さて、前回予告したように、今回は標準で内蔵されているアプリケーションについて解説する。その前に簡単にボタン部分を解説しておこう。
WorkPadには、本体下部にアイコンの描かれたボタンが4つと上下スクロールボタンがある(写真上)。また、液晶部分の下(ボタンの上のあたり)は、「グラフィティ(Graffiti)エリア」と呼ばれ、ここもタッチパネルのボタンが置かれている。WorkPadは日本語化されているためにGraffitiエリアにも日本語入力用のタッチボタンがある。そのため、Graffiti文字を書き込むマスが、英語版よりも小さくなっている。手元にPalmPilot Professionalがあったので、同時に写真を撮っておいた。
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英語版のGraffitiエリア。日本語入力用のタッチボタンがないぶん、Graffiti文字入力エリアが広くなっている |
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4つの物理的なボタンは、左から、「予定表」(英語版での表記は、Date Book)、「アドレス」(同Address)、「To Do」(同To Do List)、「メモ帳」(同Memo Pad)となっている。このボタンは、電源がオフの状態でも有効で、ボタンを押せば電源が入り、対応したアプリケーションが起動する。
液晶の下部、Graffitiエリアにあるボタンは、登録アプリケーションが表示される「ホーム」ボタン(左上)、アプリケーションのメニューを開く「メニュー」ボタン(左下)、ソフトウェアキーボードを表示させる「キーボード」ボタン(右上)、検索を行なう「検索」ボタン(右下)がある。
■ アプリケーション(ホーム)
上記4つ以外のアプリケーションを起動するには、「ホームボタン」をタップして、アプリケーション起動画面(実際には、アプリケーションという名前のソフト)を表示させ(画面1)、そこから、アイコンを選択して起動する。
この画面では、登録されているアプリケーションをカテゴリ分けして表示することができる。画面右上に下向きの三角マークと「すべて」などのカテゴリ名が表示されているはずだ。ここで、三角マークをクリックすると、リストボックスが開き、登録されているカテゴリが表示される(画面2)。ここで、カテゴリを選択すれば、該当のアプリケーションアイコンが表示されるわけだ。
なお、このカテゴリ選択のしくみは、Palmアプリケーションでは汎用的に使われているもので、カテゴリ別表示機能を持つものは、かならず、この形式でカテゴリの選択ができる。また、その中にはかならず「すべて」(英語版ではALL)と、「カテゴリの編集」(同Edit Categories...)という項目が入る。
また、各画面でメニューを開くには、「メニュー」ボタン(左下)を押す。すると、画面上部にメニューバーと開いたメニューが表示される。この操作もPalmシリーズでは共通だ。
なお、このメニューの右側にスラッシュのような記号とアルファベットが表示されるが、これは、Windowsなどでいう「ショートカット」である。Graffiti文字入力エリアで、ペンを左下から右上に動かす(つまりスラッシュを下から書く)と、ショートカット受付状態になり、続けてアルファベットを書くことで、メニューなどの機能をダイレクトに実行できるのである。
これは慣れてくると、メニューを開いて選択するよりも、ペンの移動量が少ないので、頻繁に使うことになると思う。特にコピー、カット、ペーストは、WindowsやMacintoshと同じく“C”、“X”、“P”の3文字が使われるので、覚えやすいだろう。
■ 環境設定
『環境設定』は、WorkPadの基本的な設定を行なうもので、「Serial/IR」、「デジタイザ」、「ネットワーク」、「ボタン」、「モデム」、「ユーザー辞書」、「一般」、「所有者」、「書式」の8項目ある(画面3)。 このうち、最初に設定する必要があるのは、「一般」、「書式」あたり。一般設定の項目には、「時刻」や「日付」、オートオフまでの時間、ボリューム(カテゴリ別)、赤外線通信待ち受けの有無があり、「書式」では、時刻や日付のフォーマット、週の始まりの曜日などを選ぶ。
「ボタン」は、4つのハードウェアボタンと外部モデムとクレードルに付いているシンクボタンを押したときに実際に起動されるアプリケーションを設定するためのもの。最初のうちは、触らなくてよいはずだ。なお、ここで、ペンをグラフティ領域の下から液晶の上端まで動かすジェスチャで動き出す機能も設定できる。標準では、グラフティのヘルプになっており、最初のうちは、これを使ってヘルプを出すといいだろう(ここには、ソフトキーボードの表示やバックライト点灯などの機能を定義することができる)。
また、「所有者」の項目は、名前や住所などを自由に書き込む欄である。特に書き込む内容に制限は、ないが、パスワードを使ってロックしたときに、ここの項目が表示されるので、自分のものだと確実にわかるような内容にしておいたほうがいいだろう。
■ メモ帳
メモ帳は、いくつものメモを登録することができるもの。メモ帳を起動すると、登録されているメモの一覧が表示される(画面4)。ここで前述のカテゴリ機能を使って、特定のカテゴリに属するメモのみを表示させることも可能だ。
メモ帳で表示されるメモの一覧画面は、Palmアプリケーションでは典型的といえるユーザーインターフェイス。「アプリケーションを開いて一覧表示 → 編集するデータを一覧から選択する」という操作方法は、今後ご紹介するさまざまなアプリケーションで採用されている。
メモを開くと、画面には、行間に点線が引かれ、キャレット(文字の挿入位置を示すカーソル)が点滅する(画面5)。最初の画面で一覧に表示されていた文字は、この編集画面で最初の行に置かれている文字列である。普通はここにタイトルなどを書いておくと、リストからメモが見つけやすくなる。
メモを書くには、単にGraffitiやソフトキーボードを使って、文字を入れていくだけでよい。ちょっとした記録や、時刻表、コード表などいった簡単な情報を入れておくという用途にも使える。
カテゴリ分けと1行目がタイトルになるという以外、特筆すべき機能はないが、それゆえ、いろいろな用途に利用できるものでもある。なお、メモボタンは、一度押してメモを起動したあとに再度押すと、こんどはカテゴリが順次切り替わって表示される。このため、頻繁に参照するメモは、専用のカテゴリを作って登録しておくと便利だ。
Palm ちょっといいもの 「パイロット ぺんとぴあ」 |
パイロットのぺんとぴあシリーズにWorkPad/PalmIII用が登場。一部販売店では、スケルトンの5色セットまである。この「ぺんとぴあ」だが、先端部分はバネが入っていて弾力があるし(クッション機構)、反対側はゴムチップで、こちらもメニューやボタンを押すなんて用途に利用できる。また、ゴムチップ側はキャップになっていて、これを外すと、ボールペン、反対側を外すとリセット用ピンが出てくる。WorkPad/PalmIIIのほか、旧機種のPilotやPalm Pilotでも使える。これら旧機種付属のペンは、単なるプラスチック成形のペンだったので、リセットピン内蔵のペンが使えるとはありがたい(Palm Pilotのペンフォルダには、Palm IIIのペンは入らないこともないが、きつすぎて取れなくなることがある)。
リセットピンは、Palm III/Workpad標準のペンのようにプラスチックではなく、金属製。間違って折ることもない(実はWorkPadのペンでは、リセットピンを購入早々曲げてしまった……)。このリセットピンは、根本が四角になっていて、ゴムチップ付きのキャップを使って回して外すこともできる(このあたりの作りが泣かせる)。これはボールペンリフィルの交換用で、もちろん交換用リフィルもパイロットから発売されている。
なお、WorkPad c3/Palm V用には別に「ぺんとぴあ for c3」が発売されている。こちらはスケルトンはまだないようだが、3Comの記者会見でスケルトンの「ぺんとぴあ for c3」が配られたりしているので、いずれ発売されるのではないだろうか。
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◎関連URL
■WorkPad製品情報(日本IBM)
http://www.ibm.co.jp/pc/workpad/index.html
■PalmComputingのホームページ
http://www.palm-japan.com/home.html
(塩田紳ニ)
1999/10/14
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