こどもとIT

GIGAスクール、ポストコロナ、N高、マイクラ、プログラミング……2020年に注目を集めた記事から今年を振り返る

今年も残すところ、あとわずかとなりました。2020年最後となる今回の記事は、今年1年(2020年1月1日~12月25日)「こどもとIT」でアクセス数の多かった記事をお届けします。年末年始はステイホームで、おうちでゆっくり過ごされる方も多いことでしょう。2020年の振り返りにご覧いただければ幸いです。

アクセス数全体の傾向としては、コロナ禍の休校期間中は在宅時間が増えたことも影響し、その時期に公開したコロナ関連の記事がよく読まれました。編集部でアクセス数を集計した際も、休校期間中に公開した下記2本の記事がアクセス数としてはトップになりましたが、これらの記事内容はコロナ禍の限定的な情報であるため、ランキングからは除外しました。
【随時更新】新型コロナウイルス休校中の学習支援サービスまとめ(2020年2月28日公開)
【随時更新】緊急事態宣言、在宅でできる教科学習サービスまとめ(2020年4月8日公開)

コロナによる休校措置、GIGAスクール構想の前倒し、大きな転換期を迎えた2020年、読者に読まれた記事は?

それでは、アクセス数の多かった記事を1~10位まで紹介しましょう。

1位:ポスト・コロナで目指す学校の姿は、“Face to Face”から“Side by Side”へ――東京学芸大学附属小金井小学校 臨時休校実践レポート

東京学芸大学附属小金井小学校は休校期間中に、全教員・全児童にMicrosoftのアカウントを発行し、Teamsを使える環境を実現した

コロナによって日本全国の学校が休校するという、前代未聞の出来事に見舞われた2020年。子どもたちの学びを継続させようと、現場ではさまざまな試行錯誤が繰り広げられました。そのひとつ、東京学芸大学附属小金井小学校の取り組みを紹介したレポート記事は多くの読者に読まれました。ICT環境に恵まれているわけではなかった同校が、どのような過程を経てオンライン学習を実現したのか。現場の苦労や生の声を綴るとともに、これからの学びの在り方を示唆しています。

2位:マインクラフトの世界をMakeCode(メイクコード)でプログラミング!

マインクラフトを活用したプログラミング教育への関心は、年々高まっている

「こどもとIT」では、子どもたちに人気があり、教育的利用も進むマインクラフトの話題を多く扱っています。なかでも2018年11月30日に公開した同記事は、2020年になった今でも読者の方にコンスタントに読まれており、「マインクラフト×プログラミング」への関心がいかに高いのかがわかります。その背景には、2020年より小学校におけるプログラミング教育が必修化されたことも影響しているでしょう。また、コロナ禍で在宅時間が増え、家庭でプログラミングに挑戦する子どもたちも増えているようでした。

3位:「ガチガチiPad」から、生徒の好きな端末のBYODにした理由は?――湘南学園中学校高等学校の取り組み(前編)

生徒たちが自分の好きな端末を活用するBYOD。湘南学園の生徒たちが選んだ端末は?

2020年はGIGAスクール構想が前倒しされ、当初の予定よりも早く1人1台環境の整備が進められることになりました。これを受けて「こどもとIT」では、1人1台環境で学びはどう変わるのかをレポートする新連載「1人1台時代の学校現場」をスタート。その第1回目に取り上げたのが、湘南学園中学校高等学校です。本当に生徒たちが“使える”環境にするためには何が必要か。全国的にもめずらしいBYODの実践を取り上げています。

4位:「基礎学力は高いがAIに代替されるリスク」OECD幹部が指摘する日本人材の強みと弱み―― Adobe Education Forum Online 2020 (前編)

ニューノーマル時代を生きる日本人の強みと弱みは?コロナ禍で多くの読者に刺さるテーマでもありました(スケッチノート:ももこ | グラフィックレコーダー @mmk_english)

Adobeが今年夏に開催した教育フォーラム「Adobe Education Forum Online 2020」。その基調講演に登壇したOECD東京センター所長 村上由美子氏の講演レポートも多くの方に読まれました。コロナ禍で学び方・働き方が変わる中、これからの人材育成は何をめざすべきか。海外諸国と比較しながら、日本人の強み、弱みを分かりやすく説明し、これからの教育が果たす役割を投げかけてくれました。

5位:一斉休校で児童と先生をICTが結んだ、学びのライフライン――千葉大学教育学部附属小学校の臨時休校対策緊急レポート

全校一斉にライブ中継でTeamsの使い方を説明中。早い段階でオンライン学習に移行できた、同校の舞台裏を記事でレポート

1位の東京学芸大学附属小金井小学校のレポート記事と同様、コロナの休校期間中にオンラインコミュニケーションやオンライン学習に取り組んだ千葉大学教育学部付属小学校のレポート記事です。同校は休校措置が始まって早々にTeams活用を開始。その様子を早い段階で取材することができ、教育関係者や保護者の方に広く読まれました。

6位:教育現場はChromebookが本命? 主体的な学びを実現するために、クラウドが欠かせない理由とは――第10回 教育ITソリューション EXPO(EDIX)レポート④

2019年に開催されたEDIXの様子。GIGAスクール構想を受けて、昨年のEDIXの記事も広く読まれる結果に

この記事は2020年ではなく、2019年に開催されたEDIXの様子をレポートしたもの。1年前の記事ではありますが、GIGAスクール構想が前倒しされた2020年の今年、多くの教育関係者に読まれました。1人1台環境の実現をめざして、どのようなICT環境を整備すべきか。多くの方が熱心に情報収集されていたことが伺えます。

7位:コロナで浮き彫りになった教育行政と学校の課題と、GIGAスクール構想でめざす姿——「Withコロナ×GIGAスクール構想における公教育の転機と課題」レポート

行政担当者、現役校長、保護者など、さまざまな立場の教育関係者が集まり、コロナ禍の教育課題が議論

コロナ禍の休校期間中は、子どもたちの学びを継続するためにICT活用が求められましたが、実践できた学校はほんの一部。多くの学校で学びがストップしてしまう事態に見舞われました。日本の学校現場は何が問題なのか。GIGAスクールのICT環境整備は、どのように進めていくべきか。さまざまな立場のパネリストが集まったトークイベントのレポート記事も多く読まれました。

8位:「ネットワーク」に「双方向」!? 倍増するプログラミングの学習内容に中学校の現場はどう対応するのか――相模原市立相原中学校 技術科公開授業レポート

プログラミング教育に先進的に取り組む神奈川県相模原市。中学校の授業実践をレポート

2021年度から、内容が改訂される中学校のプログラミング教育。2020年度の今年は、その準備期間ということで、プログラミング教育に先進的に取り組む相模原市の中学校の事例記事もアクセスを伸ばしました。2018年に公開した記事ですが、中学校のプログラミング教育における実践事例はまだまだ少なく、ロングランで読まれています。

9位:教育版マインクラフトで創造する喜びにあふれる、子どもたちのクリエイティビティに魅了された街づくり――「Minecraft カップ 2019 全国大会」最終審査会・表彰式レポート

「Minecraftカップ2019全国大会」にて最終プレゼンの様子。「スポーツ施設のある街をデザインしよう」をテーマに、子どもたちがマインクラフトで創造力を発揮した

昨年、初めて開催された教育版マインクラフトを活用したものづくりコンテスト「Minecraftカップ2019全国大会」のレポート記事。マインクラフトは子どもたちの間でゲームとして大人気ですが、プログラミング教材やコラボレーションツールとして教育現場でも利用が広がっています。ゲームだけじゃないマインクラフトの魅力を知りたい方におすすめの記事です。

10位:N高×メルカリのコラボ授業、高校生が自分事として考える「20年後の価値交換ビジネス」——N高等学校 プロジェクトN「Project 2040 - 20 年後の価値交換を考える」成果発表会レポート

課題解決型学習にも力をいれる、N高通学コース。未来の社会を見据えたテーマに向き合う学習が行なわれている

以前は、ネットで学ぶ通信制高校というイメージが強かったN高ですが、近年は、先進的かつ多様な学びを実践する学校として、N高に関心を持つ保護者や教育関係者も増えています。2021年度からはS高も開校し、その勢いは増すばかり。新しい学校教育の在り方・学び方を見せてくれるN高は今後も注目です。

以上、「こどもとIT」で2020年に読まれた記事の1~10位を紹介しました。もちろん、これらの記事以外にも、平素より多くの読者の方にご愛読いただき感謝申し上げます。編集部では、これからも子どもたちの学びがさらに充実するよう、保護者の皆様、教育関係者の皆様に有益な情報をお届けしたいと考えております。来年も「こどもとIT」をよろしくお願いします。

編集部