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PacketOne64の実力やいかに?

■ PacketOneのもうひとつの魅力

 1月7日、DDI-セルラーと日本移動通信(IDO)のデジタル携帯電話「cdmaOne」でサービスが開始された「PacketOne」は、パケット通信によるコンテンツサービスとデータ通信サービスを提供している。先週の「非同期通信レポートmobile第3回『PacketOne 速報レポート』」では、主にコンテンツサービスの使い心地やサービス内容などについて紹介した。
 今回はPacketOneで提供されるサービスの内、もうひとつの注目株である64kbpsパケット通信サービス「PacketOne64」について紹介しよう。



■ PacketOne64の位置付け

7日発売の2機種
発売中の2機種(左からC301T、C302H)

 cdmaOneのパケット通信サービス「PacketOne」は、先週も紹介したように、2つのサービスから構成されている。ひとつはPacketOne対応端末を購入すると利用できる標準サービス、もうひとつが月額600円の使用料が必要なオプションサービス「PacketOne64」だ。標準サービスではPacketOne対応端末上でのコンテンツサービスの利用、最大14.4kbpsでのパケット通信によるデータ通信が利用できる。これに対し、PacketOne64では携帯電話としては最速となる最大64kbpsでのパケット通信によるデータ通信サービスが利用できる。この最大64kbpsという通信速度は下り方向のみで、上り方向は最大14.4kbpsとなっている。また、64kbpsパケット通信サービスは14.4kbpsの回線を5本分束ねて実現しており、電波状態などに応じて通信速度が変化するベストエフォート型で提供される。

 ちなみに、パケット通信料はコンテンツサービス利用時が1パケット(128バイト)あたり0.27円であるのに対し、データ通信利用時は0.1円となっている。この料金体系はDDI-セルラー、IDOとも共通となっている。ちなみに、PacketOne64の月額使用料はDDI-セルラーが2000年3月末まで無料、IDOは2000年2月まで無料となっている。また、DDI-セルラーとIDOではPacketOneのヘビーユーザーのための料金割引プランとして、DDI-セルラーが「PacketOneミドルパック」「同スーパーパック」、IDOが「PacketOneバリューL」をそれぞれ提供している。

 同様のパケット通信サービスは、NTTドコモでも「DoPa」という名称で提供されている。昨年末、主力モデルの208シリーズで、パケット通信がサポートされたのも記憶に新しいところだ。NTTドコモのDoPaには、パケット通信のみを利用するシングルサービス、音声データ通信とパケット通信の両方が利用できるデュアルサービスがあり、通信速度も9.6kbpsと28.8kbpsの2種類がある。これらの内、PacketOneの標準サービスと対応するのがデュアルサービスの9.6kbps、PacketOne64と対応するのがデュアルサービスの28.8kbpsということになる。料金プランも複数用意されているが、最も標準的なものを抜き出し、PacketOneとの比較表をまとめてみた。

事業者名 サービス名 通信速度 月額使用料 パケット通信料
DDI-セルラー/IDO PacketOne標準サービス 14.4kbps 0円 0.1円
NTTドコモ DoPaデュアルサービス 9.6kbps 0円 0.4円
DDI-セルラー/IDO PacketOne64 64kbps 600円 0.1円
NTTドコモ DoPaデュアルサービス 28.8kbps 2000円
(4000パケット分を含む)
0.2円

 この表を見てもわかるように、今回のPacketOneはかなり戦略的な料金設定がされている。実は、筆者はテストをする関係上、各社の携帯電話やPHSを契約し、多数のサービスを提供するNTTドコモに至ってはファミリー割引の恩恵をフルに受けられるだけの契約を保持している。しかし、DoPaの28.8kbpsサービスについては、どうしてもコスト的に見合わないため、契約を見送ってきた経緯がある。

 昨年、PacketOneの概要が少しずつ伝わってくるとともに、「PacketOneの64kbpsパケット通信サービスもDoPa 28.8kbpsサービスのように、高価な企業向けサービスになるのではないか」と危惧していたのだが、とりあえず一般的なユーザーでも手の届く範囲に収まっていると言えそうだ。



■ PacketOne64に必要なもの

PacketOne対応
C302H
(日立製)

 では、PacketOne64を利用するには、具体的にどんなものが必要なのだろうか。まず、当たり前のことだがPacketOne対応端末、つまり回線が必要になる。

 DDI-セルラーとIDOはすでにC301T(東芝製)、C302H(日立製)の2機種を出荷しており、今月中にもC303CA(カシオ製)とC304SA(三洋電機製)の2機種を発売し、2月にはC305S(ソニー製)も登場する予定だ。これらの全機種でPacketOne64の64kbpsパケット通信サービスを利用することができる。
 ただし、前述のように、DDI-セルラーやIDOとPacketOne64の契約をしておく必要がある。新規契約や機種変更の際に、忘れずに申し込んでおこう。また、端末側もPacketOne64を利用するために、若干、設定を変更する必要がある。


C302Hではパケット通信と回線交換の切り替え、パケット通信時の速度を切り替える必要がある

 次に必要になるのがPacketOne対応のデータ通信カードだ。DDI-セルラーとIDOの両社から東芝製のPCMCIA TypeIIのカードが発売されている。価格は従来、発売されていたcdmaOneデータ通信カードとほぼ同じ24,000円(DDI-セルラー)、24,800円(IDO)となっている。純正品ということを考えれば、仕方ないのかもしれないが、cdmaOne全国サービス開始のとき同様、かなり「高い」と感じてしまった。PDC用のデータ通信カードはパケット通信に対応したものでも1万円台で余裕で購入できる。いくら通信方式が違うとは言え、今どき、この価格設定は良心的とは言えないだろう。

IDO PacketOneカード(C081NDS)、24,800円、Windows 98/95パソコン、Windows CE端末対応、64/14.4kbpsパケット通信、14.4kbpsデータ通信、FAX通信対応

 良心的と言えない理由はもうひとつある。cdmaOne全国サービス開始時のレポートでも触れたことだが、相変わらずWindows 98/95用のモデム設定ファイルがないのだ。PacketOneデータ通信カードは、Windows 98/95及びWindows CEに対応しているが、Windows 98/95環境では「標準PCMCIAカードモデム」としてインストールして利用しなければならない。Windows CE環境はカードを装着すれば、そのまま認識するので、問題なく使うことができる。

 DDI-セルラーとIDOでは「専用のドライバを必要とせず、どんな環境でもすぐに使えます」と謳っている。しかし、OS側が設定ファイルの利用を前提としている以上、これは逃げ口上にしか聞こえない。本当にユーザーの環境を考えるなら、OSに標準でドライバが用意される環境を作るべきだ。

 来月発売される予定のWindows 2000にドライバを標準で搭載するという方法も考えられたはずだ。ちなみに、Windows 2000 Professional RC3ではドライバがなく、標準28800bpsモデムとしてインストールするしかなかった。もし、用意しないのであれば、その分を考慮した良心的な価格設定ができるはずだ。「価格は高いわ、設定ファイルがないわ」では、あまりにもひどすぎないだろうか。厳しいようだが、現状では「設定ファイルがなければ、売りっぱなしで済むし、サポートも手間がかからない」という姿勢に見えてしまう。真剣にモバイルのニーズを開拓していこうというのであれば、こうした細かい部分もきちんと環境を整えるべきだ。

 ちなみに、PacketOneデータ通信カードはcdmaOneデータ通信カード同様、東芝の開発によるものだ。実は、東芝はDDIポケット向けに販売しているPHSデータ通信カード「IPC0004A」「IPC0001A」で、Windows 95時代からWindows 98時代へ移行するとき、Windows 98プリインストール環境では正しく動作しないというトラブルが起こしている(参照ページ)。
 もしかすると、そのことが影響し、東芝が設定ファイルを作るのをやめたのではないかと邪推したくなるくらいだ。モバイルに強い印象を持つ東芝に、そんなことはないと信じたいのだが……。

 余談になるが、筆者が持つPCMCIAデータ通信カードのうち、設定ファイルがないのはcdmaOneデータ通信カード、PacketOneデータ通信カードの2枚のみだ。NTTドコモではすべてのデータ通信カードに設定ファイルが添付されており、同社のWebサイトでは常に最新版が配布されている。このことを考えれば、やはり何らかの改善が必要になるだろう。

 さて、話を戻そう。端末とデータ通信カードの他に、もうひとつ必要なものが接続するプロバイダだ。今のところ、PacketOneで接続できるプロバイダはDIONとNEWEBの2つに限られているが、今後、@nifty、BIGLOBE、PSINet、IIJなどが順次、対応する予定となっている。DIONとNEWEBでPacketOneを利用するには、いくつかの制約がある。

 まず、DIONは「コミコミコース」「ベツベツコース」「バリバリコース」という3つのコースでPacketOneを利用することができ、いずれもパケット通信サービスのオプションを申し込む必要がある。料金は「コミコミコース」と「バリバリコース」が月額750円、「ベツベツコース」が月額1750円となっている。ちなみに、接続時のアカウントもサブドメインが若干、変更になるので注意が必要だ。

 これに対し、NEWEBは「ダイヤル2」「ダイヤル3」「ダイヤルくじら」の3つのコースで利用が可能だ。いずれのコースも追加料金は不要だが、「ダイヤル2」「ダイヤルくじら」の場合はPacketOne接続時も時間単位の課金がされるため、つなぎっぱなしでじっくり利用したいユーザーは「ダイヤル3」がおすすめだ。

 今後、PacketOneに対応するプロバイダが増えるため、それらの料金設定を見て再検討する必要はあるが、少なくとも現状ではPacketOneのために、月額で約2,000~3,000円程度の固定費が掛かる計算になる。できることなら、NTTドコモの「moperaネットサーフィン」やJ-フォンの「J-フォンアクセスインターネット」、ツーカーセルラー東京の「Internet Freeway」のように、申し込みが不要なアクセスラインのサービスも欲しいところだ。

 ちなみに、筆者は今のところ、先日のPOCKET・E Camのオンラインサインアップ時に取得したDIONの「ベツベツコース」でパケット通信サービスオプションを申し込んで利用している。この組み合わせでは、IDOに支払うPacketOne64使用料の月額600円、DIONに支払うパケットサービス利用料金の月額1,850円が固定費となる。ランニングコストは、DIONがパケット通信時の接続時間を既定の接続可能時間に含めておらず、時間課金もしないため、IDOに支払うパケット通信料のみという計算だ。



■ 気になるパフォーマンスは?

 ひと通りの環境が整ったところで、いよいよDION経由でインターネットに接続し、そのパフォーマンスを測ってみることにした。今回は比較対象として、DDIポケットのH"(エッジ)端末によるPIAFS2.1/64kbps、ISDNの64kbps同期通信モードの環境を用意した。いずれの環境もDIONのホームページエリアに接続し、FTPツールを利用して、1MBのLZHファイルとTEXTファイルを5回ずつ転送し、その平均値を割り出している。

 ちなみに、PacketOne64もPIAFS2.1/64kbpsもベストエフォート型で提供されているため、できるだけ影響の少ない時間帯を選んで接続している。ただし、通信速度は電波状態や接続環境などによって大きく違ってくるため、ここで得られた数値が絶対的なものではないことを付け加えておく。あくまでもひとつの指針として捉えていただきたい。

通信モード LZHファイル(秒) TEXTファイル(秒) 平均時間(秒)
PacketOne64 140 133 137
PIAFS2.1/64kbps 153 146 150
ISDN 64kbps同期通信 139 137 138

 この結果を見てわかることは、PacketOne64の64kbpsはISDNの64kbps同期通信モードと比べてもまったく遜色がないということだ。モバイル環境でこれだけの速度が得られるのは、非常に有効と言えるだろう。ベストエフォート型のため、常にこのパフォーマンスが保証されるわけではないが、移動中でもISDN並みの通信速度が得られるのはかなり魅力的な通信手段と言えるだろう。

 また、PIAFS2.1/64kbpsとの比較だが、PacketOne64はほぼフルに64kbpsの恩恵が受けられるのに対し、PIAFS2.1の64kbpsは元々、実効速度が58.4kbps(29.2kbps×2)であり、10%程度の差が付くのは当然と言える。ただ、体感速度にそれほど大きな差はなく、いずれの環境も快適にデータ通信を行なうことができた。

 ここで問題になってくるのがランニングコストだが、PacketOneがDoPaよりも安い料金設定をしたとは言え、計算上はまだPHSのPIAFS2.1/64kbpsの方が安上りだ。しかし、H"(エッジ)が全国で64kbpsデータ通信サービスを展開しているとは言え、携帯電話とまったく同じエリアを確保できるかと言えば、当然、そこには限界がある。また、2台目の端末を持つことを好まず、携帯電話だけで済ませたいというユーザーも多いはずだ。

 こうなってくると、もうTPOと好みで選ぶしかない。都市圏を中心に活動し、Webページのブラウズなども含め、ヘビーに使うのであればH"。郊外も含めた広いエリアを活動し、メールチェックなどを中心に利用するのであればPaacketOneというのがひとつの方向性だろうか。しかし、DoPaほどの敷居の高さはないので、とりあえず1~2カ月だけでも試しに使ってみるのも手だ。しかし、そのためには、ぜひともパケット通信料が把握できるカウンターソフトなどを提供してもらいたい。



■ PacketOneの可能性

 携帯電話・PHS事業者にとって、今やモバイルは音声通話と並ぶ稼ぎ口になっている。PacketOneが戦略的な料金設定をしているのもモバイルユーザーを強く意識しているからだ。実際に、PacketOneのコンテンツサービスやパケット通信サービス利用してみて、筆者も「これなら携帯電話でモバイルができる」と感じさせられた。PacketOneは十分それだけの実力を持っている。

 しかし、ここでcdmaOne陣営にもうひとつお願いしたいことがある。それはPacketOneを活かした利用環境の整備だ。たとえば、携帯情報端末ひとつをとっても、cdmaOne陣営は常に遅れを取っている。筆者がよくコラムで取り上げている「お手軽メール端末」で、cdmaOneをサポートしているのはシャープ製のコミュニケーションパル MT-300Cだけだ。Windows CEマシンについてもまだ数えるほどしかサポートされていない。しかも、いずれの環境も回線交換での接続のみのサポートに留まっている。

 PacketOneを活かせるのは、パソコン本体と異常に高価なデータ通信カード(24,800円)の組み合わせしかないのだ。これではモバイルユーザーへの普及も限界が見えてくるはずだ。これに対し、NTTドコモはお手軽メール端末をずらりと揃え、パケット通信についても無線機内蔵からカード型まで幅広く取り揃えている。やはり、NTTドコモへの追撃姿勢を打ち出すのであれば、この部分の充実を急いでもらいたい。

 PacketOneは今までの携帯電話のモバイル環境を大きく変える可能性を秘めている。とりあえず、インフラストラクチャは動き出した。本当に、次なるステージに進めるか否かは、それを活かす環境をどれだけ提示できるかにかかっている。今後のcdmaOne陣営のさらなる努力に期待したい。

◎関連URL
■ 「PacketOne」ニュースリリース(DDI-セルラー)
http://www.ddi.co.jp/cellular/release/1999/991125a/
■ 「PacketOne」ニュースリリース(日本移動通信)
http://www.ido.co.jp/release/news/19991125_3.html
■ 「PacketOne」サービス情報(日本移動通信)
http://www1.ido.co.jp/digital/mobile/packetone/
■ DIONパケットサービス(DION)
http://www.dion.ne.jp/dialup/service/service/p_service.html
■ NEWEB「PacketOne対応のお知らせ」(NEWEB)
http://www.neweb.ne.jp/welcome/new/20000107-1.html
■ 非同期通信レポートmobile第3回「PacketOne 速報レポート」
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/column/hidouki/2000/01/12/
■ 非同期通信レポート第44回「cdmaOne試用レポート~スーパーデジタルは何を目指すのか?~【後編】」(PC Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990428/cdmaone2.htm

法林岳之
2000/01/18


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