Mobile Centricな家をつくろう! その2
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鈴木英雄(すずき ひでお)
使い道のなさそうな安物ジャンク品を衝動買いする悪癖の持ち主。ゼロ・ハリ氏が遊び飽きたガジェットの下取り担当係と噂の、AMD386を積んだ自作互換機が最初のPCというハードヲタク。最近は200LX倍速6MB仕様かCE機を物色中らしい。 |
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さて、2000年最初の筆者の順番である。皆さんのところではY2K問題は無事回避できただろうか?実はこの原稿を書いているの1月2日未明で、筆者はY2K対応要員として当直の最中である。ここまではほとんど問題なかったのでホッとしている。次の山場となる1月4日も無事に乗り越えていればよいのだが……。(^^;
前回、大工さんや電設会社の人など「実際に作業する人達」にLAN用配線の下準備をお願いするところまでを書いた。今回はどんなお願いをしたかということと、お願いするときの注意点、そして実際のLANケーブル敷設作業の内容などをご紹介したいと思う。
■ どこまでの内容を伝えればいいのか
実際に工事に携わる人たちとは、極力具体的なところまで詰めておくべきだ。
1.どういう目的で(何をしたくて)
2.そのためにどこにどのような機器を設置して
3.その機器で何をさせるか
4.そのためにこのような配線が必要であり
5.だからこの場所にこのようなインターフェイスが必要なのだ
ということを施主の希望として彼らがきっちり理解してくれるまでしっかりまとめておかなくてはいけない(どこまで理解してもらえるかはこの際考えないこと)。
大工さんや電設会社の人たちには彼らなりの仕事の進め方や流儀があるらしく、この点「ちょっと失礼かなぁ」と思うくらいやっておかないと、気がついたら思ってもみなかった状態になっていることもありえるのだ。
彼らのやり方がどうこうというのではなく、普段おつき合いする機会のない業種の人々だからやっぱり相互理解のためにはこのくらい必要なのである。
筆者の場合、彼らが普段使っている各種図面の写しをもらって、そこにいろいろ書き込んで、実際に作業にはいる前に直接何度か説明を行なった。その後、作業中にも何度か現場に足を運んで進捗を見ながら両者で図面とにらめっこしながら「ここはOK。でもあそこは違うから直して」などとやりとりをしている。
このときに我々施主側としては頭の中に「ここではこんな風にPCを使う」という実際にこれらファシリティの利用イメージができていないとうまく伝わらないので結構大変だ。デスクトップPCを固定的に使うためのLANポートと、持ち帰ったノートPCを繋ぐためのLANポートでは、設置する場所も違えば、床からの高さも違うはずだ。
筆者の場合、2階の部屋にノートPCを持ち込んでLANに繋ぐときだけNIC(Network Interface Card=ここではLAN PCカード)をポートに繋いで、普段は取り外してすっきりしておきたかったのでその辺にはこだわりたかったのだが、これをうまく伝えることができず、ひとまとめに足元にポートを配置することになってしまった。
■ 「伝え方」について筆者の反省
(こうしたらもっとよかった?)
こういうことを防ぐために、幾つかやっておけばよかったと思うことがある。読者の皆さんが同じようなことをやってみようとお考えの際にはぜひ参考にしていただきたいと思う。
1.大工さん、電設会社さんに説明するときには図面とともに、市販の3Dデザインツール・ソフトを使う。
最近ではエー・アイ・ソフト株式会社「3D あっ!とホームプランナー」などのように比較的安価で高機能な「マイホーム・デザイン・ツール」が市販されている。
これらを使うことで、筆者が失敗してしまった「利用者の立体的動線と動線の妨げにならない形での立体的なポート配置」ができそうだ。筆者は、施工者である彼らが普段使用している図面に直接書き込むことで、彼らに理解しやすくできるのではないかと考えていたが、2次元の限界か、高さや細かな配置については実際にある程度家ができあがってからでないと指示することができなかった(そのため指示が間に合わないところも出てきてしまった)。
2.ポート配置などを考えるとき、できる範囲でそこに設置する家具やその大きさ、レイアウトまで想定に盛り込んでおく。
コンセントやポートの位置も自由に配置できるせっかくの機会なのだから、そこまでやっておいた方があとあと楽だ。筆者の家ではすでに家具の裏になってしまうコンセントができてしまった。上記のソフトを使う際にそこまで情報として盛り込むことができればかなり使いやすい家に仕上がると思う。
3.ノートPCを使って現場でプレゼンする。
ここまでできればコミュニケーション不全で発生する行き違いも少なくできそうだ。
いずれも今になって思えば、というものばかりだ。せめて読者の皆さんは筆者の失敗を参考にして欲しい。
■ いざケーブル敷設!
いろいろあったが、12月半ばに筆者の家は骨格、外壁基礎がおおむね出来上がった。この際、電設会社の人と打ち合わせした結果、ケーブル敷設は、ケーブルを直に配線するのではなく、必要なポイントにコンセントBOXを配置し、その間を「CD管」と呼ばれる塩ビのジャバラホースで接続して、その中にケーブルを通す方式とした。
このやり方であれば、あとでケーブルを入れ替えることもできるし(たとえば将来IEEE-1394ケーブルや光ファイバーにも交換可能だ)、ケーブルの保護にもなる。また、今すぐ必要でないものであっても予備配管することができる。
また、CD管はできるだけ屋根裏を通るようにして、2階天井には点検のための開口部を設けることにした。あとで必要に応じて点検・交換が可能になるようにするためである。配管やコンセントBOX周辺の写真も壁を張る前にあらかじめ撮影しておいた。これも後に点検・交換、必要に応じた配管増設工事をスムーズに行なえるようにということを考えてのことだ。
ちなみに壁を張る前の屋内写真だが、できるだけ数多く撮っておくことをお勧めする。家自体の修繕・改築の際にこれらの情報のあるなしは作業工数・コストの削減にモノをいう。一生に何度もできる買い物ではないし、このあたりは仕事を休んででも何度かやっておくべきだと思う。筆者の場合、スチル写真とデジカメデータで合計200枚程度は撮っておいた。
CD管には電設会社の人にあらかじめワイヤーを通してもらっておいた。今回、配線としてはカテゴリー5のUTPケーブルを配線する。筆者は秋葉原で100m巻きのリールを色違いで3本購入し、自分で敷設した(CD管の総延長は事前に電設会社の人に確認済み)。
作業は結構簡単で、一方のワイヤーとUTPケーブルをしっかり巻きつけ、あとは反対側から引っ張るだけだ。
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ワイヤーケーブルとカテゴリー5をしっかり巻きつける |
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部屋別に色違いのケーブルにすることで識別しやすくする。筆者の場合、ケーブル1本あたりの敷設距離が比較的短かったので簡単だったが1階から3階など、長くなる場合には電設会社の人と相談して2~3人でやった方がいいかもしれない。
それぞれのケーブル端へのコネクタ取り付けは内装工事完了後に自分で
行なうことになっているので今回の作業はこれまで。後日コネクタカバーやほかの機器を買ってきてから続きを行なう予定である。
■ CATVインターネットも導入できる!
さて、これで半分おわりである。つぎは内装完了後にハブやルータ、無線LAN機材を購入して取り付け、と思っていたところで、地元のCATV会社の営業が来た。
なんと4月から我が家の地区でもケーブルインターネットのサービスが
始まるらしい。128kのベストエフォート型であるが、早速契約した。(^^;
追加配線が必要になったが、ISDN回線を引き込む部分もCD管にしておいたおかげで、追加工事の必要がまったくなかったのは予定外の大助かりであった。家にも拡張性が大事ということをいきなり痛感した次第である。
この次に家関連の記事を掲載する際には、コネクタ設置、機器の実際の設置、などの話を中心に、間に合えばテスト稼働までお伝えしたいと思う。
もうしばらくのおつき合いをお願いしたい。
(鈴木英雄)
2000/01/06
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