こどもとIT

学校教育における「プログラミング教育実態調査」、みんなのコードが公開

――小・中学校教員2,400名、子ども・保護者3,000組を対象に意識調査を実施

特定非営利活動法人みんなのコード(以下、みんなのコード)は、 Google.org の支援のもと、日本国内の学校教育におけるプログラミング教育の実態について、定量・定性調査を実施し、報告書を公開した。

調査の対象は、全国の小学校教員1,037名、中学校教員1,362名、小学生・中学生・高校生およびその保護者3,000組。中学校技術分野教員向けのアンケート調査は、全日本中学校技術・家庭科研究会との共同調査として実施された。

本調査は、小学校におけるプログラミング教育の必須化、中学校での指導内容の拡充が図られる中で、教員の指導力向上をめざし、教育関係者に有益かつ実践的な情報を提供するために実施したもの。また、今後の日本国内の取り組みの参考となるよう、「諸外国のプログラミング教育調査」として、イングランド、オーストラリア、韓国、ケニアにおける取り組み状況についても、文献調査を実施している。

本調査の対象

本調査結果からの考察を一部紹介

【考察①】7割を超える子どもたちは、プログラミングを楽しんでいる
プログラミング教育への子どもたちの反応として、 73.8%の子どもたちが「プログラミングは楽しかった」と回答。小学校のプログラミング教育では、一部から「プログラミングのプロフェッショナルではなく、学校の先生方が教えることで、プログラミングへの苦手意識などが増えるのでは?」と懸念する声もあったが、払拭する結果となった。

「プログラミング教育実態調査」より抜粋

【考察②】プログラミングの経験可否が、その後のキャリアに影響する可能性も
プログラミングに関するイメージについては、プログラミングを経験した児童・生徒のほうが、良いイメージを持っていることがわかった。例えば、「将来プログラミングに関する仕事に就くか?」という質問に対しては、プログラミングの経験あり・なしで、ポジティブな回答が小学生では2倍、高校生では3倍になった。IT人材の不足が課題となる中で、プログラミング教育の経験可否が、その後のキャリアにも影響する可能性があるといえる。

「プログラミング教育実態調査」より抜粋

【考察③】教員の準備の度合いによって、児童のプログラミングへの関心度合いが大きく変わる
小学校の教員への「プログラミング教育後の児童の反応」について、7時間以上の研修を実施する場合と、1時間未満の短時間の研修や研修を受けていない場合と比べて、児童の関心度合いに大きな差があることがわかった。

「プログラミング教育実態調査」より抜粋

【考察④】多忙な教員がプログラミング教育を実践できるよう、職場環境の改善も必要
小学校教員向けのアンケートでは、授業の準備時間を「十分に確保できている」という回答は17.7%にとどまり、「十分に確保できない理由」として、大半の教員が「校務」と答えた。また、中学校教員においては「十分に確保できている」と回答したのは11.5%にとどまり、「十分に確保できない理由」として「部活動」をあげている。ほかにも、教員のインタビュー調査では、GIGAスクール端末の管理も負担との声もあったという。

「プログラミング教育実態調査」より抜粋

報告書は、以下よりダウンロードできる。
報告書
教員の意識調査(小学校教員)単純集計結果
教員の意識調査(中学校教員) 単純集計結果
子供・保護者の意識調査 単純集計結果

編集部