こどもとIT

⽂科省開発のCBTシステムMEXCBT(メクビット)、活⽤校の募集を開始

――「機能拡充版」を11月1日にリリース

出典:文部科学省のサイトより

文部科学省は2021年11月1日、同省が開発を手掛ける、学びの保障オンライン学習システム「MEXCBT (メクビット)」について、機能拡充版の活用に関するオンライン説明会を実施した。

MEXCBTはすでに、令和2年度、3年度にプロトタイプ版を用いた実証実験を行なっているが、11月1日からは第2フェーズとして「MEXCBT機能拡充版」をリリース。文部科学省では同日から、活用校の利用申し込みを開始し、11月下旬から希望する小中高校等での活用を順次開始する。

MEXCBT (メクビット)とは?

MEXCBTは、小・中・高等学校等に通う児童生徒らの学びを保障するため、学校や家庭において、オンライン上で学習やアセスメントができるCBT(Computer Based Testing)システム。文部科学省が事業者連合体によるコンソーシアムに委託し開発を手掛けている。

開発の背景にあるのは、海外の教育現場で利用が広がるCBT導入の動きと、コロナ禍における学びの保障。「1人1台端末」を活用したデジタルならではの学びをめざして、学習コンテンツを提供し、採点の自動化や児童生徒の学習状況や習熟度に応じた学習を推進していく。

出典:文部科学省のサイトより

具体的に学校でMEXCBTを利用する場合は、MEXCBTへのアクセス機能を持つ「学習eポータル」を窓口として活用する必要がある。学習eポータルは、デジタル教科書や教材、各種ツールにもアクセス可能で、それらをシングルサインオンで利用できるようにするなど、学習リソースを利活用する際の連携ハブ機能を持つ。利用者にとってアクセスが容易になるだけでなく、デジタル教材などを開発する事業者にとっては個々のソフトごとに連携機能を用意する必要がなくなる。

MEXCBTの仕組み(出典:文部科学省のサイトより)
MEXCBTの活用イメージ(出典:文部科学省のサイトより)

問題が充実した「機能拡充版」をリリース

MEXCBTは、令和2年度に開発がスタートし、令和2年度、令和3年7月から10月にかけてプロトタイプ版の実証実験が行なわれた。プロトタイプ版で提供されていたのは、国が作成した全国学力・学習状況調査問題や高等学校卒業程度認定試験問題など既存の問題をデジタル化した約2000問。これまで令和2年度に3万人、令和3年度に11万人、延べ約14万人の児童生徒が実証実験で活用している。

利用者からは、「MEXCBTを授業中や放課後、家庭学習(宿題)の際に活用した」という声や「教員は配信するだけでテストを利用できるため、印刷や採点の手間が省け、業務効率が向上した」などの声があがっているという。

(出典:文部科学省のサイトより)

11月から提供を開始する機能拡充版は、プロトタイプ版からさらに内容を充実。当初は約1万問の問題を搭載するが、年度内に2~3万問程度に拡充していく。また問題についても、地方自治体等の学力調査等の問題、さらに動画などを活用したCBTならではの問題や、国際学力調査であるPISAの公開問題、理科における動画を活用した問題、情報モラル教育推進コンテンツなどを追加していく計画だ。ほかにも、英語検定、数学検定、漢字検定等の公開問題や質問紙調査など多様な形式の問題を提供していく。

また使い勝手の向上を図るべく、11月下旬段階では問題検索、選択の利便性向上、テスト実施支援機能としてラインマーカーなどの機能や実証用以外の学習eポータルとの接続も可能となる見込みだ。

その後、2022年1月には特定の問題を特定の自治体や学校に配信することや、テスト実施画面の見やすさの改善、数式入力支援ツールの実装、問題の複数同時配信を実施する予定。2022年3月には、問題検索方法を問題一覧から選択するなどの拡充を行ない、記述式問題に対する教員の手動採点可能、問題のメタ情報登録や公開申請がシステムから可能とするなどを予定している。

MEXCBT(機能拡充版)のイメージ(出典:文部科学省のサイトより)

機能拡充版からは利用の際に学習eポータルの活用が必要となる。説明会では、現段階で学習eポータルを提供する4社がプレゼンを行なった。具体的には、内田洋行の「L-Gate」、NECの「Open Platform for Education(OPE)」、NTTコミュニケーションズの「まなびポケット」、スタディプラスの「Studyplus for School」となる。

それぞれが独自の特徴をもっている他、ツール類などの相互互換性を維持するために国際標準規格のサポートなどを行なっている。今後、4社以外の学習eポータルも増えていく見通しだ。一方で、プレゼンを見た視聴者からは、「実際に触ってみないと、使い勝手がわかりにくい」といった声もあがり、取っ掛かりのハードルを低くするなど課題もある。

内田洋行の「L-Gate」
NECの「Open Platform for Education(OPE)」
NTTコミュニケーションズの「まなびポケット」
スタディプラスの「Studyplus for School」

11月1日よりMEXCBT(機能拡充版)の活用校を募集

文部科学省では2021年11月1日に開催された説明会で、同日16時よりMEXCBT(機能拡充版)の活用校について募集を開始すると発表した。利用対象校は、全国の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校。費用は無償で、11月下旬から順次活用を開始し、令和4年3月末まで利用する。

利用申し込み開始時期・方法については、専用の申し込みフォームにて手続きを行なう。詳しくは文部科学省のサイト、もしくは「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)の活用に関する説明会」の資料を参考にされたい。

三浦優子

日本大学芸術学部映画学科卒業。2年間同校に勤務後、1990年、株式会社コンピュータ・ニュース社(現・株式会社BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。PC Watch、クラウド WatchをはじめIT系媒体で執筆活動を行っている。