こどもとIT
先生向けの無料セッションも開催! Appleの『Everyone Can Code』でプログラミングを学ぶ
――Apple Store『Teacher Tuesday』セッションレポート
2019年1月17日 08:00
Appleでは、プログラミングを簡単に教えるための先生用ガイドやアプリなどを包括した『Everyone Can Code』というカリキュラムを提供している。内容としては、プログラミング学習アプリや、授業で活用できるガイドブックなどを無料でダウンロードできるほか、全国のApple Storeでは、先生向けの『Teacher Tuesday』セッション、ひとつのテーマに絞って先生と生徒がアプリを学べる『フィールドトリップ』なども利用できるのだ。
今回は、2018年12月に開催された先生向けのTeacher Tuesdayセッションと合わせて、プログラミングの授業で活用できるEveryone Can Codeのコンテンツを紹介していく。
Teacher Tuesdayは無料の先生向けセッション
筆者が参加したのは、Apple 新宿で開催されたTeacher Tuesdaysの「アプリケーション設計とプログラミングの基礎」というセッションだ。基本的に学校の先生向けの内容だが、教育に関心のある人であれば誰が参加してもオーケーとのことで、この日は民間の小学生向け塾の先生、文教向けのログラミング教材を制作する方、子ども達にプログラミングを教えたいというエンジニアの方、そして教育ライター兼一児の母である筆者という顔ぶれだった。それぞれ立場は異なるものの、全員が「子ども達へ、いかにプログラミングを教えていくか」という課題感をもって参加に至っている。
セッションでは、まずEveryone Can Codeカリキュラムの具体的なコンテンツの紹介と解説が行なわれた。Everyone Can Codeには、以下のようなコンテンツが用意されている。
・プログラミング学習やクリエイティブ活動ができるアプリケーション
・教師用ガイド
・認定制度
Appleでは、iPadやMac上でプログラミングを学んだりできるアプリのほか、音楽や写真、ムービーなどのクリエイティブな作品を手軽に制作できるツールを、ユーザーに無料で提供している。
たとえばプログラミング学習の場合は、最初は『Tynker』から始めて、次に『Swift Playgrounds』、そして最終的には『Xcode』での本格的なアプリ開発へと、段階を踏んで進んでいくことが可能だという。
次に、教師用ガイドについて紹介された。Appleのブックには、教育者のためのガイドブックが多数あり、そのすべてが無料でダウンロードできるのだ。今回講師を担当してくれたApple新宿のNAOTO氏によると、特におすすめは『Everyone Can Create』のシリーズだ。
セッションでは、さらに『iTunes U』についても紹介された。iTunes Uは世界中の学校などの公開授業を視聴できるだけでなく、宿題の提出からディスカッションまで行なえる機能を備えている。教育機関に属していない一般ユーザーも、公開されている世界中の有益なコースやコンテンツを閲覧することが可能だ。
参加者がオリジナルのアプリデザインに挑戦
Everyone Can Codeの紹介が一通り終わった後は、いよいよこのセッションのメインである、Keynoteを使ったアプリケーションデザインに挑戦した。最初にKeynoteの基本的な機能や操作方法を教わり、その後、各自でアプリケーションを考えて開発してみるという流れだ。
このセッションには2種類の意味がある。まず、生徒が実際にiPadでアプリケーションのデザインを行なおうとした際、どんな過程を経ているのか、指導者が自ら体験することによって、躓きやすいところなどに気付き、指導のポイントを知ることができる。もうひとつは、自分で授業に活用できるアプリケーションを作り出すことができるということだ。すぐには難しいかもしれないが、「こんな簡単にできるのならやってみよう」というきっかけ作りには大いに役立つ。今回はプロのエンジニアも参加していたが、プログラミング初心者にもわかりやすいよう、ていねいに解説が行なわれた。
最初に行なったのは、レストランのメニューをデザインするというものだ。どんな場所にある店で、どんな客層をターゲットにしているかという設定から考え、それに合ったメニューを考えていく。時間内に作ってみたメニューを一人一人発表し、それについて「こうしたらもっと良くなるかも」というアイデアを全員で出し合っていく。メニューひとつでも参加した4人のデザインやコンセプトは異なっており、非常に興味深いものになった。
次に挑んだのが、オリジナルのアプリ設計だ。Keynoteに用意されている「図形」などを使ってアプリをデザインし、ごく初期のプロトタイプを作っていく。講師のNAOTO氏は先生向けのセッションも多数行なっており、参加した先生の担当教科にあわせたアプリ設計などもアドバイスしているという。今回は全員が先生ではなかったため、各自が作りたいアプリを設計することになった。こちらも、4人それぞれの個性が出たまったく違うアプリができあがった。
アプリ設計経験ゼロの筆者としては、当初はゼロからアプリをデザインできるものかと不安だったが、実際に作り始めてみると意外に楽しくなり、気付くと夢中で手を動かしていた。
残念ながら時間がなかったため、イメージスケッチをするだけにとどまったが、もっともっと作り込んでみたい、完成まで挑戦してみたいと思ったほどだ。このセッションでアプリ設計のきっかけをつかみ、さらに学習したい場合は、最初に紹介されたEveryone Can Codeのアプリやブックなどを活用し、自分で作成していくことができるというわけだ。まさに、「誰でもクリエイティブに挑戦できる」というコンセプト通りである。
Appleでは、全国のApple Storeにおいて、通年で様々なセッションを行なっている。参加したい場合は、まず希望するセッションを選び、自分の最寄りのショップを探してみよう。セッションに参加できなくても、Everyone Can CodeやEveryone Can Createのブックは非常にわかりやすく、すべて無料で利用できるので、iPadにおけるプログラミング学習やクリエイティブ活動を行なう際は、ぜひとも参考にしたい。
教育者向けに用意された無料ラーニングシステム『Apple Teacher』
また、Appleでは、学校での指導や学習にApple製品を活用している教育者に向けて『Apple Teacher』というラーニングプログラムを用意している。Apple Teacherでは、iPadやMacの操作、アプリケーションの活用、学習効果といったテーマが複数用意されており、それぞれについて学ぶためのコンテンツが用意されている。ひととおり学習した後に、各テーマのクイズに答えて合格するとバッジを獲得でき、8個バッジが集まると、Apple Teacherに認定されるという仕組みだ。
Apple Teacher認定という目的だけでなく、学ぶ過程で、実際の授業に活用できるノウハウやテクニックを身に着けていくことが最大の目的だ。
日本における学校現場でのICT環境はWindowsが主流だが、生徒・児童への親和性やアプリケーションの豊富さ、使いやすさからiPadを選ぶ学校も少なくない。ぜひ、Appleが提供している教育のためのコンテンツを活用して、学校での学びに役立ててほしい。