■ (猫の)上海の歩き方
突然だが、マムといっしょに上海に行く機会があった。「猫が中国に行ける訳ない」って? そう堅いことは言わないで欲しい。
捕まえられて食べられてしまうのではないかと思いつつも、狭い部屋に居続けることができない性のオイラとしては、犬はともかく猫を食べるなんて聞いたことがないことから、上海市内の探検に出かけた。上海市内は、最先端のビルやマンション、ホテルが建ち並び、人も溢れかえっていて超エキサイティング。ビルや高速道路等の建設ラッシュで、数年後どのように変わっているか楽しみだ。
ただし、猫にとって、上海の道路を歩く――特に横断するには、非常に高度なテクニックと強い精神力が要求される。と言うのは、上海の道路は、
・横断歩道らしきものがほとんど見当たらない。
・ほとんどの歩行者が信号を守らない。
・アメリカの多くの州と同じく右折は常に可能。
・歩行者優先との意識が低い。
・歩道周辺の工事が多く、道路を歩かなければならない。
・自動車・バイク・自転車・歩行者が入り乱れて、道路を行き交う。
と言う状況なのだ。人間以上に猫は、自動車・バイク・自転車・歩行者の間を縫うように歩かなければ道路を渡れない。ところが、オイラ達、猫は自動車が向かってくると、足がすくんで動けなくなる性質があるのだから上海の道路を渡るのに、いかに強い精神力と周囲に気をつけながら華麗に歩く技術が必要か、おわかりいただけるだろうか。
さて、少し出歩いてみた限りでは、同輩だけでなく犬にも会えなかった。ここには、東京のど真中と違って、高級ショッピング街の裏通りには人々が住んでいるにもかかわらずだ。
同輩は見かけなかったが、いたるところでセルラーホン(携帯電話)を利用している人を見かけた。さすがに、日本のように女子高生が利用している場面には出くわさなかったが、ビジネスマン、OL、タクシーの運転手や労働者風の人達も使っている。
しかし、自転車やバイクに乗りながら電話しているのにはたまげた。自動車・バイク・自転車・人が入り乱れて通行している中で、片手に携帯電話、片手にバイクというカッコウで運転するとは、超絶技巧もの。日本でハンズフリーさえも問題視されているのとは、大違いだ。また、アメリカと同様、多くの人がポケットベルを腰につけて歩いていた。セルラーとポケットベルを併用しているようだ。
■ きわめてアメリカ的な上海
このような光景は上海だけかと思いきや、上海から列車で1時間ほど離れた蘇州でも似たようなものだった。蘇州へ行く列車の中でもセルラーホンを利用している人がいた。駅と駅の間の田園地帯を除けば、セルラーホンのカバーエリアになっているようだ。
上海周辺のセルラーホンのインフラは、ヨーロッパのGSMが中心で、移動機は圧倒的にNOKIA製が多く、モトローラやエリクソン、そして何故かSONY製等を見かけた。また、日本のIDOなどが提供しているcdmaOneと同じCDMAの看板もある。端末価格は、エリクソンの最新機種が2000元(約3,0000円)程度。物価スライドさせると100,000円近くすることを考えると、驚異的な普及だ。
セルラーホンがこれだけ流行っている一方で、モバイルコンピューティングをしている人は見かけない。上海にいる期間が短かかったこともあるかもしれないが、列車の中やホテルのロビーなどでも、あまりノートPCを利用しているのを見かけなかったことから、モバイルコンピューティングの普及はこれからという感じだ。だが、デジタルセルラーの普及状況を考えると、数年後のモバイルコンピューティングの普及が楽しみだ。
最後にオイラが上海に行って感じたことを、もう一つ付け加えておこう。それは、いろいろな点で極めてアメリカ的だと言うことだ。郊外に出れば延々と穀草地帯が広がっており、テキサスの風景を彷彿させる。また、高級ホテルのブッフェやレストランで繰り広げられているヤングエグゼクティブとおぼしき連中の食事風景は、オイラの故郷であるシリコンバレーのそれと全く変わらない。食事をしながらビジネスの話をしている。繰返しになるが、不況と言われながら、町には熱気が溢れており、数年後の発展状況が楽しみだ。
(Felix Mobile)
2000/01/18
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