こどもとIT
高校生は「自分のPC」をどう考え、選ぶのか?調査から読み解く「高校生のPC選び」
活用幅が広がる年代、「拡張性」や「親のサポート」が重要に
- 提供:
- 日本マイクロソフト株式会社
2021年6月30日 12:27
教育現場のIT導入を巡り、いま事態が大きく動いている。文部科学省の「GIGAスクール構想」で、小・中学生が1人1台のPCを使う学習スタイルが2023年までに全国で定着する見通しとなった。
ここで気になるのが、義務教育課程と社会人を繋ぐ期間、つまり高校生とITの関係だ。小中学校で学んだPCスキルを、大学進学・就職で直接役立つレベルへ引き上げるためにも、極めて重要な時期である。
では、高校生はどんなPCを使っているのか? どんな点に注目して選べばいいのか? モメンタム ジャパンがLINEリサーチ プラットフォームを利用して4月に行ったアンケート調査「高校生の学習用所有PCとOSに関する実態調査2021」を通じて分かった「生の声」をもとに、探っていきたい。
[目次]
・小学校・中学校で広がる「GIGAスクール構想」、では高校生は?
・高校生の4人に1人が「個人PC」を学習用に保有、半数超がWindows
・学校側からの「機種指定」が、PC選びの要因に?
・高校生の不満は「CPU」や「重量」
・PCサポートはやっぱり保護者が頼り 「家族と同じOS」が現実的?
・高校生のPC選びは「活用法の広がり」や「大学生活を含めた長期視点」が重要に
小学校・中学校で広がる「GIGAスクール構想」、では高校生は?
最近のICT教育分野でのブレイクスルーの1つが「GIGAスクール構想」だ。
これにより、小・中学生のPC利用は着実に広がっていくと思われるが、ここで考えたいのが高校生の扱いだ。GIGAスクール構想の“1人1台”の主対象は義務教育課程の児童生徒。つまり、高校生は対象ではない。
しかし、高校はこれから2022年度に学習指導要領の改訂を控えており、プログラミングを含む「情報I」が必履修科目となるほか、PCを利用する探究学習も始まる。
さらに、高校生のPC利用では大学への進学や就職を念頭に置いた、高度な利用法も出てくるはずだ。
実際は、公立、私立に関わらず、家庭負担による「1人1台」をすでに導入している高校もあり、今後は「高校入学の前後に私費でPCを買う(買い替える)」のが、全国的に広がっていくことが考えられる。
高校生の4人に1人が「個人PC」を学習用に保有
では、今まさに高校生活を送っている生徒は、PCとどんな付き合い方をしているのだろうか。その傾向をあきらかにすべく、モメンタム ジャパンでは大規模な調査を定期的に実施し、その結果を公表している。
今回の調査は2021年4月末に、インターネット調査で実施された。まず全国6112人の高校生(高校1~3年生、及び高専1~5年生)を対象にスクリーニング調査を実施。その中から、GIGAスクール構想で比較的よく利用されているプラットフォーム4種類のうちどれかを使っているユーザーを各100人ずつランダム抽出し、合計400人に対して本調査を実施している。
OSは57%超がWindows
まず注目したいのは全体のOS利用動向だ。スクリーニング調査の結果、学習用個人PCの所有率は27%であった。つまり高校生の約4人に1人が、学習目的で自分専用のPCを持っている計算になる。利用率という意味では、家族共用だったり、1人1台ではないにせよ学校に配備されているケースがあるだろうから、もう少し高くなりそうだ。
そして、この学習用個人PCを持っている回答者に対して、OSの種類を聞いたところ、最も多かったのがWindowsで57%だった。現在社会人で、日々PCを活用している方々からみれば、これはかなり順当な数値と感じるのではないだろうか。
学校側からの「機種指定」が、PC選びの要因に?
本調査では、より詳細な利用動向について聞いている。現在利用しているPCの購入に際して、製品比較などに要した検討期間を調べたところ、Windowsユーザーは「検討することなく、即時購入した」が21%、「1週間未満」が26%だった。
これがChrome OSユーザーの場合「即時購入した」が44%、「1週間未満」が10%であった。
特に即時購入の例では、学校側からの機種指定があるとみられ、ユーザーが具体的な性能をあまり吟味していない可能性がありそうだ。
高校生の不満は「CPU」や「重量」製品スペックが幅広く、活用範囲も広いWindowsは「価格だけで選ぶ」とミスマッチに
学習用PCは、3年以上の長期に渡って使うことが十分予想される。また学習内容のステップを踏むうちに、やりたいこと・やるべき事がどんどん増えていく。となると、所有PCに対する不満も少しずつ顕在化していく。
以下のグラフは、不満点を項目別に聞いたものだ。全プラットフォームを合計したものだが、CPUや重量などが目立っている。
Windows PC選びのポイントは「ソフトとハードの幅の広さ」
グラフで掲載したのは全体データだが、Windows個別のデータをみると、ユーザーの状況が見えて興味深い。
このデータは、「数字なしでの掲載であれば」という前提で見せていただいたので、詳細な数値は紹介できないのだが、要点としては、Windowsでは「搭載されているアプリケーションの種類や数」や「アプリの互換性」「拡張性」といった不満点が非常に少なく、一方で「CPU」や「メモリ」といったハードウェアスペックの不満点が約2~3割と多めだった。
この「少なさ」と「多さ」の理由として考えられるのが、Windows向けソフトの「幅の広さ」と、PCスペックの「幅の広さ」だ。
Windows PCは、導入しやすい普及モデルから、数十万円のハイスペックモデルまで、極めて多様なバリエーションがあり、例えばプロ向けの本格ソフトウェアはハイスペックモデルを前提に制作されているし、普通のソフトでも「ハイスペックモデルを前提にした機能」があったりもする。
普及モデルでも、こうした「プロ向けソフト」や「コンピューティングをフルに活かした機能」の存在を身近に感じられる、というのはWindowsの隠れたメリットなのだが、そうしたハイスペックモデル向けのソフトや機能を、普及モデルで動かすと、当然「不満」になってしまう。
「不満がある」というと、ネガティブな意味にとられがちだが、「広い世界を知ったからこそ、出てくる不満」という意味でも考えたい。
なお、アプリケーションの点では、Windowsでは、WordやExcel、PowerPointなどの「Microsoft Office」製品がプリインストールされていることも多いとみられ、これも不満度の低下に寄与していそうだ。
ちなみに、「拡張性」に対する不満度が少ないのも興味深い。
最近では「仕事を効率化するデバイス」としても注目されているゲーミングデバイスはWindows向けのものが中心だし、業務利用される周辺機器もWindowsに対応しているものが多い。また、家庭や学校にある「少し昔のデバイス」を使いたい場合も、互換性の点で安心だ。周辺機器のバリエーションも多いので、予算に応じた選択の幅が広いのもメリット。こうした拡張性は、ソフトの豊富さでも同様。簡易なものからプロが業務で使うものまで、非常に幅広いソフト・ハードがそろっているのが強みといえるだろう。
PCサポートはやっぱり保護者が頼り「家族と同じOS」が現実的?
PCに関する疑問やトラブルについて、誰・何を頼りにしているかの設問結果もなかなか興味深い。本調査対象400人に複数回答で聞いたところ、多かったものから順に「保護者」58%、「学校の関係者や学習塾・予備校の関係者」34%、「友人・知人」28%だった。
ちなみに「メーカーのWebサイト」「PC関連の情報が掲載されているWebサイト・Webメデイア」がともに18%だった。これが意味するところは「まずトラブルが起きたら周りの人に聞く。中でも保護者を頼る」といった感じか。PCに詳しい人ほど、まずはWebの情報を頼る傾向が強いように思えるが、なるほどこれが高校生の“リアル”なのだろう。
となると、高校生がいる世帯の場合、保護者・兄弟がどれくらいPC利用をサポートしてくれるかが、快適な学習環境の構築に繋がっていきそうだ。
「家族が使っているOSと同じかどうか」「PCでトラブルが発生したときに家族のサポートがどれくらい受けられているか」をクロス集計した結果からは、その重要性が伺える。「OSは同じである」という回答者は34%いたが、そのうち家族からサポートを受けられている割合は合計74%だった。
対して、異なるOSを利用している場合、家族からサポートを受けられているのは合計59%。10ポイント以上の開きが出てしまっていたのだ。
サポートを受けられる・受けられないの差は、保護者自身のPCスキルに左右されるのは間違いない。その際、保護者が普段使っている仕事用PCと、高校生の学習用PCでOSが同じならば、そのギャップは最小化される。家族で同じOSのPCをチョイスするのは、現実的な選択肢だと言えよう。
高校生のPC選びは「活用法の広がり」や「大学生活を含めた長期視点」が重要に
いま高校生が実際に購入しているPCの市場シェア、学習用PCの利用サポートで保護者が頼られているという事実、そして保護者が日常的に使っているPCの主流OS、これら3点を総合すると、やはりWindows PCは高校生が使う端末として、ベストないしベターな存在だと言えよう。
Windows PCであれば、「仕事で使うソフト」のスタンダードであるOfficeを安心して使える。そして何より、Office以外のソフトのラインナップも抜群だ。学習専門のソフトであったり、プログラミング、あるいは課外授業で画像編集ソフトを使う等、さまざまな利用シーンが考えられる。
特にソフトウェアの追加による拡張性は、基本中の基本ではあるが、見逃せないポイントだ。コロナ禍発生以前は、テレビ会議ソフトの重要性はそこまで高くなかったものの、いまや授業、遠隔セミナーに大活躍。ブラウザーさえあれば機能するテレビ会議サービスは多いが、とはいえOS専用に作られたソフトのほうが、機能・安定性の面で優れている。
今後の注目は動画だ。YouTubeの普及によって動画の共有は日常茶飯事になっていて、学習に応用する余地も大きい。高校生ともなれば、PCの内蔵カメラで撮影して、編集、アップロードを行いたいシーンも出てくるだろう。
ただしテレビ会議も動画編集もそうだが、利用には一定程度のCPUパワーが必要になってくる。例えばテレビ会議中に資料として別の映像を共有したり等、小・中学生時代からは一歩進んだ作業を行うケースもあるだろう。2つ以上のソフトウェアを同時に起動して、適宜切り替えるマルチウインドウ・マルチタスクに対応できるパフォーマンスは、最低限確保しておきたい。
また、最近のPCは、よほど低スペックな製品でない限り、4~5年程度は使い続けられる……というのが筆者の意見。高校1年のタイミングで購入しておけば、それこそ大学に進学した後でも、レポート作成で重宝するはずだ。ただ、長く使うのであれば中位クラス以上の製品をおすすめしたい。
最後に。高校生のPC選びは、その後の進学・就職にも繋がる重要ファクターだ。価格だけを重視せず、CPU性能、持ち運びにも影響する重量・サイズなど、多角的な視点から検討してみてほしい(注:高校向けPCの一覧は日本マイクロソフトが紹介ページを作っている)。
もちろん、今はまだ子どもが小中学生という保護者であっても、ゆくゆくは関係が出てくる。中学生、いや小学生のうちからWindowsを意識しておけば、改めて操作方法を覚え直さなくて済む。早いうちから、PCとの向き合い方を考えてみよう。