こどもとIT
「スクラッチを使って子どもにプログラミングを教えよう!」無料セミナー開催
――プログラミング教室講師向けに、2月24日と3月20日の各回定員20名
2019年2月12日 08:00
2019年2月24日と3月20日、「スクラッチを使って子どもにプログラミングを教えよう!」と題した無料セミナーが、東京都千代田区神田神保町のインプレスセミナールームにて開催される。子どもにプログラミングを教える教室の講師や、これから講師を目指す方、Scratchの導入サポートをされている事業者が主な対象となる。各回定員は20名で、募集締め切りはそれぞれ2月20日・3月15日まで。
子ども向けプログラミングスクールの草分けであるTENTOと、リアル&オンライン学習サービスのインプレスカレッジが共同で開講している「TENTO認定 子ども向けプログラミング 講師研修 Scratch編」「同 講師試験 Scratch編」は、研修を受講し試験に合格するとTENTO認定のScratch講師として、その活動を支援する仕組み。すでに5回実施され、子ども向けのScratch講座やワークショップなどで活躍する人も誕生している。
今回、無料セミナーを実施するにあたり、Scratch講師の現状を知るため、第1回目の研修を受講して試験に合格し、現在TENTO自由が丘校でScratchを教えている西田慶子さんにインタビューした。Scratchを使った子ども向けプログラミング講師になったきっかけや、研修や試験のメリットについて聞いた。
――どういうきっかけでScratchの講師になろうと思われたんですか?
これまでSEやパソコンスクールのインストラクター、中学校高校での理科の非常勤講師などをしてきました。4年半ほど前から3年間半、タブレットを導入した小学校でICT支援員として、各教科での活用レクチャーなどを行っていました。この時、外部講師によるプログラミング学習が企画され、その補佐をしていました。
その中でHour of Code、Viscuit、Scratch、Processingなどプログラミング教材や言語などと出会い、それぞれの特徴も知ることができました。この中で、Scratchはビジュアル的に操作が簡単で、基本的アルゴリズムも学べるなどより自由度が高いと感じるようになりました。
――なるほど、SEや講師のご経験を生かして、小学校のICT支援員としても関わられていたんですね
以前の私は、小学校でプログラミング授業を行うことには否定的でした。小学校では座標も不等号、変数も習いません。XやYを使うような授業もありません。プログラミングの基礎を教えるのも、敷居が高いように感じていました。
ただ、教えていたクラスで、プログラミングをきっかけにクラスの中でも輝けるようになった子がいて、気づきがありました。国語や算数、体育や図工が得意な子がいます。得意なことがある子どもは、得意科目の授業を受けることも熱心です。1つ得意なことができると、どんなことに対しても積極的になる傾向があるように思います。
プログラミングも、子ども達の成長につながる、輝けるきっかけが作れることを、身をもって体験し、小学生にプログラミングを教えることにも積極的になりました。もちろん、Scratchでのプログラミングを通して論理的思考を身につけるようになれると思います。
――そういったご経験も豊富なのに、なぜ講師研修を受けられたんですか?
将来は佐賀に移住する予定で、首都圏から地方に移っても、子ども達にプログラミングを教えられる講師の仕事がしたいなと思っていました。
だったら、もっとプログラミングを教えるスキルを身につけたい、Scratchを上手に教えられるようになりたいと、TENTOに事情を説明して、2018年4月からTENTO講師になりました。いわば修行です(笑)。
主にScratchの授業を担当していたのですが、当初はScratchを深く理解できていないこともあり、TENTOの子ども達に自信をもって対応できていなかったように感じていました。講師をはじめて3カ月ほど経ったとき、2018年8月から「子ども向けプログラミング講師研修 Scratch編」がはじまることを知り、第1回目に参加したんです。
すでにTENTOで講師をはじめていましたが、そんな事情は関係なく厳しく評価されたようです。これはあとから知ったことですが(笑)。
――容赦ないですね(笑)そんな講師経験者の西田さんからみて、講師研修ではどういった学びがありましたか?
研修でのScratchの歴史や背景の話は、思いのほか勉強になりました。Scratchの特徴でもあるブロックの成り立ちや、「完成したプログラムをほかの子どもと共有して新しい発想を得る」というプロセス重視の話など、単なるプログラミングツールではない、決まったアルゴリズムを覚えることだけではない、Scratchの思いや考え方を知り、もっとScratchが好きになりました(笑)。
研修講師の倉本さんに、疑問をもっていたことにも答えてもらえ、Scratchを使った授業のコツがつかめたことも収穫です。先生と生徒、教える人と教えられる人ではなく、子ども達がプログラムを使って実現したいことをアシストする、手助けをする講師の心構えが知ることができました。
試験は模擬授業形式ですが、授業でどんなことが質問されるのかわからなかったため、自分自身でもScratchの隅々まで使ってみました。結果、これまでのScratchの授業で私が使っていなかった機能も発見し、子ども達に新しい手段が伝えられるようになっています。
Scratchの考え方から機能、教え方まで学べ、以前よりも自信をもって授業に臨むことができ、いい意味での余裕ができました。移住先でも、子ども達にScratchを教えられるように、今後もがんばりたいと思います!
――ありがとうございました!
2020年、小学校のプログラミング教育の必修化が控えており、今後は子ども達がプログラミングに触れる機会が増え、もっと深く学びたい子どもの増加も見込まれる。今回の無料セミナーは、インタビューでお聞きした西田さんのように、すでにScratchの現役講師の方にも何かしらの気づきや学びの場となるに違いない。この機会にぜひ参加してみてほしい。