こどもとIT

教育版マインクラフト、ついに学校以外で利⽤可能に︕プログラミング教室や課外活動でもライセンスを提供開始

教育版マインクラフト「Minecraft: Education Edition」が、ついに学校以外でも使えるようになる。

これは5月26日に発表された最新アップデート「The Camps and Clubs Update」にあわせたライセンスの条件変更で、新たに想定されているライセンス提供先は、プログラミング教室や学習塾、放課後教室、クラブ活動、非営利団体、課外活動、ホームスクールなどだ。

The Camps and Clubs Update」のブログページ(写真は公式サイトより)

教育版マインクラフトは、これまで、小学校や中学校、高校など、マイクロソフトが定めた教育機関とそのユーザーに利用が限られていた。そのため、マインクラフトの高い教育効果を知る教育関係者らが、プログラミング教室や地域の課外活動などで利用したくてもライセンスを入手できず、かねてよりライセンス発行対象の範囲拡大が熱望されていた。

教育版マインクラフトは通常のマインクラフトでできることに加えて、ワールド内に散らばる子どもたちの位置情報を管理したり、個別にチャットを送るなど「Classroom Mode」を使えるのが特徴だ。

チュートリアルや教材、認定バッジも用意

The Camps and Clubs Updateでは、Microsoft 365アカウントを持ち、組織のIDを作成すれば、ライセンスは個別で購入が可能となる。金額は1ユーザーあたり年間12ドル。また初めて教育版マインクラフトを使って活動する教育関係者のために、ワールドやチュートリアルをダウンロードできるスターターキットや、クリエイティビティや21世紀型スキルを伸ばす教材も用意。さらに、マインクラフトを使った学びを広げるサポーターとして、3種類の認定バッジも設けられている。

教育版マインクラフトの普及をめざして、サポーターに用意された3種類のバッジ(写真は公式サイトより)

また、今回のThe Camps and Clubs Updateには、下記の機能も追加されている。

・教育機関向け動画交流サイト「Flipgrid」への埋め込みリンクが可能に
教育者や子どもたちは、教育機関向け動画交流サイト「Flipgrid」や「Microsoft Forms quiz」などのツールを使って、ワールドやレッスンを共有できるようになる。

教育機関向け動画交流サイト「Flipgrid」との連携も簡単に(写真は公式サイトより)

・現在使用している学習管理システム(LMS)から起動できる
教育機関や組織で利用している学習管理システム(LMS)から教育版マインクラフトを起動できるようになる。

利用している学習管理システム(LMS)から起動できる(写真は公式サイトより)

・マルチプレイヤーが参加可能なワールドのリンクを共有できる
ワールドのホストは、ユーザーに対して直接ワールドに参加できるリンクを共有できる。共有リンクは「マルチプレイヤー」と「一時停止」のメニューがあり、Teamsなどで送信することも可能。

ワールドのリンクをマルチプレイヤーに共有できる(写真は公式サイトより)

・一括で管理できるClassroom Settingsを追加
教育版マインクラフトでは活動内容に合わせて、使えるブロックを制限したり、コマンド入力を許可したりとさまざまな設定が可能であるが、教育目的でよく使う設定を一括で管理できる「Classroom Settings」を追加。新規ワールド作成時に設定できるようになった。

Classroom Settingsを追加(写真は公式サイトより)

・ワールドの管理も簡単に
ワールドリストで任意のワールドを選択し、「Manage」を選択すると、「Copy」「Export」「Delete」といったワールドを管理できるタスクが追加された。

World Management の画面(写真は公式サイトより)

・教育者と建設作業員のNPCが新たに登場
教育者と建設作業員のNPCで10種類のスキンが追加された。

教育者と建設作業員のNPCが登場。スキンも10種類追加(写真は公式サイトより)

教育版マインクラフトについては、日本国内でも「Minecraftカップ」に参加する児童生徒やメンターに対して、ライセンスが貸し出しされていた。この大会では、学校以外の学びの場として教育版マインクラフトが活かされおり、多くの子どもたちが参加し、素晴らしい作品を発表した(参照:小学生がマインクラフトで魅せた本気の表現力、人と環境にやさしい未来の学校)。

本稿では公式発表のみをお伝えしたが、実際にThe Camps and Clubs Updateの体験レポートや、ライセンスの購入方法については、追ってレビューする予定だ。プログラミング教室や放課後教室などでマインクラフトを利用したいと思っていた教育関係者の方々は、ぜひ楽しみにお待ちいただきたい。

神谷加代

こどもとIT副編集長。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。