Mobile Central click Here
 

モバイルIndex
【2000/03/30】 鈴木英雄
Mobile Centricな家をつくろう! その4
【2000/03/09】 正雪
SpeetStepテクノロジーPentium搭載ThinkPad600X
【2000/03/02】 KADUHI
Palm専用音響カプラ―?「PocketMail BackFlip」
【2000/02/18】 鈴木英雄
Mobile Centricな家をつくろう! その3
【2000/02/10】 正雪
MN128-SOHO Slotinは卓上がよく似合う
【2000/02/03】 KADUHI
Minstrel V インターネットワイヤレスモデム
【2000/01/06】 鈴木英雄
Mobile Centricな家をつくろう! その2
【1999/12/27】 正雪
モバイルDVDを楽しむコツ教えます
【1999/12/16】 KADUHI
シリコンバレーのワイヤレスデータ通信事情
【1999/12/02】 鈴木英雄
Mobile Centricな家をつくろう! その1
【1999/11/25】 正雪
ノートでプレゼン! マルチモニタPCカード「CBMLX」
【1999/11/18】 KADUHI
クレジットヒストリーとソーシャルセキュリティナンバー
【1999/11/04】 鈴木英雄
快適なモバイル環境を構築したい!
【1999/10/28】 正雪
真のモバイラーには強力なバッテリーが欲しい
【1999/10/21】 KADUHI
こんなに遅れている? シリコンバレー携帯電話事情
【1999/10/14】 AKIプ王子
発想の転換! 貼って剥がせるキーボード“ThumbType”
【1999/10/07】 ゼロ・ハリ
モバイルのプロは目的別に最適の道具を選ぶ


検索
5






モバイルのプロは目的別に最適の道具を選ぶ

PCG-C1XE
ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?

 縁あって、今月からこの「モバイルセントラル」は我々BitMap Family Syndicateが仕切らせて頂くこととあいなった。日本にやっと持ち歩けるラップトップ・パソコンが出現した昔より、「テレコンピューティング」を実践し、数えきれない失敗を経験してきた我々が、モバイル初心者にも、既にモバイルプロの達人にも有形無形の価値ある情報を、この「モバイルセントラル」を通してお伝えしたい。
 第1回目は我々ファミリーの頭でもあり、ファミリーの中でも極めてノンテクニカル・ユーザーで、今やただの「中年ガジェットキング」となった「ゼロ・ハリ翁」に登場願おう。全盛期には10数キロのモバイル機器を毎日持ち歩いていたが、最近は寄る年波に勝てず、携帯する機器がキログラムからグラム単位のオーダーになってきたのが、少し気になるところでもある。


■ 真のモバイル・プロフェッショナルは複数の選ばれた道具を操る!

 コラムの最初に「モバイル・コンピューティング」略して「モバイル」の定義を明確にしておきたい。

 そもそもパソコンはビジネスオフィス(会社)で、活用することを前提に考案された道具だ。当初の使用目的は、ビジネスを効率良く行ない、良い評価と、より良い給料をゲットし、同時に彼女や家族との時間をより多く確保することなのだ。しかし、ビジネスでもうひとつ大切なのが、直接人と会う事である。昨今の急激な通信インフラの進歩と、テクノロジー改革による軽量で携帯性に優れたパソコンの出現は、この性格の異なる2つのアクションを同時に可能にしてくれた。即ち、「モバイル」とは、オン・ザ・ロードでも、クライアント先でも、オフィスとまったく同じかそれ以上のビジネスの効率良いディベロップメント環境を実現出来る新しいワーキングスタイルを指す言葉なのだ。

 モバイルワークの主役は、ごく普通のビジネスマンなら、「メール」と「スケジュール管理」、それに「プレゼンテーション」だろう。
 昨今では、多くの企業で働くビジネスマンは自分専用のメールアドレスを会社から支給されていることが多い。会社負担か自腹かには関係なく、メールアドレスは現代のビジネスマンには無くてはならないものとなった。贅沢を言えば、会社用と個人用の2つのメールアドレスを切り替えて活用するのが便利だろう。普段はどちらか一方にメールを転送処理しておくことで、繁雑なアクセスによる時間の無駄や受発信両メールの矛盾や混乱も回避できる。海外に頻繁に出かけるビジネスマンなら世界各国にアクセスポイントのあるグローバルなインターネットプロバイダーを選択したい。

 また大量のメール処理が日課の人にも、メールが滅多に来ない人にもポケットベルは便利な存在だ。前者は重要なメールの到着を瞬時に知る事ができ、後者は来ていないメールをチェックするための無駄なアクセスを最少限にできる。
 「デジタル・ケータイ・ドラッグ」に走った女子校生にシカトされ、倒産企業まで出したポケベル産業だが、まだまだ工夫すれば便利な可能性は大きい。これからがキャリアの本当の実力の見せ所だろう。基本的に、女子校生を代表とする若年非労働者層に、市場の多くを頼っている世界でも希な日本の通信産業の成熟度は低いと言わざるを得ない。

 「スケジュール管理」も現代のビジネスマンにとって重要な管理アイテムだ。出張先のホテルでは便利なモバイルPCだが、1日に何度も電源を入れたり切ったりして、今日の予定や、クライアントの電話番号を道端でチェックするには、最も向いていない道具の筆頭候補だろう。
 アップル社のPDAである「Newton」の登場以来、IT産業の進歩や、通信インフラの向上でPDA(携帯情報端末)もその使用目的、機能に大きな変革の時が来ている。もはや、携帯情報端末と言えどもパソコンと無縁のただ小さいだけの機器では、将来は無いだろう。母艦であるパソコンと簡単な操作で、スケジュールやメールのデータを共有することが標準でできる携帯情報端末が、いまや当たり前なのだ。

 また、自分にとって必要な情報管理の全てをどれか1つの情報機器で統一しようと考え過ぎないことだ。

目的別に機能の異なるツールを明確に使い分ける事は重複とは違う

 筆者は、オフィスや自宅、出張先でのメール処理とプレゼンテーションには「ThinkPad 240」を、スケジュール管理や、TODO管理、オン・ザ・ウエイでのメールアクセス端末として「WorkPad」とノキア社の赤外線ポート付き携帯電話「MN207」を利用している。また毎月の原稿はいまだに、長文入力をいつでもどこでも出来る「HP200LX」で書いている。合計3個の情報機器を常に併用しているわけだ。

 この3つのツールはお互い重複することなく、機能分担可能で、お互いが連係して活用できている。ユーザー心理としては、無理にでもその時点で最も高機能なツールに全てを取りまとめたくなりがちだが、これは必ずしも便利な方法とは言えない。「出来る」と「便利」は違うのだ。

 テクノロジーは日進月歩だが、まだまだたった1つのツールで全てのビジネスマンのワークを無理なくこなせる道具は見当たらない。無理をして統一を考えてもストレスが蓄積するだけだ。ここはひとつ、ゆったり構えて、当面は目的別に、最適の道具を1つだけ選ぶことに徹してはどうだろうか。

 筆者個人の使用機材を考えても、10年前はモバイルPCと初期の携帯電話と電子手帳を同時に持てば、すぐに7~8kgの総重量になった。現代の目覚ましいテクノロジーは、パワーをより強化しながらも、重量を約80%以上も軽減してくれたのである。そういう意味では、同時に3個のツールを持ってもたかが知れている。


■ もはや「ネバダの健康ランド」と化したラスベガスからメール!

「COMDEXのラスベガス」から「健康ランドのラスベガス」へ変身!

 ラスベガスはご存じの通り、米国ネバダ州にある賭博の街である。またIT産業に従事するビジネスマンにとっては毎年1回行われるパソコン業界の大イベントであった「COMDEX Fall」の開催地でもあり、毎回20万人以上のビジネスマンを世界中から、日帰りではなく、泊まりで集めるクレージータウンなのだ。

 COMDEX開催期間中は、ふだんは一泊79ドルの超豪華なホテルが、450ドルにもなり、最低3連泊でなければ鼻も引っ掻けてもらえない状況が普通だ。しかし、そのラスベガスも例年のCOMDEXやそれに準ずる大きなイベントが減り、毎週のように東海岸や西海岸から訪れる「ウイークエンド・ギャンブラー」の数も大きく落ち込み、体質改善を要求されている。

 一方ここ数年、ギャンブルや博覧会以外の顧客にフォーカスした、客室数数千規模のテーマパークホテルが確実に増えてきている。筆者も、今、その1つである「Mandalay Bay」ホテルに宿泊している。客室数は3000を越え、3メートルの大波の来るプールに人が集まる。ホテル内にはイーグルスやジョニーウインターをはじめ、世界の著名なミュージシャンのライブ演奏が聞ける「ハウス・オブ・ブルース」があり、もはやラスベガスは「ネバダの健康ランド」状態だ。
 例年行なわれるCOMDEXは間違いなく今年も昨年に引き続き低調だろうが、この調子なら「健康ランド」ラスベガスだけは生き延びそうだ。


米国のホテル客室で最もポピュラーな「テレデックス社」の電話機
モバイルプロならデータポート電話を採用しているホテルを予約するのが常識
外線ダイアル機能を設定するだけで、自宅と同じ通信が簡単にできる
確実なモバイル環境の確保には、「予備のモデム」も重要アイテムだ
「過ぎたるは及ばざるが如し」。心配しすぎると、これだけ持っても不安だ!

 ラスベガスに限らず、海外のホテルからの通信は極めて簡単だ。注意すべきキー項目は2つだけだ。1つめは、事前に目的の宿泊先の側にアクセスポイントのあるプロバイダーに加入しておくことである。
 国内外の複数のプロバイダーが提携して、ユーザーが自分のホームタウンを離れた場合には、提携先のアクセスポイントを利用出来るローミングサービスもあるが、世界中にアクセスポイントが1,000以上ある「AT&Tグローバルネット」のような国際的プロバイダーに最初から加入していれば、面倒なことに悩まされることなく、本来の目的に専念出来るだろう。今回も、ラスベガス市内のアクセスポイントから快適なアクセスが可能であった。

 2つめは、宿泊ホテルの客室電話の特性を正しく理解することだ。日本国内から予約出来る米国内の大型ホテルの多くは、サンノゼに本社のある「テレデックス社」の俗に言う「データポート」付きの室内電話器が装備されていることが多い。「データポート」と呼ばれる電話器本体横のRJ11規格の端子にパソコンのモデムからのモジュラーケーブルを接続するだけで準備は終了だ。米国内では日本国内と異なり、ホテルの部屋から外線に接続する電話番号がダイアル「0」ではなく、ダイアル「9」なのでWindowsのダイアルアップ設定、モデムのプロパティの設定変更が必要だ。

 今でも中西部の片田舎のモーテルなんかに泊まると、壁から生えた電話ケーブルがまっすぐ電話器内部まで入っており、まったく取り外すことのできない「ハード・ワイアード」なケースに出くわすことが希にある。少なくともこのようなホテルに好んで宿泊することは避けたい。また、デジタルPBX(デジタル電話交換器)を使用しているが、室内電話器に「データポート」の無い電話器もまだまだ見かけるが、このような場合でもあわてることはない。

 最近は滅多に出番の無い「モデムセーバー」でデジタルPBXからの高電圧の有無を判定することができる。しかし、判定できても余りご利益はない。昔は、事前にチェックすることで、高価で大事なモデムをデジタルPBXの高電圧のために起こるかもしれない事故から守る必要があったのだ。昨今、モデムの多くはデジタルガード機能を備え、デジタルPBX程度では簡単に壊れなくなった。

 モデムの事故が心配なモバイルプロなら、「モデムセーバー」を持つより、もう1枚PCカードモデムを携帯して行く方が賢明な対処方だろう。モデムは滅多なことで爆発したり火を吹いたりして壊れない。そのため、顕著なダメージを与えたという自覚がない限り、自らの設定ミスだと思い、問題解決の為に無駄な時間を費やす可能性が高い。

 そういう場合に予備のモデムがあれば、取り替えて真の原因を容易に見つけられる。運悪く「データポート」のないデジタルPBX電話器なら、本来、「アコースティック・カプラー」とか「インラインカプラー」と呼ばれる秘密兵器の出番だが、やはりプロフェッショナルなビジネスマンは「データポート」の有無をインターネット等で事前確認してモバイルプロにフレンドリーな一流のホテルを予約すべきだろう。「モバイル・プロフェッショナル」はネットワークを使ってビジネスするのではなく、ビジネスのツールの1つとしてネットワークを活用するプロフェッショナルなのである。

 我々BitMap Familyのメンバーは、ここを、「ネットワークのスタントマン」ではない真のモバイル・プロフェッショナルの為の情報発信基地としたい。諸君が活躍するのは、「仕組まれたアマゾン」からのメール送信や「予期されたモンゴル」からのインターネット等、チープトリックなステージデビューではなく、灼熱のアスファルトジャングルや、既に自宅に向かう終電の中かもしれない。たまたま、東京に出てきた彼女とのデートの為に、突然思い出した結婚記念日や娘の誕生日の為に、そのまま帰社せず、しかし仕事は完璧を極める「必殺のノウハウ」をサポートしたい。「モバイル・パワー」は会社や自分の為の特別な力ではなく、本当に自分をサポートしてくれる人の為に、いつでも、どこでも確実に発揮出来る「ちから」なのだ。
 はぶふぁん!

(ゼロ・ハリ@ラスベガス)
1999/10/07


お問い合わせ Mobile Central ホームページへ戻る