こどもとIT
マイクラでオトナと子どもが対戦!eスポーツ「働きバチになって蜜を集めよう」(実践編)
――教育版マインクラフト ワールド紹介その④
2021年11月24日 06:45
教育版マインクラフトに用意されている豊富なワールドから、eスポーツカテゴリーに注目。前回に続き「クリエイティブクラッシュ:働きバチ」のワールドを紹介する。
今回は「こどもとIT」編集部のメンバーが実際に、蜜集め競争をやってみた。果たしてマイクラ上のeスポーツとはどのようなものなのか、抱腹絶倒(?)の様子をお伝えしよう。
ちなみに、筆者の脳裏にはちょっとばかり疑問があった。それは、「これ、eスポーツとしてどこまで成立するの?」ということ。“プレイヤーは働きバチとなり、2チームに分かれ、広い庭園を⾶び回って効率良く蜜を集めた方が勝利となる競技”、と⾔葉でいうのは簡単だが、そんなにひょいひょいとできるものだろうか。
まず、広い庭園を⾶び回るために、エリトラを操作できるスキルが必要だ。開始前に⾶⾏学校で練習できるが、クリアできない子もいるかもしれない。また、飛行中に加速するためのロケット花⽕(ゲーム中では蜜)は、スタート段階でたった3つしかもらえず、使い切ってしまうと、庭園を⾶び回るのは難しくなる。などなど、始める前から不安がつのる。
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ネット越しのマルチプレイに挑戦 大人と子どもの練習会
今回は身内の練習会ということで、ダメ元でネット越しのマルチプレイにも挑戦してみた。参加メンバーは、神谷副編集⻑、佐々木プロデューサーとご息女(小学2年生)である。神⾕副編は仕事そっちのけで昼からエリトラの⾶⾏練習に余念がなかった(本⼈談)そうだ。なんという仕事熱⼼さであろうか。
さて、前回の記事にあるように、ワールドを用意してホストを開始する必要がある。プレイヤーは、別の場所からの参加なので、ここはネットワーク的に安心できるMicrosoftのAzure上に用意することにした。
詳細な手順は、ここでは触れないが、Windows 10がインストールされた仮想マシン(VM)を用意し、リモートデスクトップで接続できれば、基本的には手元のPCと同じである。そこに教育版マインクラフトをインストール。「クリエイティブクラッシュ:働きバチ」のワールドを用意してホストを開始する。ホスト担当は、自力で会場まで移動して待つ。
また、プレイヤーたちの様子を俯瞰できるように、教育版マインクラフトの授業支援機能「Classroom Mode」もインストールして起動しておこう。
LANを越えたオンラインでの参加も問題なし
筆者は進⾏役として、あらかじめプレイヤー⽤のアカウントを⽤意し、事前に全員がログインできることを確認してもらっている。ビデオチャットで全員が話をしながら、準備を進めていく。
参加コードとリンクを共有して、世界に参加しようとすると、なぜか1回目は失敗してしまうようだった。しかし、心折れずにもう一回参加をトライすると、全員無事にネット越しで世界に参加することができた。メンバーは、無事に飛行学校の会場に到着しているようだ。
これは、日頃の行いなのか、それともシステム上に何らかの改善があったのかは不明だが、つながってしまえば、ラグもほとんどない状況だった。ただ、これは参加人数が少なかったこともあるかもしれないし、それぞれが利用しているインターネット環境にも依存するようである。もう少し知見が広がったら、Azure上の設定の仕方含めてお知らせしたいと思う。
プレイヤーたちが⾶⾏学校で練習している間、ぼーっと待っているつもりの筆者だったが、みなさん哀しいくらいの短時間でクリアして会場にテレポートしてきた。速いよ、筆者のあの苦労はいったい何だったのだろうか。何はともあれ、これなら最低限ゲームとして成立しそうだなと、まずは好感触。
庭園の様子を探検してもらおう
とはいえ、プレイヤーたちが庭園の様子を見るのは初めてなので、蜜集め競争をはじめる前に探検してもらうことにした。こんなときに、ホストが憶えておきたいのがコマンドによるゲームモード変更。
ホストもプレイヤーも、ゲームモードはアドベンチャーになっているため、これを一気にクリエイティブにホストが変更することができる。具体的には「/」またはエンターキーでチャットモードに入り、「/gamemode c @a」と入力する。これで、全プレイヤーのモードをクリエイティブに一括変更できる。
少ない蜜をどう増やすか、初手の戦略が大事
それでは、ハチミツカップ(仮称)の練習をしてみよう。
まずは無難に各家庭でチームに分かれ、⻩⾊と緑の2カ所の場所に⽴つ。ホスト役の筆者は、哀しいかな参加することはできない。ホストは離れた場所にあるスタートスイッチを押す、という⼤事な仕事があるのだ。
と、その時、筆者が驚いたのは、明らかに異常な速さで飛び回っているプレイヤーが1人いることだ。佐々木家ご息女だった。なんなんだ、反応速度が違うぞ、あの機体みたいな感じである。これは大人側にハンデが必要だとわかり、⼀度リセットして、こども1人対⼤⼈2人のチームでの戦いに変更となった。
花の形もいろいろで初心者のうちは、なるべく近くの止まりやすい花を目指していくのがよさそうだ。うまく着地できれば、そこからさらに別の花へと飛んでいくこともできるようだ。まさに働きバチの姿である。
一度、地上に降りてしまうと自分の居場所がわかりづらい。大きな目印を見つけて、テレポート装置のあるところまで歩いて行くことに。ただ、草や石ブロックで視界が遮られて、うっかりすると迷子にもなりかねない、というかなってました。神谷副編が。
「新妻さん、テレポートできません」
「え、神谷さん、いまどこにいるんですか・・・?」
Classroom Modeで探してみると、どうやらだいぶ会場から離れたところをさまよっている様子。テレポート装置に似ているスイカ状の物体に悩んでいたようだ。
「そこをもうちょっと右向いてまっすぐお願いします」
そういえば以前の記事で、「マルチプレイあるある話だが、たまに迷子になる人もいるし」と書いたっけな。これも、ホスト役の大事な仕事かも。「まさか、自分が・・・」とぼやく神谷副編であった。
筆者が懸念したように、手持ちの蜜(ロケット花火)を消費してしまうことも。一度、こうなると補充をしない限り、花に飛んでいくことができなくなってしまう。
これを救済するシステムとして用意されているのが「Bee Banker」。壺に溜まっている蜜の量にもよるのだが、お願いすると蜜を3つ分けてくれる。なんだか、他の人の頑張りを横取りしているみたいで、若干の申し訳なさが漂う。もちろん、十分な蜜がない場合や、別のチームのBee Bankerに頼んでも分けてくれないので気をつけよう。
実は低いところからでも飛び立てるってどゆこと!?
しばし⾒ていると、なにもない地上から⾶び⽴っているように⾒える⼩学⽣の姿が。確か、注意事項で地⾯に降りると⾶び⽴てないって聞いたんですけど。
「あのお、ひょっとして今そっから飛んでったりしてますか?」
「できるよ」
「まじかーい」
知らないというのは哀しいことである。実は、エリトラ(飛翔用の羽)の使い方として、高いところから飛び降りるのは初級編らしい。なんと、少しの高さがあれば、ロケット花火と併せて飛翔でき、さらにいえば、平らな地面からも飛び立てるんだとか。このあたり、マイクラ慣れてしている小学生たちはむちゃくちゃ詳しいようである。ゲームとして成立するかなんて心配はどうやら無用だったようだ。
「これは、子どもは近くの花で蜜を集めるのを禁止して貰わないとだめですね」
「ゲームとして成立しませんね」
などという大人げない会話を大人がしている中、順調に飛び回って蜜を集めている小学生でありました。
わいわい笑い声も絶えぬ時間もあっという間にすぎ(正味30分ほどだった)、ついにそのときがやってきた。小学生1人チームの壺が蜜で一杯になり、ゲームは終了。その瞬間、勝った側の色のエリアに強制テレポートされるようになっている。
あの空っぽの巨大壺がほんとに一杯になるとは恐れ入った。しかも1人でである。聞けば、マイクラ歴は1年半ぐらい、普段はNintendo Switchで遊んでいるのでマウスとキーボードでの操作はやりにくかったとか。結果的にハンデ付きでこのありさまなので、大人は覚悟してかかった方がよさそうである。
こうなると熟練者同士の壮絶な蜜集めも面白そうである。保護者同士 vs 子どもたちも、面白いこと間違いなしだろう。先生たちの対抗戦も受けそうだ。
マイクラのeスポーツは子どもも大人も楽しめる競技体験
たった1回の身内での練習試合ではあるが、筆者は教育版マインクラフトのeスポーツについて、確かな手応えを感じた。
今回は人数が少なかったためチームプレイはできなかったが、3人以上でチームが組めれば役割分担も生まれるだろう。エリトラに慣れた子は遠くまで蜜を可能な限り集めて回り、中継地点を作って蜜を集積して、飛ぶことがあまり得意でない子は壺に集める役目を担うなど、チームメンバーの得手不得手に応じた作戦も必要になってくるだろう。あえて蜜を壺に入れずに相手を油断させ一発逆転を狙う、といった心理戦もできそうだ。
また、年齢/性別/技量関係なしに、楽しい時間をすごすことができるもの魅力だ。いろいろな催し物やイベントの入り口に活用できるかもしれない。マインクラフトでは自分たちでルールを作れるので、面白い遊び方も発掘できるだろう。ネット越しの参加がもう少し安定的にできれば、全国版ハチミツカップも可能かも知れない。そんな妄想を抱くに十分な体験であった。
教育版マインクラフトのeスポーツカテゴリーのワールドは、まだまだたくさんある。特に、同じ庭園のデザインを使った「作成およびモデル化:働きバチ」、「コードで作ろう:働きバチ」の2つが用意されている。こちらは建築を競い合うeスポーツなので、こちらもぜひ試してみて欲しい。
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