こどもとIT

子どもたちがマイクラで表現する「未来の学校」が集結! Minecraftカップ2020全国大会 一次審査通過作品発表

教育版マインクラフトで創るワールドの作品コンテスト「Minecraftカップ2020全国大会」(主催:Minecraftカップ2020 全国大会運営委員会)が2021年2月21日にオンラインで開催される。その全国大会に向けて、一次審査を通過した作品が2021年1月11日に発表された。

Minecraftカップ公式サイトの一次審査通過作品より

2回目の開催となる今年のテーマは、「未来の学校~ひとりひとりが可能性に挑戦できる場所~」。コロナ禍の今、子どもたちの学び方や学校生活が変わりつつあるなか、学びの当事者である子どもたちは、どのような学校を望んでいるか。またSociety5.0やSDGsなどの観点から、未来の学校はどう在るべきか。子どもたちは自分が理想とする学校をマインクラフトで表現する。

グループによる応募となった昨年と異なり、今年は「小学生低学年」「小学生高学年」「中学生」「高校生」と4つある部門のうち、すべてにおいて個人制作による作品募集となった。

マインクラフトは、チームでの協働作業や探究によって生みだされる作品が魅力のひとつであるが、個人制作だからといって、その魅力が損なわれるわけではない。一次審査を突破した子どもたちの作品からは、未来の学校について真剣に考え、さまざまなアイデアを盛り込みながら、ワールドの完成度を高めていく熱量が伝わってきた。

子どもたちが作った未来の学校はどのようなものか。一次審査を通過した作品動画と、一次の審査員を務めたマイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)の教育者らのコメントを一部紹介しよう。審査員全員の講評はこちらを参照されたい。

小学生低学年部門(一次通過作品・25作品)

小学生低学年部門はまだマインクラフト歴として浅く、プログラミングやレッドストーン回路の使用、SDGsの理解についてもむずかしいように思われたが、子どもたちは図書館や新聞、ネットなどで情報収集し、さまざまなアイデアを発揮しながら作品づくりに取り組んでいる様子が伝わってきた。

熱意溢れる珠玉の作品に圧倒されました。みなさんMinecraftが大好きなんだろうなあと感じながら拝見しました。

それぞれにSDGsについて学び、未来の学校について考えていました。ある子は目標4-aをもとに誰もが公平に学習できる校内施設、環境を整えた学校をつくろうとしていました。またある子は目標2に焦点を当て、自給自足する町とその町の中核施設としての学校のあるべき姿を模索していました。

いずれの作品にも、自ら問いを設定し、ゴールを見据え、必要な情報を調べ、調べたことをもとに制作したことが表れていました。そして制作の過程で生まれる新たな疑問や課題に対して、さらに問いを立て、調べ、作り込んでいったことも伝わってきました。

これは、問題解決の学習サイクルを自ら何度も回す探究の学びに他なりません。これからの学校教育に必要な学びの姿を見せていただいた気がします。ありがとうございました。

(土井国春教諭・徳島県東みよし町立加茂小学校)

小学生高学年部門(一次審査通過作品・50作品)

マインクラフトで凝ったこともできるようになる小学生高学年部門。プログラミングやレッドストーン回路の使い方も多様になり、スケールの大きい作品が多かったのが印象的だ。SDGsへの理解も自分で調べて着想を得ているほか、不登校の子たちが楽しめる学校を意識したり、学校が嫌いだと話す友だちにその理由を聞いて作品を考えたというエピソードもあったりと、身近な友だちの幸せを願う気持ちも表現されていた。

コロナで大変な中であったにもかかわらず、みなさんのすばらしい作品をたくさん見られて、心から感動しました! 審査で点数をつけるということが、正直とても辛かったです。私は日ごろ小学校の先生をしていますが、一つ一つの作品をじっくり見ていきながら、「学校って何のためにあるのかな」と学ぶことができました。

そして、マインクラフトの持つ可能性は無限大だなということも、改めて感じました。自分の表現したいアイデアをカタチにできる、無限に広がるキャンバスのようだなって感じることができました。

今回のマイクラカップを通して、マイクラはもちろんのこと、コンピュータが「誰かのために役に立つ」道具として活用していってほしいと願っています。私も、今よりもすてきな学校づくりを目指して、がんばっていこうと思います。

1次審査を突破したみなさん、心から応援しています! 共に、未来の社会を作っていきましょう!!

(小池翔太教諭・千葉大学教育学部附属小学校)

中学生部門(一次審査通過作品・35作品)

プログラミングやレッドストーンの活用はもちろん、マインクラフトのスキルも高い中学生部門。またテーマに対して、SDGsなどの社会課題だけでなく、「そもそも学校とはどういうものか、どうあるべきか」という問題意識を持ち、自分たちがどんな風に学びたいかを表現した作品があったのも特徴的だ。

今回、私は、中学生部門の1次審査リーダーとして、ほとんど全てのワールドを見させていただきました。withコロナを意識した学校が多く、 非常に考えられて作られているものが多く、感動しました。

また、SDGsに真摯に向き合うワールドも多数あり、審査している私自身が勉強になりました。

さらにコマンドで整地したりするだけではなく、makecodeを活用して効率良くワールドづくりをしている生徒もいました。

最後に、1日の活動時間を決めて、勉強面との両立を図っている生徒もいました!!さすが中学生!!

今後の活躍に期待しています!!

(岩田智文教諭・愛知県江南市立西部中学校)

高校生部門(一次審査通過作品・10作品)

小さい頃からゲームとしてマインクラフトに親しんでいた高校生世代。そんな高校生部門においては、忙しい毎日の中でいかに自分で制作時間を確保し、作品のクオリティを高めていくかが課題だったように伺える。そんな作品づくりではあるが、LGBTQの人に配慮した学校、未来の学校に残したい文化など、伝統と新しさの両軸を大切にする作品もあった。

単に「ワールドを作る」だけではなく、「どのように見てもらうか」という視点を意識した作品があり、作品内で審査員(来訪者)を誘導してくれました。ぜひ、「見せかた」を意識した作品作りを心がけてください。

(岡田隆嗣教諭・神戸学院大学附属中学校・高等学校)

以上、一次審査を突破した作品は、1月24日まで二次審査が行なわれる。二次審査は、作品を応募した参加者らによるピアボーティング(他の参加者の作品についてお互いに投票し合う仕組み)となり、二次審査を通過した作品が、2月21日に開催される全国大会に選出される。全国大会の様子はオンラインにて配信される。

編集部