こどもとIT

子どものオンライン学習に対する親の本音は?

――CCCマーケティング総研レポート

コロナ禍の休校措置をきっかけに広がり始めたオンライン学習。子どもの学習環境が変化する中、親は「子どものオンライン学習」について、どのように思っているのだろうか。CCCマーケティング総研では、小学生・中学生・高校生の子どもを持つ1,525人のT会員を対象に、子どものオンライン学習に関するアンケートを実施した。

約6割がオンライン学習を体験

オンライン学習の経験有無について、学校・学習塾・自宅のいずれかで、子どものオンライン学習の経験について尋ねたところ、約6割が「経験ある」と回答(図1)。学年(小中高)別では、小学生が最も多く65.0%、場所別では「塾の授業・指導」が最も多く55.6%となっている(図2)。

図1.オンライン学習の経験(出典:CCCマーケティング総研)
図2.オンライン学習をしている割合【学年(小中高)別・場所別】(出典:CCCマーケティング総研)

また、子どものオンライン学習に対して、全体では半数近くの親が「もっと普及すべきである」と考えていることも分かった。子どもがオンライン学習を経験している親においては、その数が55.5%と半数を超えている。

図3.あなたのお考えや意見としてどのくらいあてはまりますか。【タブレットなどを使った子どものオンライン学習はもっと普及すべきである】(出典:CCCマーケティング総研)

親視点では従来の学習方法がよい?

親の視点から、子どもの学習において「オンライン学習」と「従来の紙の教科書や問題集を使った学習」のどちらが良いか尋ねたところ、全体では「オンライン学習」が26.6%、「従来の紙の教科書や問題集を使った学習」が73.4%という結果になった(図4)。「もっと普及すべき」と考える一方で、「従来の紙の教科書や問題集を使った学習」の支持が高いのはどのような背景があるのか。

図4.子どもの学習において「タブレットやパソコンを活用したオンライン学習」と「従来の紙の教科書や問題集を使った学習」のどちらがよいか(出典:CCCマーケティング総研)

そこで、子どもがオンライン学習をする際の困りごとについても質問。「子どもの視力が悪くなりそう」(44.4%)、「子どもが勉強と関係ないサイトやSNSを利用したり、ゲームをしてしまう」(31.0%)といった子どもに関する心配ごとが上位を占めた。

一方で、「通信トラブルや機器の不調が起きると自分(親)以外の家族でないと対応できない」「通信トラブルや機器の不調が起きると誰も対応できない」「オンライン学習時に子どもをサポートする必要がある」などが2割程度挙げられている。学習する本人以外の自分や家族も使用する端末や通信環境について理解が必要なことを負担に感じていると想定される。

図5.オンライン学習をする際に、あなたやご家庭において困ること(出典:CCCマーケティング総研)

また、子どものオンライン学習やIT機器の利用に関する考えを見てみると、「インターネットやSNSを使うことの危険性を学校で教育すべきだ」「子どもがパソコンやタブレット、スマートフォンを使うにあたっては、親が利用時間など利用を管理する必要がある」が7割前後と多くの親が回答している(図6)。図5でもオンライン学習時に子どもが勉強をしているかどうか、勉強に集中できているか気にしている様子が見られたが、子どもがパソコンやタブレットを使うこと自体を心配する親も多くいる。

図6.子どもの学習に対する考え(出典:CCCマーケティング総研)

同調査では、子どもを持つ親に「従来の紙の教科書や問題集を使った学習」の支持が高いのは、直接指導を受けられるほか、オンライン学習をとりまくリスクや心配ごとも原因の一つと分析。オンライン学習が普及するためには、通信機器や通信環境のサポート体制、学習時間や進捗を管理する方法が必要だと指摘している。一方、オンライン学習は、場所を選ばずに勉強できる、パソコンやタブレットに使い慣れるきっかけとなるなどメリットも言及。新しい学習手段のため、サービスの改善や利用者側の「慣れ」もまだ必要であると分析している。

編集部