こどもとIT

『教えて!タブレット先生』世田谷区教育委員会が1人1台の疑問に答える情報発信

2021年度の新学期もスタートし、全国多くの学校現場でGIGAスクール構想による1人1台活⽤が始まっている。しかし、学習や学校⽣活で端末をどう活⽤していくのか、1⼈1台活⽤で何をめざすのか、まだまだ各家庭に伝わっているとは言えない状況だ。

そこでわかりやすい情報発信の⼀例として、昨年度に端末を配備した世⽥⾕区教育委員会のパンフレット『教えて!タブレット先生』を紹介したい。

世田谷区が配布した学習用タブレットに関する案内『教えて!タブレット先生』(2021年2月15日配布)

世田谷区は、2021年2月から3月の2ヵ月間に、児童生徒や保護者に対して、学習用タブレットに関するFAQをまとめた案内『教えて!タブレット先生』を3回にわけて配布。児童生徒には学校から紙で配布され、保護者にはメール経由でPDFファイルが送られた。

「みなさんが自由に使えるように できるだけ制限をかけない設定になっています」など、世田谷区がめざす端末活用の方針や、活用するうえでの疑問点などがコンパクトにまとめられているうえ、デザインも見やすくわかりやすい。多くの自治体で、保護者向けの説明資料が配布されているが、このようなテイストのものはめずらしく、好例だといえるだろう。

『教えて!タブレット先生』の第1弾は、主にタブレットの活用について。Q&A方式で、「自分でアプリをインストールできますか?」「YouTubeで動画を見ていいですか?」など、実際に使う児童生徒や保護者の疑問に対して、1人1台で目指す学びの本質をわかりやすく答えているのが印象的だ。第2弾は、タブレットが学校でも、家庭でも、使えることを周知する内容。「いつから学校でも、家庭でも使えるようになりますか?」「ネットワークが整備されていない場所でも使えますか?」など、よくある質問に答えている。

世田谷区が配布した学習用タブレットに関する案内『教えて!タブレット先生』(2021年3月15日配布)

第3弾は、春休み前に長期休業中の使い方について啓蒙する内容。端末を活用するうえでの注意点に加えて、学習に役立つサイトをQRコードを添えて紹介している。

世田谷区が配布した学習用タブレットに関する案内『教えて!タブレット先生』(2021年3月19日配布)

このように各自治体の教育委員会では、1人1台活用に向けて、児童生徒や保護者向けに活用内容やルールを記載した案内を配布している。お住まいの地域では、どのように端末を活用していくのか。教育委員会や学校の情報にアクセスし、理解を深めてほしい。

神谷加代

こどもとIT編集記者。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。