こどもとIT
乙女ゲーマーの母、幼児向けプログラミングアプリを選ぶ
2020年8月28日 09:28
こんにちは。乙女ゲーマー歴20年のゲームライターです。二児の母になってめっきりゲームに没頭する時間が減って、最近はもっぱら宝塚歌劇と愛の不時着でトキメキ成分を補給しています。
小学校のプログラミング教育必修化、小さな子を持つ保護者の間でも関心が強まっています。来年小学校に入学する6歳の息子を持つ筆者自身も、今からできることは何かないのだろうか……と、漠然とした不安が尽きません。
そんななか、GIGAスクール構想のニュースに背を押されて、我が家も息子専用のiPadを購入することに! せっかくならしっかり活用したいと思い、幼稚園から小学校低学年でも楽しく遊べるプログラミングアプリをいろいろと試してみました。
実際にプレイして驚いたのが、無料で楽しめるアプリが豊富なこと! しかも、ゲーム感覚で楽しめるものが多く、幼稚園年長の息子もたちまち夢中に。コロナ禍で習い事や外出がままならない日々が続きますが、そんな時だからこそおすすめしたい親子で楽しむプログラミングアプリを、ゲームライター目線から5つ選んでご紹介します。
プログラミングアプリのデビューに最適!『Code Karts』
Code Kartsは画面に並べられた方向ブロックを並び替えて、レーシングカーをゴールまで導くゲームです。4~8歳の低年齢向けということと、車好きな息子にピッタリな内容なことから我が家のiPad第1号アプリとなりました。
プレイして実感したのは、小さい子どもがプレイしやすい工夫があふれているということ! 画面左端にある方向ブロックをスワイプして、レーシングカーに指示を与えるのですが、子どもの指でも操作しやすく“ポン♪”と気持ちのいい効果音付きで楽しいです。
ちなみに息子は、コースを間違えるとレーシングカーがクラッシュし、ギャラリーから落胆の声が上がる演出が好きで大笑いしていました。正解した時はもちろん、間違えても面白いこの設計は素晴らしいですね。さらには、方向ブロックが色別で識別しやすいので、「赤はこっちだよ」というふうに2歳の弟もチャレンジ! トミカ愛が強いぶん、レースカーがゴールすると兄以上に大喜びしていました。
Code Kartsにはレベル10まで無料で遊べるクラシックモードと、有料版で解放される競争モードがあり、各レベルをクリアするとメダルがもらえます。そして嬉しいおまけ要素として、メダルを使ってレーシングカーをカスタマイズすることができるんです! スプレーで色を塗ったり、泥がついた車体を洗ったり……粋なギミックが息子の心をバッチリとつかみました。
子供が自然にプログラミングの概念に触れられる『LightBot』
Code Kartsに慣れ、親のサポートがなくてもサクサク命令ブロックを組むことができたので少し難易度を上げてみることにしました。LightBotも同じく推奨年齢4歳以上で、命令ブロックを組み合わせてロボットをゴールまで導くゲームです。
ポイントはロボットが青いタイルの上に来たら、電球を光らせること! ロボットの向きを変える際にロボットの目線になって左右を選択するのがむずかしく、最初は親も苦戦します。しかし、1つブロックを選ぶごとに実行ボタンを押し、確認しながら進む息子の姿を見て「意外と慎重派だな」と新鮮な発見がありニヤリとすることも……。
そんなLightBotの特筆すべきポイントは、複数のコマンドをセットにして実行する“プロシージャ”と特定の動作を繰り返す“ループ”があること。プログラミングという概念に初めて触れる5歳児にどう教えたらいいものかと悩んでいると、さっそく“ループ”を使わないと攻略できないステージに!
実際にプレイしてみると「ここは同じブロックが続いているね」、「こういう時に必要なんだね」と分析や解決が、自然に出来るようになっていることに気づきました。息子いわく、LightBotは「ジャングルジムの上を進んでいるみたい」な気分が味わえるそう。複雑そうに見えるコースも、柔軟な子どもの発想力は遊び場に変えてしまうんだなと驚かされました。
ゲーマーな親としては、Code Kartsのようにキャラクターの変更やアイテムなどに交換できるクリア報酬があったら、ゲーム性がよりアップするかな? と思いました。
論理演算が学べるパズルゲーム『TRYBIT LOGIC』
ブロックを用いてプレコーディングに触れる、上記のアプリとは異なるものを……という観点で探したのがTRYBIT LOGIC。コンピューターの世界でC言語やJavaといったプログラミング言語をマスターする際に必要となってくる論理演算を使ったパズルゲームです。
足し算や引き算などの四則演算と異なり、AかつB、AまたBといった条件分けによってデータを処理する考え方が論理演算……と書いている筆者自身、「わーっ!」と頭を抱えて逃げ出したくなります。ましてや、まだ10までの足し算や引き算に片足を踏み入れたばかりの息子に、こんなむずかしいことが理解できるのだろうかと不安になりましたが、そんな親の勝手な心配は無用でした。ご安心ください。
肝心のゲームですが、画面のようにナビゲーターキャラがわかりやすく説明をしてくれます。パズルの目的は極めて単純で、全部のビット(数字)を0か1にして、バグを倒すだけ。虫好きな息子は意外と食いついたようで、分からないながらもレベル10に達成する頃には慣れてきたよう(!)。「悔しいな、もう1回やっちゃおうか!」と言いながら意欲的に挑戦していました。ちなみに「小学生がプレイしたら、どうなんだろう?」という純粋な興味から、友人の小学4年生になる息子さんにプレイしてもらったところ、10分もしないうちにレベル26まで到達するほどのめり込んでいたそうです。
小さいうちから、遊び感覚で論理演算に触れるなんて……自分が子どもの頃には考えられなかったなと感心してしまいました。
動作環境 | iOSやAndroidのスマートフォンやタブレット、およびNitendo Switch |
対象年齢 | 4歳~ |
利用料金 | 基本無料(アプリ内課金あり、Nintendo Switchは税込815円) |
いざ! ビジュアルプログラミング『ScratchJr』
まだキーボードで文字をタイプできない小さい子でも、絵をタッチしたりブロックをスワイプするだけで簡単なゲームや物語を作ることができるのが「ビジュアルプログラミング」。なかでも超有名なScratchは、多くのプログラミング教室や教育現場で用いられています。今回は文字入力をしないでも楽しめる、5~7歳向けのScratchJrを試してみました。
有名なネコのキャラクターを中心に、自分の好きなキャラクターを選んだり自由に絵を描くことができます。息子はまずネコをカラフルに塗っていました。そう、この時点では何をしたらいいのか分からず完全に「無」からのスタートです。筆者のように「起動してみたけれど、何ができるの?」という方におすすめなのが、YouTubeで「scratchJr」と検索すると出てくるさまざまなお手本動画です。
動画を見て、キャラを小さく表示する方法を知った筆者は、息子の希望で「火を噴くりゅう」を作成。「りゅうに空を飛ばせたい」「ガオー! と吼えてから炎を噴くようにしたい」といった具合にリクエストがどんどん湧いてきます。ふたりで「どちらの描いた炎がより迫力があるか」対決をした結果、筆者の絵心の無さに息子のダメ出し攻撃をくらってあえなく撃沈。
目的を決めてどんなコード(ブロック)を選ぶか、あーでもないこーでもないと言いながら親子で没頭する時間が楽しかったです。使い方を覚えてからは、息子1人でも簡単な作品を作ったり、ひたすら絵を描いて遊ぶ姿が見られました。
“コンピューターは粘土だ!!”、より直感的に遊べる『viscuit』
「コンピュータってこういうものなんだ」ということを、より直感的に学べるビジュアルプログラミングがviscuitです。
遊び方はとてもシンプルで、自由に絵を描いたら“メガネ”と呼ばれる丸い輪のなかにその絵を配置して、思い通りに動かすこと。ScratchJrが「右に何マス動く」と細かな指示を送るのに対して、viscuitは絵を動かした手のさじ加減によってその動きやスピードが変化します。とにかく直感的なので、詳しくはviscuitの公式サイトで紹介されている動画を見ながら実際に触ってみるのが一番です。
viscuitには「みんなでつくる」、「ひとりでつくる」などのモードがあり、「みんなでつくる」を選ぶと、自分が描いた絵を他のユーザーが描いた作品が並ぶ世界に表示することができます。ちなみに息子は青い深海の世界を選び、ホホジロザメやハンマーヘッドシャークを描いて泳がせていました。暗い青の背景に黒で描画していたので「それだと見えにくくない?」と聞くと「深海だから暗い色にしてるの!」と冷静なツッコミが。子どもには子どもの世界があるんだな、とすぐ口を出したくなる気持ちを封印しました。
その他にもたまごとヒヨコの絵を描いて、ヒヨコをタッチするとニワトリになるという簡単なゲームを作ってみました。すると、このゲームづくりが息子に火をつけたようで、自分だけで作品を作ろうと熱心に質問をしてくるようになりました。公式の有料ワークショップも開催されており、夏休みの自由研究に提出できるデータがもらえるプログラムがあるのも親としては魅力を感じます。
最初に“プログラミング教育”という言葉をママ友との会話で耳にしたときは、「どんなことをするの?」「プログラマーを目指すの?」という疑問ばかりでした。しかし、今回息子と手探りでプログラミングアプリを触ってみたところ、そこで待っていたのは堅苦しいイメージをひっくり返す、自由な発想の世界でした。
むずかしい概念や決まりを無理やり頭に詰め込むのではなく、自分がやりたいことや作りたいものを見つけてそのための手段を調べる。そういった体験はたしかに子どもの好奇心を刺激し、何かを達成する喜びを与えてくれるんだな……と親も一緒にわくわくしました。今回紹介したアプリは、タブレットやスマートフォンで気軽に遊べるものばかりなので、ぜひ親子で体験してみてくださいね。