こどもとIT

Chromebook活用、9年間を網羅した冊子。相模原市教育委員会が『さがみはらGIGAスクールハンドブック』を公開

GIGAスクール構想でChromebookが導入された学校の教育関係者に向けて、端末管理や運用、授業での活用など、参考にできるハンドブックを紹介しよう。相模原市教育委員会が2021年3月に公開した冊子『さがみはらGIGAスクールハンドブック』だ。相模原市⽴総合学習センターのホームページにて誰でもダウンロードできる。

同ハンドブックは、ICT教育やプログラミング教育に先進的に取り組む相模原市が、市内の教員に向けてGIGAスクール構想の方針や、学校現場でのChromebookの活用についてまとめたもの。Chromebookでどのような授業ができるのか、アカウントのログインはどうすればいいかなど、現場で必要となる情報に関して、これからICTを使い始める教員にもわかりやすく説明している。

もちろん、相模原市の教員向けに書かれたものなので、端末の管理やGoogle Workspace for Educationの運用などについては、同市独自の内容になってしまう部分もある。しかし、年度末の作業や故障時の対応など、学校現場としてどのような作業や対応が必要になるのか、これからGIGAスクール端末の管理運用を始める教員が活用全体のイメージを掴むには十分参考になるはずだ

ハンドブックでは、小学校と中学校、すべての教科や特別活動におけるICT活用を取り上げ、授業で使えるアプリやICTを活用するポイントにも触れている。また9年間を通して、児童生徒の情報活用能力をどのように伸ばしていくのか、学年ごとに取り組む内容を体系的にまとめて一覧で示しており、これからの実践に必要な情報が網羅されている。

ハンドブックでは、小学校と中学校、すべての教科や特別活動のICT活用実践を取り上げている

一方、GIGAスクールでは現場でいかに活用を広げていくかが課題だと言われているが、相模原市ではこれまでの実績をもとに、Chromebookが導入されてから最初の3か月で取り組む内容をまとめたチェック表を作成。現場では、”端末は導入されたが、どうすればいいのかわからない”という教育者も多く、こうしたチェック表があることで、一つひとつの取り組みに挑戦し、確実に前に進められる教育者もいるだろう。

GIGAスクール最初の3か月チェック表(さがみはらGIGAスクールハンドブックより抜粋)

相模原市だけでなく、今まで先進的にICT活用に取り組んできた教育委員会には多くのノウハウがある。多くの学校が挑戦のフレーズにある今、先進地域や先進校の取り組みが広く発信され、これからチャレンジする学校に有益な情報として届いてほしい。

神谷加代

こどもとIT副編集長。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。