com/
PiloKey製品情報(イケショップ)
http://www.ikeshop.co.jp/plaza/index.html
SH-Keys製品情報
http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/ft/whats_new/sh-keys_c3.html
Thumb Type製品情報
http://www.osw.co.jp/products/mobile/thumb.htm

Palm 気になる話:Think Outside社 Stowaway

 実は、上に挙げた以外にもPalm用のキーボードがある。それがThink Outside社のStowawayである。これは、コンパクトに折り畳むことができるフルサイズキーボードで、Palm/Pilotのほか、Visor用やWindows CE Palm-Size PC用もあるという。出荷は、2000年の早いうちということで、まだ、出荷はされていないようである。このThink Outsideは、米国で開かれたCESに出展しており、今回、CESの取材で実物を見ることができた。畳んだ大きさは、Palm IIIよりも一回り大きく、のばすと、ちゃんとしたフルサイズキーボードになる。

 接続部分は、針金でできた足のようなものを内部から引き出して、そのうえにPalmを立てかけるといった感じ。
 開いた状態では、机の上などの平らなところでは普通に使えるが、上下方向の力で簡単にたわんでしまうので、膝の上において使うといった感じではなかった(もっとも、製品ではないので実際のところは不明だが)。

 CESでは、コンピュータ関連のブースに以外とPalm対応ものがあり、たとえば、Palm用の指紋認識装置やGPSアンテナなんてものもあった。このほか、DaVinceのRoyalや元REXの発売元(現在はXircomから販売中)のFlanklin、それからOregon Scientific(OSProなどのPDAを製品化。国内では、一時、ここの電波時計がかなり出回ったのでご存じの方もあるかも)が固まっており、その近くには3Comのブースもあって、なんだが、PDA広場みたいな感じのところもあった。

 去年の3月に米国にいったときよりも、Palmシリーズを持ち歩いている人を多く見かけたし、飛行機の機内誌の通販ページには、Palm Vやオプションのケースなどもあり、なにか急速にPalmシリーズが一般化しつつあるような印象を受けた。

左にあるのがStowawayを畳んだもの
接続部分。上にみえる部分をコネクタの下から引き出して台にする
キーボードの配置。畳まれた状態では、キーボードは4つの部分に分かれており、両側の赤い部分を中心に向かって動かすとキーボードが合体する。
パームサイズやハンドヘルドサイズのPDAが並ぶOregon Scientificのブース。右上のOSarisは、EPOCを採用している。OSProは、かなりPalmに似ている。下段にあるCard Size Organizerは、REX似だが、PC接続アダプタとセットになっており、PCカードにはなっていない。どれも英語版だが、日本では販売しないのだろうか?

◎関連URL
ThinkOutside社のホームページ(英文)
http://www.thinkoutside.com/product.html
Oregon Scientific社のホームページ(英文)
http://www.oregonscientific.com/gettingorganized.html#pda
Royal社のホームページ(英文)
http://www.royal.com/davinci/index.html Franklin社のホームページ(英文)
http://www.franklin.com/
CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/

WorkPad製品情報(日本IBM)
http://www.ibm.co.jp/pc/workpad/index.html
Palm Computingのホームページ
http://www.palm-japan.com/home.html

(塩田紳ニ)
2000/01/13


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