こどもとIT
Chromebook、GIGAスクール構想で稼働台数が急増
――MM総研「国内Chromebookの市場規模調査」を発表
2020年10月22日 13:06
ICT市場調査コンサルティングのMM総研は、国内Chromebookの市場規模調査を実施し、その結果を発表した。同調査によると、教育市場での好調な需要を背景にChromebookの稼働台数は、2019年末の24万5000台から、2022年末には616万6000台に拡大すると予測している。
出荷台数予測では2020年に157万1000台となり、2019年の15万台から10倍以上に増加する見込みだ。国内のノートパソコン市場全体に占めるChromebookの比率も、2019年の1%から2020年には13%に拡大。2021年には24%を占める見通しだ。
MM総研 執行役員研究部長 中村成希氏は「本調査結果は、新型コロナウイルスの流行を契機にユーザーのクラウドシフトが加速している一つの表れといえる。Chromebookはクラウドを活用する端末の一つとして教育市場を中心に家庭市場や他産業にも普及する可能性が高い」と述べている。
GIGAスクール構想が出荷台数増をけん引
Chromebookのシェア拡大の背景にあるのが、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の施策だ。全国の公立小中学校に1人1台端末の配備が進められており、この動きの中で、多くの自治体がChromebookを採用したことが出荷台数の急増につながっている。
2020年のChromebookの出荷台数は157万1000台で、前年比で10倍以上の伸びとなる見込みだ。最も出荷が多いと予想される2021年1-3月期を含む2021年は、281万5000台(前年比79.2%増)と予測されている。
新型コロナウイルスの影響で、GIGAスクール構想の端末配備が従来の4か年計画から1年に前倒しされたことが、国内ノートパソコン市場の拡大にもつながっている。Chromebookだけでなく、Windowsタブレットや画面回転型ノートパソコン、iPadの出荷も好調に推移している。2020年の国内ノートパソコンの出荷台数は過去最高だった2019年を超える1196万5000台となる見込みだ。
当初、2020年以降は、Windows10更新需要の反動で市場の縮小を予測していたが、GIGAスクール構想による新規需要が市場をけん引している。2021年も、1165万6000台と3年連続で1000万台を超える見通しである。
GIGAスクール構想を追い風に市場が拡大する中で、Chromebookの存在感も急速に高まる見込みである。国内ノートパソコンの総出荷台数に占めるChromebookの比率は、2018年、2019年では1%程度に過ぎなかったが、2020年には13%に拡大し、2021年には24%を占めるものと予測する。
日本のクラウド活用本格化と高速通信整備がChromebook拡大の呼び水に
MM総研は、Chromebookが急拡大する要因が、日本社会のクラウド活用本格化と高速通信の整備にあると分析する。本調査と並行し全国20を超える政令市や中核市、共同調達を実施した県へインタビューを依頼し、端末OS選定要因やめざす活用法を10の自治体から聞き取った。
Chromebookは、ICT活用基盤にクラウド利用を前提とし、政府補助を含む予算内で安全安心にとどまらない授業や指導を実現するという観点で自治体に選ばれている。政府がGIGAスクール構想の中で、学校の全ての教室に高速無線インターネット接続環境の100%整備を支援したことも大きな要因だ。このことからChromebookは、ローカル環境でリッチな作業を得意とするWindowsやmacOSの置き換えではなく、クラウド時代のパソコン新規需要を拡大していると分析している。