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パケット通信対応「ポケットモペラ」登場!

■ 低価格ながら本格派のメール端末

POCKET mopera
NTTドコモ POCKET mopera
標準価格24,800円。サイズ:約141×103×21mm(幅×奥行×高)、約260g(乾電池を含む)

 先週紹介した「エクシーレ」に続き、NTTドコモからまたもや新しいメール端末「ポケットモペラ」が発売された。ポケットモペラはメールやWebブラウザに加え、アドレス帳、メモ帳、カレンダー機能などを搭載し、208シリーズで採用されたパケット通信もサポートする。価格も実売で2万円以下と、ベストセラー商品「ポケットボード」に比較的近い存在だ。早速、製品を購入したので、使用感などを交えながら、レポートを紹介しよう。


■ NTTドコモのラインアップ

 製品そのものを紹介する前に、NTTドコモのメール端末のラインアップをおさらいしてみよう。まず、「ポケットボード ピュア」は最も低価格でエントリーユーザーをターゲットにした製品だ。ベストセラーとなった初代ポケットボードのアーキテクチャと使い勝手の良さを受け継ぎながら完成度を高めている。現在はオリジナルカラーの2色に加え、ミッキーマウスやくまのプーさんのデザインのバリエーションモデルもラインアップする。対応は10円メールのみだが、実売価格は1万円以下(時には5000円以下のことも)と強烈に安い。製造元はシチズン時計だ。

NTTドコモのメール端末のラインアップ。ポケットモペラ(手前)、ポケットボード ピュア(二列目左)、ポケットボードプラス(二列目右)、エクシーレ(三列目左)、ブラウザボード(三列目右)

 このポケットボード ピュアの兄貴分に相当する「ポケットボードプラス」は、10円メールに加え、インターネットメールの送受信にも対応しているのが特長だ。ターゲットは男性のビジネスユーザーだが、自宅などにPCを持つ女性ユーザーのモバイル端末としても人気が高い。実売価格は1万~1万5000円程度と安いのも魅力。製造元はシャープだ。

 これらの2機種がメール利用に特化しているのに対し、Webページ閲覧やPDAとしての機能も充実させたのが「ブラウザボード」だ。ブラウザボードはシャープが販売する初代コミュニケーションパル(MT-200)をベースに開発されたものだが、搭載メモリの大容量化やドッチーモの64kbpsデータ通信サービスへの対応などの改良により、シャープ製との差別化を図っている。なかでも初代コミュニケーションパルやザウルスシリーズでも採用されていたメールの選択受信は秀逸で、この機能のためだけに製品を購入するユーザーも居るとか。実売価格は当初3万円を切る程度だったが、現在は1万5000~2万円で購入できるところまで安くなっており、かなりお買得な製品となっている。

 NTTドコモのメール端末のラインアップで、最上位に位置するのが先週紹介した「エクシーレ」だ。メールやWebブラウザなどの機能を中心に校正されているが、パケット無線機を内蔵するという新しい方向性を指し示しているのが特長だ。価格は3万5000~4万円程度と高めだが、パケット通信はランニングコストが安いため、長い目で見れば、割安とも言える。製造元はNECだ。

 そして、今回紹介する「ポケットモペラ」だが、エクシーレと同じNECの製造によるものだ。ただ、NTTドコモのメール端末のラインアップではやや微妙な位置付けにある。今回は家電量販店で1万9800円で購入したが、この価格は現在の実売価格で比べると、エクシーレとブラウザボードの中間に位置する。PDAとしての機能はブラウザボードに一歩譲るものの、全体的な作りはポケットボードプラスにやや近い印象だ。10円メールは利用できないが、パケット通信をサポートしている点はブラウザボード以上という見方もできる。現段階で即断はできないが、NTTドコモとしては従来製品よりも幅広いユーザー層をターゲットにしているのかもしれない。


■ パケット通信を標準でサポート

 では、ポケットモペラの機能面をチェックしてみよう。まず、データ通信はPDCデジタル携帯電話の回線交換方式による最高9.6kbpsでの接続、パケット通信方式による最高9.6/28.8kbpsでの接続をサポートする。最高28.8kbpsのパケット通信を利用するには、同社の301/302シリーズのDoPa対応携帯電話が必要になるが、最新の208シリーズでも最高9.6kbpsでのパケット通信が利用できる。208シリーズでパケット通信を利用するには、パケット通信の契約が必要だが、最も固定額が安いスーパーライトプランなら、月額基本料金0円、通信料金は1パケット(128バイト)あたり0.4円となっている。

メインのメニュー画面。選択できる機能のアイコンが並ぶ メール作成画面。背景のイラストがフレーム表示機能。PCに送信したときは表示されない

 次に、インターネット回りだが、接続はNTTドコモのインターネット接続サービスの「moperaネットサーフィン」を利用するか、通常のプロバイダ接続を最大2つまで登録することが可能だ。

 メールは標準的なPOP3/SMTPサーバによるインターネットメールの送受信が可能で、機能的にはCCや返信、転送、下書きなどをサポートする。1通あたりに送受信できる最大容量は、送信メールが10kbytes、受信メールが64kbytesとなっており、送受信及び下書きメールを合わせて、300件のメールを保存しておくことが可能だ。あらかじめプロバイダへの接続の登録などをしておけば、送受信ボタンを押すだけで済み、受信したメールは個人メールBOXを作成して、振り分けることができる。メールのタイトルのみを受信し、必要なメールだけを選んで受信するといったこともでき、受信したメールにURLなどが掛かれているとき、URLを選択してWebページを表示するクリッカブルURLもサポートする。また、ポケットモペラ同士でやり取りする場合に限られるが、本文の背景にフレームを付けることが可能だ。

 Webブラウザはエクシーレ同様、アクセス製のNetFrontを採用している。HTML3.2に準拠しており、GIF/JPEGの画像を表示することが可能だ。フレーム表示にも対応しており、表示モードは標準/縮小の2段階から選ぶことができる。プロキシサーバの設定や画像の表示/非表示も選択することが可能だ。ブックマーク(お気に入り)は最大60個まで登録できるが、毎日見たいページをメインメニューの画面に登録できるダイレクトアイコンの機能も備える。ただし、エクシーレ同様、iモードの機種依存文字は見ることができない。

NTTドコモのモバイル向けページを表示。標準表示では見えにくい
同じページを縮小表示。フォントはややつぶれ気味だが、全体の印象はつかみやすい
モバイルセントラルを読み込み中。右下の犬のアイコンが回転中は読み込み中を表わす

 この他には、アドレス帳やメモ帳、カレンダー、携帯電話の着信音編集機能(N208のみ)などを搭載し、起動時にはその日のスケジュールや運勢、友だちの誕生日などが表示される。


■ 接続ケーブルをキーボード下に格納

 続いて、外見を見てみよう。ボディサイズはエクシーレよりもひと回り大きく、重量も40gほど重い。コミュニケーションパル MT-300と比べると、幅が狭く、奥行が深い。液晶ディスプレイは320×240ドット/4階調表示が可能な3.8インチモノクロ反射型液晶を採用し、最大で全角20文字×15行(システム行を含む)の表示ができる。

 キーボードは丸いボタン型のキーを採用し、キーピッチは約11mm程度、キーとキーの間の隙間は約2mm程度となっている。キーストロークはそれほど深くないが、キータッチはエクシーレよりも重く、キートップがゴム製になっているためか、確実にキーをタイプする印象だ。ちなみに、入力方式はローマ字かな変換のみをサポートし、JISかな入力はサポートされない。日本語入力は学習機能を備え、辞書機能も搭載している。

エクシーレと並べてみた。サイズ的にはポケットモペラの方がひと回り大きい キーボードはQWERT配列をベースに、いくつかのキーを省略。キータッチはやや重め

 キー配列は標準的なQWERTY配列を採用し、いくつかの記号キーを省略しているが、数字キーなどは省略されていない。記号はシフトキーや記号キーとの組み合わせで入力し、顔文字も入力することが可能だ。多くのメール端末はキー配列が特殊なものになっているが、ポケットモペラは中央に[スペース/変換]キー、右上に[後退]キーと、利用頻度の高いキーをPCと共通にしている。「メール端末だから、そんなのどうでもいいんじゃないの?」と考えるかもしれないが、メール端末を購入する多くの女性ユーザーはオフィスなどでPCを体験しており、その使い勝手を知った上でこれらのメール端末を購入する。だからこそ、キー配列やキータッチ、キーの形状などは重要なポイントになる。

携帯電話との接続ケーブルはキーボード下の引き出し部分に格納されている F502iと接続してみた。ケーブルはやや短めなので、写真のような状態で利用するのが標準的と予想される

 携帯電話と接続するケーブルは、キーボード下の引き出し部分に格納されている。引き出し部分にはケーブルを通すための切り欠きもあり、携帯電話と接続したときでも引き出し部分は本体に格納しておくことができる。ケーブルはあまり長くないため、本体左側に携帯電話を置いて送受信するのが便利そうだ。

 電源は単三アルカリ乾電池2本を利用し、連続37時間の表示、連続14時間の通信が可能だ。電池の状態はメインメニューの右上のアイコンで確認することができる。


■ エクシーレと異なる「かわいさ」

 ここまでのスペック紹介を見てもわかるように、ポケットモペラはエクシーレと非常によく似ている。製造元も共にNECであり、おそらく内部的にも共通のパーツが数多く使われているはずだ。しかし、実際に使った印象は、かなり異なるというのが筆者の正直な感想だ。

アドレス帳は最大300件まで登録可能。項目もメールアドレスや電話番号が2つずつあるなど、意外に豊富

 まず、メール端末の多くは、女性ユーザーをターゲットとしているため、全体的にかわいいデザインのものが多い。しかし、あまりかわいさを追求してしまうと、逆に「ガキじゃあるまいし……」とつっぱねられてしまう上、男性ユーザーにも見向きもされなくなってしまう。このあたりがメール端末の難しいところでもあるのだが、かわいく作るにしてもバランスや程度が必要になる。

 こうした視点で見た場合、エクシーレは「全体的にかわいくまとめられている」という印象になるのだが、具体的に「どこがかわいい」という印象は今ひとつ薄い。これに対し、ポケットモペラは「ピプッピー」(一説には「クルックー」という音とも言われる)という起動音、起動及び終了時の犬のイラスト、メニュー画面のアイコン、振り分けのメールボックスに割り当てられるアイコンなど、具体的にかわいいポイントがいくつか見受けられる。しかし、それらのかわいい要素が決して前面に出過ぎるわけではなく、程よく収まっているという印象だ。

 また、キーボードを始めとするインターフェイスや使い勝手の部分もエクシーレに比べ、一日の長がある。たとえば、前述のキー配列もそのひとつだが、ポケットモペラのアドレス帳では名前や携帯電話番号の他に、電話番号を2つ、メールアドレスを2つ、誕生日や血液型、キャラクタなどを選べる。つまり、個人を登録する場合、携帯電話番号の他に、会社や自宅の電話番号、メールアドレスなどもまとめて登録できるわけだ。この点はユーザーのニーズを的確に捉えていると言えるだろう。もちろん、エクシーレにはパケット無線機内蔵という絶対的なアドバンテージがあるのだが、使い勝手の面についてはポケットモペラが一枚上手という印象だ。

 最後に、ポケットモペラの「買い」診断だが、NTTドコモの208シリーズを利用し、パケット通信の契約をしても構わないというユーザーであれば、間違いなく「買い」だ。208シリーズの特長を活かせるように作られているのだから、ユーザーとしては買わない手はない。このデザインなら男女を問わず、手軽なメール端末として利用できるはずだ。逆に、その他のパケット通信機能を持たない端末を所有するユーザーは判断に悩むところだ。機能的には十分に「買い」の要素はあるが、回線交換で接続するため、若干、ランニングコストが高くなる。しかも、この年末はブラウザボードが2万円を切る低価格で販売されている。このことを考慮すると、現時点ではブラウザボードの方が買いということになるが、ポケットモペラはブラウザがフレーム表示に対応するなど、機能的に上回っている面もある。もし、PDA的な要素を重視するのであれば、安くなったブラウザボードを選ぶのもひとつの手だが、Webページの閲覧などのインターネット回りの機能を重視するのであれば、ポケットモペラの方がおすすめと言えるだろう。

 今年、NTTドコモは今回紹介したポケットモペラの他に、ポケットボード ピュアやポケットボードプラス、ブラウザボード、エクシーレなど、数多くのメール端末を市場に投入してきた。これだけのメール端末をラインアップする携帯電話・PHS事業者は、世界的に見ても他に例がないはずだ。開発能力や資金力などの違いもあるのだろうが、実用的なモバイル端末を数多くラインアップできるところもNTTドコモの強みのひとつだ。2000年以降はぜひとも他の携帯電話・PHS事業者にも頑張ってもらいたい。


◎関連URL
■ 「ポケットモペラ」製品情報
http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/poke-mopera/
■ 「ポケットモペラ」ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/99/whatnew1209.html
■ インターネットサービス「mopera」(NTTドコモ)
http://www.mopera.net/
■ [COM JAPAN 1999]メール端末が勢ぞろい
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/news/1999/11/02/mail.htm
■ 法林岳之の非同期通信レポートMobile 第1回
http://www.watch.impress.co.jp/mobile/column/hidouki/
1999/11/04/comjapan.htm

法林岳之
1999/12/9


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