教員のICT活用 - こどもとIT

日本の素晴らしい教員を世界へ、現場の先生たちによる新たな挑戦

――バーキー財団 グローバルティーチャー賞報告会レポート

日本での知名度は低いが、世界的には非常に権威のある教育賞として知られる「グローバルティーチャー賞(Global Teacher Prize)」。「教育界のノーベル賞」とも称される同賞は、一体どのようなものなのか。2019年6月2日、日本マイクロソフトにてグローバルティーチャー賞に入選した教育者たちがその内容を報告する「バーキー財団 グローバルティーチャー賞報告会」が開催された。当日は、同賞や入選した教育者の取り組みに関心のある教育関係者ら200名が集まった。

バーキー財団 グローバルティーチャー賞報告会(主催:日本版 Global Teacher Prize 設立準備委員会、協力:日本マイクロソフト株式会社、講談社)には、200名の教育関係者が参加した

世界150カ国3万人が応募する、グローバルティーチャー賞

報告会に先立ち、進行役兼パネルコーディネーターのNPO法人 フォークローバーズ 原田英典氏から、改めてグローバルティーチャー賞についての説明がなされた。原田氏は、前職の日本マイクロソフトで教員のICT活用支援や、グローバルティーチャー賞のような教員の海外発信のサポートに尽力した人物だ。

報告会の進行役兼パネルコーディネーターを努めた、NPO法人 フォークローバーズ 原田英典氏

グローバルティーチャー賞を運営するイギリスのバーキー財団は、教育者に対する社会的立場や価値が、世界的に厳しい傾向になりつつあることに問題意識を持ち、教育者の質の向上をめざして世界各地で活動している。このグローバルティーチャー賞もそのひとつで、教育分野で偉大な貢献を残した教育者らを称える機会を提供している。同イベントは、毎年3月にドバイで開催され、今年で5回目を迎えた。世界150カ国から3万人もの教育者らが応募するほど知名度も高く、ドバイで開催される表彰式にも、各国から多くの取材陣が詰めかけるという権威ある賞だ。

そんなグローバルティーチャー賞のファイナリストに残った日本人教員がいる。立命館小学校 教諭 正頭英和氏(2019年トップ10に入選)、滋賀県立米原高等学校 教諭 堀尾美央氏(2018年トップ50に入選)、工学院大学附属中学校・高等学校 中学校教頭 髙橋一也氏(2016年トップ10に入選)の3名だ。原田氏は、今回この3名のファイナリストを招いて報告会を実施したきっかけというのは、日本であまりにも知られていない世界的な取り組みであるグローバルティーチャー賞を日本でも広げるためであると、会の趣旨を説明した。

世界中の教師に求められている“Change Maker”のマインドを訴える正頭氏

最初に登壇したのは、日本の小学校教員として初めて、2019年トップ10にアジア人として唯一入選した、立命館小学校教諭の正頭英和氏だ。正頭氏は、教育版マインクラフトやSkypeなどICTを活用し、なおかつ教科横断やカリキュラム・マネジメントの要素を取り入れた課題解決型学習を1年間かけて実施した。その取り組みがグローバルティーチャー賞で評価されたのだ。

唯一のアジア人として2019年トップ10に入選した、立命館小学校教諭の正頭英和氏

正頭氏は冒頭で、「周りの人に勧められてチャレンジしたものの、正直なところ、ドバイに行くまではグローバルティーチャー賞の価値が分かっていなかった。しかし、行ってみて初めてどれだけ凄い賞なのかを実感した」と率直な感想を述べた。

まずトップ50に選ばれた教育者は全員がドバイに無料で招待される。会場を歩いているだけで写真や握手を求められ、朝6時から引っきりなしに続く各国メディアの取材、ナビゲーターを務めるヒュー・ジャックマンがファイナリスト一人ひとりに語りかけるアワードセレモニーなど、正頭氏はたくさんの写真と動画を交え、参加者にトップ10ファイナリストに選ばれるということの意義と会場の熱気をありのまま伝えた。

セレモニーの様子はYouTubeでも公開されている

そもそもグローバルティーチャー賞に選ばれるのは、どのような教育者なのだろうか。正頭氏は、バーキー財団が示す受賞の基準を紹介した。中でも最も重要なのは、「再現可能な教育を実践しているかどうか」であり、「その先生にしかできない授業ではなく、多くの人を巻き込んで周りに影響を与えている人が評価される」と述べた。

どのような教育者がグローバルティーチャー賞にふさわしいか。その基準を示したもの

具体的にグローバルティーチャー賞に選ばれるまで、どのような審査があるのか。正頭氏は「あくまでも自分の時の内容であり、審査基準や質問事項は毎年変わるだろう」と前置きをしながら説明した。

グローバルティーチャー賞は自薦・他薦があり、大学教員以外の教育者は誰でも応募することが可能だ。一次審査は書類審査となり、それをパスした者が、二次審査でSkype面接を受ける。それにパスするとトップ50に選出され、ドバイのセレモニーに招待されるという流れだ。

一次の書類審査の内容

以下が一次の書類審査の内容だ。この項目は、あくまでも正頭氏が受けた際の例であり、内容は毎年変わるという。

①Your Story(教育者としてのあなたのストーリー)
②Context and Challenges(自分が取り組んでいる教育課題や解決をめざす課題)
③Your Teaching Approach(効果を高めるために取り組んでいる指導のアプローチ)
④Innovation(これまでに実践したイノベーティブな授業・実践)
⑤Classroom Achievement(クラスで達成したこと)
⑥“Above and Beyond” - Community Impact(あなたの関わるコミュニティに与えた影響)
⑦Developing Global Citizens(グローバル市民を育てるために何をやっているか)
⑧Improving the Teaching Profession(教師のスキルを高めるために何をやっているか)
⑨Recognition of Your Teaching(あなたの指導はどのように認められているか)
⑩Use of the Prize Fund(優勝賞金の使い道)

二次のSkype面接の内容

二次審査は、Skypeによる面接だ。もちろん、英語で行われる。正頭氏がSkype面接で質問された内容は次の通りだという。

①GTPで優勝する価値がなぜあなたにあるのか?
②なぜ教師になったのか。
③他の教師と違うと思うところは?
④なぜ教育界に偉大な貢献をしたといえるのか。
⑤なぜ、あなたはGTPに選ばれるべきだと考えますか?
⑥日本の文科省にいいたいことは?(正頭先生へのオリジナル質問)

正頭氏は、こうした書類審査や面接で聞かれた内容を振り返り、日本ではあまり語られることのない教育の視点であるが、世界の教育者たちは、このような視点で教育を捉えていると説明した。

そして、今年のグローバルティーチャー賞のテーマである、“Who is changing the world?”(世界を変えるのは誰か?)を取り上げ、「今の教育者に求められているのは、目の前の子どもたちや現場を変えていけるような“Change Maker”のマインドを持っていることだ」と続ける。小さな変化も大きな変化も、変わる規模が重要なのではない。目の前の子どもたちを揺さぶるような、何かを変える“Change Maker”の意識を持つことで、明日から少し変わることができるのではないか、と参加者に訴えかけた。

続いて、正頭氏はグローバルティーチャー賞で評価された課題解決型学習について紹介した。これは、「海外の人に京都の観光名所を案内しよう」をテーマに、マインクラフトの中で歴史建造物を再現し、その中をエージェントと呼ばれるロボットをプログラムして案内させるというものだ。できあがったワールドは、海外の小学校との交流を通して、英語でフィードバックをもらうという流れになっている。模擬授業の内容については『マインクラフトを活用した英語授業に世界も注目、立命館小学校 正頭氏による模擬授業』で詳しくレポートしているので、ここでは簡単な流れだけを紹介したい。

社会、英語、ICTの授業を横断してカリキュラム・マネジメントを行った、課題解決型学習の全体像
本やインターネットを使って京都の歴史や歴史建造物について調べ、新聞づくりなども行う
郊外学習の時間を利用して、実際の建造物を見学する
観光ガイドになって案内することで、海外の人がどの部分に興味を持つのかをリサーチする
どのように案内すれば楽しんでもらえるのか、案内ロボットをプログラミングしながら、マインクラフトの世界に歴史建造物を再現する。できあがったワールドは海外の小学校へ送り、交流学習を行った。

正頭氏はマインクラフトを活用した授業について、子どもたちが相手目線に立ったコミュニケーションを意識することや、児童同士の教え合いが生まれること、また失敗したり、揉めたりしながらどうすれば上手くいくかを考える環境が作りやすい、と学習におけるメリットを語る。こうした学習を紹介しながら、「日本の教育はICTを除き、世界的に見ても劣っていない。心の掴み方、指導法、マネジメント、どれを取っても群を抜いている。ゆえに、多くの教師たちにグローバルティーチャー賞に挑戦してもらいたい」と締めくくった。

つながりのある英語学習で生徒が“感じる”学びを作る、堀尾氏の取り組み

続いて登壇したのは、2018年にトップ50に入選した滋賀県立米原高等学校 教諭の堀尾美央氏だ。堀尾氏は、地方にいながらSkypeを活用した海外との遠隔交流授業を積極的に実施。生徒たちが海外とつながることで、学ぶ必要性を実感できる英語学習を実現したことが評価された。

2018年にトップ50に入選した滋賀県立米原高等学校 教諭の堀尾美央氏。同校の英語コースを担当。グローバルティーチャー賞には、海外の先生から勧められて応募したとのこと

堀尾氏は地方の公立教師として、都市部と地方の教育格差に疑問を感じており、「同じ公立高校でも海外研修に行ける学校とそうでない学校がある。同じ機会が与えられないのは不平等ではないか、というのがSkypeを始めたきっかけだった」と話す。また、当時は実用的な英語を学ばせたい思いからディスカッションなども授業に取り入れていたが、日本人同士だと日本語で通じてしまうため、生徒たちのモチベーションが持続しないことが課題であったという。そこで、同教諭はテクノロジーを使って、地方にいながらも都市部で学ぶ生徒たちと同じように、海外とつながれる環境が作れないかを模索した。

堀尾氏は多くのテクノロジーを活用し、地方にいながらも都市部と似たような学習環境を創出してきた

堀尾氏はSkypeを活用した英語の交流学習に多く取り組んでおり、これまでにもアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど計30カ国以上の国と米原高校の教室をつなぎ、リアルな交流を実施してきた。Skypeを活用した授業について堀尾氏は、「言葉のやり取りで終わるのではなく、生徒が感じられることがメリットだ」と語る。たとえば、ボルネオ島を取り上げた単元の時は、実際に現地の生徒たちとつながり、プランテーション農業などについて話し合った。「教科書を読むだけでは伝わらないが、つながることで始めて、相手に対する理解や共感、興味・関心が生まれる。ひとつのコミュニケーションとして英語を認識し、英語を学ぶ価値を感じることができる」と述べた。

ボルネオ島とつないだSkype授業の様子

また、生徒たちからも好意的な意見が多く集まっているという。「最初は『私も好き』という、こんな簡単な英語ですら出てこなかった。だから自分の英語が通じた時は嬉しかった」「間違っても大丈夫だと分かった。相手にとっても英語は外国語だから」「言葉や文化は違っても、好きなものが一緒だった」など、生徒たちの感想からは、英語の学習を超えた学びや気づきが生まれている。堀尾氏は「生徒たちが英語を好きになってくれることが何より嬉しい」と述べ、英語学習を通してポジティブな考えを持つ生徒が増えたことも成果のひとつだと語った。

Skypeの授業を通して、“つながり”のある学びが生徒たちの英語に対するモチベーションを高める

何かを作りながら学ぶ、そのプロセスがもっとも効果的と語る髙橋氏

最後に登壇したのは、2016年にトップ10に入選した工学院大学附属中学校・高等学校 中学校教頭 髙橋一也氏だ。髙橋氏は、レゴブロックを活用したアクティブ・ラーニングが評価され、日本人で初めてグローバルティーチャー賞にノミネートされた。

工学院大学附属中学校・高等学校 中学校教頭 髙橋一也氏

なぜレゴブロックを学習に取り入れるのか。この理由について髙橋氏は、「知識を獲得するには、みんなでワイワイ言いながらモノをつくる過程が一番効果的だからだ」と述べた。同分野の研究者として名高いピアジェ、ヴィゴツキー、パパートなどの研究内容も振り返りながら、何かを作りながら学ぶ “Learning by Making”の有効性を語った。そうした学習を実現する手段のひとつとして、髙橋氏はレゴブロックを活用しており、テーマに基づいて何かを作ったり、何かを表現したりすることで、知識を表現化するブレインストーミングが生まれるというのだ。

工学院中高では廊下でも学びが生まれるようにレゴなどが置かれているほか、髙橋氏はレゴブロック以外にも多くのテクノロジーを授業に取り入れている

たとえば、「10年後の自分」がテーマの時は、いきなりレポートに書くのではなく、ブロックを使って表現し、生徒同士がそれを見ながら質問し合うことで自分の考えを深める作業につなげた。髙橋氏は「授業では、何かを作ることを大事にしている。さまざまなテクノロジーを使って、楽しく学べる環境を追求していきたい」と語った。

有識者がグローバルティーチャーに求めたいものとは?

報告会の後半は、教育とテクノロジーに詳しい有識者らが登壇しパネルディスカッションが行われた。当日は非常に有意義な内容が繰り広げられたが、ここではパネルディスカッションのテーマでもあった「私たちがグローバルティーチャーに求めること」の部分を掘り下げて紹介する。

写真左から、経済産業省 教育産業室長 浅野大介氏、立命館大学 副総長 伊坂忠夫氏、デジタルハリウッド大学大学院 教授 佐藤昌宏氏、日本マイクロソフト株式会社 文教営業統括本部 統括本部長 中井陽子氏

日本マイクロソフトの中井氏は、「一人で何かを達成する人よりも、能力のある人を巻き込めるコラボレーション力を持っていてほしい」と述べた。マイクロソフト社内の評価においても「一人で100点を取る人」ではなく「みんなで120点を取る人」の方が評価は高いという。また、マイクロソフトは近年、「Empathy(共感)」を非常に大事にしているとし、正頭氏のマインクラフト授業でも見られたような、相手の目線に立ってコミュニケーションできる能力は、まさに求められている力であり、教育分野でテクノロジーを広げていくには欠かせないスキルだと述べた。

経済産業省の浅野氏は、前出のコラボレーションに付け加えて、「越境」することが大事であると述べた。越境できるスキルを持つことで、いろんな人とコラボレーションが広がるからだ。そのために重要なことは、「知る」と「作る」が循環する学びで、何かを作るためには、何かを知っていなければいけない。自分の頭に知識が詰まっていないとコラボレーションも成立しない。また浅野氏は、「衝突は恐れてはいけない」と会場の教育者らにメッセージを送った。何かを変える時には衝突は生まれるもので、収めていく強さを持ってほしいと述べた。

デジタルハリウッド大学大学院の佐藤氏は、「(グローバルティーチャー賞が掲げる)グローバル市民を育てるためには、テクノロジーの活用は必須である」と語った。なぜなら、未来の学びは「個別最適化」と「学習者中心主義」の方向性に進んでおり、そうした学習を実現するためにはテクノロジーの利用は欠かせないからだ。また昨今の教育動向としてSTEAM教育にも注目が高まっているが、STEAMの「A(アート)」には「リベラル・アーツ」の意味も含まれており、日本人が得意な部分ではないかと同氏は指摘する。テクノロジーをどう社会で適用させていくか、これについては人間的な部分が大きく影響するため、そうした部分を大事にしてほしいと述べた。

立命館大学の伊坂氏も、「今後はグローバル市民、グローバルシチズンシップの育成が重要になってくる」と述べた。同学園もそうしたテーマに取り組んでおり、「知・徳・体」の「徳」の評価が最も高くなるだろうと語った。日本人としての強みは何か。日本の文化をどれだけ知っているかなど、日本を学ぶことも重要になってくるというのだ。

日本版のグローバルティーチャー賞で、もっと教師に光を当てていきたい

最後に、正頭氏、堀尾氏、髙橋氏らから、グローバルティーチャー賞の日本版「National Teacher Prize Japan」の設立が発表された。3名は過日、柴山文部科学大臣を訪問し設立を報告している(詳細は『日本版グローバルティーチャー賞の設立を、文部科学大臣にGlobal Teacher Prizeファイナリスト教員らが報告』を参照)。

髙橋氏によると、日本には管理職や養護教諭なども含め、約85万人の教育者がいるという。しかし、近年は教員への成り手が減少し、社会的立場も厳しい状況にある。こうした状況を変えていくためには、教育の素晴らしさや、学校で頑張る教師たちに光を当てていきたいと考え、国内の優れた教師を選ぶ「National Teacher Prize Japan」を設立した。

この取り組みはバーキー財団からも認定されたもので、多くの国で自国バージョンのグローバルティーチャー賞を開催していると言う。日本には、そうした取り組みがこれまでになかったため、上記3名の教師と、本報告会の進行役を務めたNPO フォークローバーズ 原田英典氏の4名が協力して事務局を設立した。

今後、多くの日本の教師たちの素晴らしさが海外でも評価されることを願うとともに、これをきっかけに多くの“Change Maker”が教育現場で増えていくことを期待して止まない。

今後もこのメダルを手にする日本の教育者が増えていくことを期待したい

また、ファイナリストに選ばれた、正頭氏や堀尾氏が参加している教員コミュニティ「マイクロソフト認定教育イノベーター」(MIEE)は、現在2019~2020年度の認定教員を募集している。MIEEでは日本のみならず世界中の教員とコミュニケーションの機会があるほか、教員の海外研修「Education Exchange」に参加するチャンスもある。グローバルティーチャー賞を目指すにあたって、こうしたコミュニティに参加することで、世界へ目をむけることから始めるのもよいだろう。

2019-2020年度 マイクロソフト認定教育イノベーター募集概要
対象者日本国内の初等中等教育 および 特別支援教育を行う学校にて ICT 活用の実践を行っている教育関係者
申込締切2019年7月13日(結果連絡は同8月21日)
応募方法Microsoft Educator Communityへの参加
②活動内容をSwayにまとめたものか、代用できるWebページのURL
ビデオ(動画)形式の資料(授業風景でなくとも、今まで撮った写真をつないだものなどでOK)が必要
支援内容実践機材の貸出、製品ライセンスの貸出、各種勉強会、公開授業の支援、発表登壇の機会提供など

神谷加代

教育ITライター。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。