こどもとIT

1600本以上の動画を作った教師が語る、これからの教材作りと授業配信に必要なモニター環境とは

コロナ禍の休校をきっかけに教育現場ではオンライン授業のニーズが高まり、動画教材を自ら制作する教育者が増えている。その先駆者のひとり、青山学院中等部講師の安藤昇教諭に、BenQ「アイケアモニターGW2780T」のメリットを綴ってもらった。

学校現場では今、コロナ禍の影響でオンライン授業の需要が高まっています。私自身は5年ほど前からYouTubeで数学のワンポイントを教える授業動画を配信していますが、コロナ禍はニーズも増え、現在までにアップロードした動画総数は1600本以上にもなりました。

また、コロナの休校中に青山学院中等部・高等部の生徒向けに配信した私の授業動画は、再生回数が1動画あたり平均400回を超え、生徒たちから「全科目オンライン授業にしてほしい」という声も出ました。生徒たちのオンライン授業に対する反応の良さに手ごたえを感じましたし、今までの学び方をさらに広げていける可能性も感じました。

青山学院中等部で実施したオンライン授業の様子。生徒たちとの双方向性のコミュニケーションを大切に授業を行なっています

生徒たちの心を掴むオンライン授業の秘訣と、教材づくりに欠かせない環境

今の生徒たちは、デジタル機器やクラウドサービスを使いこなす「ネオ・デジタルネイティブ世代」だと言われています。そんな生徒たちを飽きさせることなく、自ら進んで「受けたい」と思わせるオンライン授業をつくるためには、「テンポが良く、アクセントの利いた動画教材」であることが大切です。

なぜなら、今の生徒たちは幼い頃からエンターテインメント性のある動画に親しんでいるからです。小学生のなりたい職業ランキングの上位には「YouTuber」が常連になるほど、子どもたちにとっては動画が身近なコンテンツであり、YouTuberが作るテンポの良い画面転換や、聞き取りやすい明確な話し方に慣れ親しんでいます。

青山学院中等部講師 安藤昇教諭。前任校では放送部顧問としてNHK 杯全国高校放送コンテストで準優勝に導く。マイクロソフト認定教育イノベーター、 BS日テレめざせプログラミングスター講師。映像関係、動画制作、プログラミング、ドローンなど教育分野のテクノロジー活用に詳しい

それに対して、我々教師が作る動画はどうでしょうか。いつもの授業の感覚で、「あ~」「え~」といった間を入れたままの動画を生徒に見せていないでしょうか。もちろん、教師全員がYouTuberと同じレベルの動画を作れる必要はありませんが、学習内容をよりわかりやすく伝えるためにどうすればいいか、これからの教師は考えていくことが大事であり、それは私自身の課題でもありました。

私はオンライン授業の動画教材を作るにあたり、わかりやすく伝えるために、不要な部分を細かくカットして映像をつなぐ「ジャンプカット」という編集技法や、アイコンや効果音を使ってアクセントをつける手法を取り入れました。生徒たちは、豊富な映像コンテンツに親しんでいて目も肥えていますが、教師もいい動画教材を作ろうと工夫し続けると、生徒たちの評判も良くなり、学習意欲の向上にも繋がっていくことを実感しています。

また最近ではクロマキー合成などの技術も身近になり、撮影よりも編集に重きが置かれるようになってきました。私自身も、動画教材づくりに没頭したくて、自分専用のスタジオを作ったほどです。

オンライン教材制作と授業配信のために整えた自宅スタジオには、カメラの映像確認用を含め5台のモニターが並んでいます

動画教材の編集作業にはモニターが重要になってきます。なかでも、クロマキー合成をした際に人物のエッジを整えたり、音声編集で波形を表示させて行なう細かな作業は、大きく発色の良いモニターが必要です。その点、「BenQ GW2780T(以下、GW2780T)」は、動画教材にとって重要な要素である発色性も良く、色の濃さがしっかりと表現されます。なによりGW2780Tは価格も実売2万円台とリーズナブルでありながら、それまで使用していた5万円台のモニターにも引けを取りません。

また、長時間作業をしていると、どうしても気になるのが姿勢と目の疲労です。GW2780Tは「アイケアモニター」というコンセプトで、フリッカーフリー技術によって目に与えるストレスを軽減してくれたり、ブルーライト軽減機能で自分の作業時間に適した画面の明るさを選ぶことができたりと、体にやさしいのも気に入っています。

オンライン授業配信で役に立つ、意外なアイケアモニターの機能

コロナ禍の今、オンラインであっても良い授業を生徒たちに届けようと、授業配信の環境を整えている先生方も多いことでしょう。その際の悩みのひとつが、机の広さではないでしょうか。私もオンライン配信をする際、下の写真のように机が手狭になってしまうことが悩みでした。

モニターの手前に配置したiPadとChromebookと画面が重なってしまうため、別途モニターアームや台などを用意する必要がありました

このような状態になってしまう原因は、生徒たちがオンライン授業で使う環境と同じスマートフォンやタブレットPCを私の机にも並べているからです。生徒たちはWindows端末やiPad、スマートフォンなど、さまざまな端末でアクセスしますが、どの端末でも、きちんと配信されているか、手元のデバイスで再現し、確認しながら授業を進めるようにしています。

この配信スタイルは、私がオンライン授業において特に大切にしている部分でもあります。オンラインでは直接指導したり、サポートできないからこそ、教師は生徒の受講環境に配慮し、トラブルがあっても置いてけぼりにしない環境を作ることが大切だと考えています。オンラインのメリットである双方向性のコミュニケーションも、円滑に進めるためには生徒がどんな環境で授業を受けているのか、教師が把握できることが大切だと思います。

とはいえ、Windows端末やiPad、Chromebook、スマートフォンなど、生徒が使う端末を机の上に並べてオンライン配信を行なうのは、かなり手狭です。しかも、オンライン配信で使用するメインモニターと、これらの端末が重なってしまい、メインモニターが見づらくなることもネックでした。

この課題を解消してくれたのが、モニターの角度と高さをアームで自由に調整できるGW2780Tでした。同製品は、他社製品よりもモニターの位置を高く調整でき、メインモニターとして使用したときに、机に並べた端末と重ならず、立体的なレイアウトが可能になりました。またアームの土台が水平で安定しているので物も置けますし、従来のモニターのように、アームをボルトで取り付ける手間もなく使い勝手が良いです。

この画面の高さが、iPadやChromebookなど、10~12インチの端末の高さとピッタリでした
GW2780Tのアームを一番高くして、目線の正面にモニターを配置した状態。生徒と同じ環境の確認用に並べたiPadやChromebookが画面にかぶることなく配置できています

もうひとつ、GW2780Tのアイケア技術の中でオンライン配信の際にメリットを感じたのが「ブライトネスインテリジェンス(B.I.)技術」です。

オンライン配信や動画教材を作成する際、カメラの性能に目が行きがちなのですが、実は大切なのはライティングとマイクです。特にライティングは表情を良く見せようとカメラの前に照明をつけている人も多いと思いますが、照明を整えても、モニターの明るさによって見え方のバランスが崩れることがあります。その点、GW2780Tは照度センサーで周りの光を感知し、スクリーンの明るさを自動で調光してくれます。たとえば、ライティングを抑えめにしたときには自動で輝度を下げてくれるため、雰囲気を壊すこともないし、手動で調整する手間も省けます。本来はアイケアのための機能ですが、私のような配信者にとってもありがたい機能といえます。

オンライン授業の手応えから見えた、多様な学習環境に価値を感じる生徒たち

コロナ禍における在宅期間の授業配信で、私は学校で行なわれている一斉授業のほとんどがオンライン授業に置き換え可能であることを確信しました。これから教育現場では、ますます動画をはじめとするデジタル教材の需要は高まり、生徒たちが学習意欲を持てるような質の高いコンテンツが求められるでしょう。

それと同時に、我々教師には厳しい現実が突きつけられるのも覚悟しなければなりません。これまで受動的に授業を受けていた生徒たちは、オンライン授業によって自分が受けたい授業を能動的に選べるようになり、より多様な形で学べる学習環境を望むようになっています。教師は今以上に、生徒たちの心を掴むオンライン学習をデザインし、その実現に近づくようスキルを磨くことが必要です。

また、私個人の意見ではありますが、教師だけでなく、生徒にもクリエイティブな作業環境は必要だと考えています。私は、前任校で5年前から1人1台環境を経験していますが、生徒たちはPCが日常的に使えるようになると、授業だけでなく、学園祭や体育祭など学校行事でも盛んに使うようになります。その中で最も利用頻度が高いのは動画の制作です。生徒たちはたくさんの写真や素材、音楽を扱うので、サブディスプレイとして大画面のモニターが使えると、作業効率を上げ、いい作品を作る助けになります。生徒がクリエイティブな能力を発揮するためにも、大画面のモニターは必需品だと思います。

このようにデジタル教材作りや授業配信に力を入れている私ですが、環境を充実させていくためには予算も必要で、皆さんも頭を抱えられる部分かもしれません。そんな時はまず、今使用しているノートパソコンやタブレットに、大きなモニターをつなげることから始めてみてはどうでしょうか。

画面が小さい端末でも作業は可能ですが、大きなモニターを使用するだけで作業効率は上がりますし、作業負担も軽減されます。特に、ここで紹介したBenQのアイケアモニターGW2780Tの場合は目にも優しいので、教材制作の環境が快適になると思います。私自身は、オンライン学習時代に求められる教具のひとつだとさえ思っています。

安藤 昇(青山学院中等部講師)

青山学院中等部講師。日本大学理工学部物理学科卒。Microsoft Innovative Educator Fellow2020-21に認定。数学・情報を教える傍ら剣道部、放送部を全国大会上位入賞に導く。塾や大手教育機関のプログラミングカリキュラムを担当するほか、BS日テレ及びネット番組Huluにて配信中のプログラミング教育番組(全52回)の講師を務める。YouTubeチャンネル「教育版マインクラフト」では小学生向けに優しいプログラミング入門を配信し人気を博している。