こどもとIT
ロボットで飢餓に苦しむ子どもたちを救え! 世界に挑んだ小学生サムライの道のり
――WRO 2018 タイ国際大会オープンカテゴリー出場チームインタビュー
2018年12月4日 08:00
昨年世界7位のチームがパワーアップ
WROのオープンカテゴリーは、設定されたテーマに基づいてロボットを作り、その作品の展示とプレゼンテーションを行う競技だ。そのオープンカテゴリーで国際大会に出場するチームは3チーム。今回レポートするのは、昨年世界7位となったチームに新たなメンバーが1名加わった3人組の小学生チームである。
チーム名は「Candy Samurai」、世界の人々からみて、わかりやすいネーミングにしたと言う。メンバーは、片岡嗣葉君(世田谷区立中丸小学校、5年生)、小助川晴大君(横浜国立大学教育学部付属横浜小学校、4年生)、只石倖大君(渋谷区立猿楽小学校、4年生)。同じロボットスクールに通う3人組である。片岡君と小助川君は、昨年のコスタリカ国際大会で7位入賞を果たしている。今回、「世界7位のいいチームがいるのでぜひ参加してみないか」という先生の推薦もあり、只石君が加わった形だ。
自動化されたキャンディー作成ロボットが子供たちを救う
この小学生チームが取り組んだテーマは「日本の食品ロス問題の解決と飢餓に苦しむ子供たちを救うこと」、インターネットやテレビなど、様々な手段で情報収集し、このテーマにたどり着いたという。日本では632万トンもの食料が食べられるのに捨てられている反面、世界では約10億人が栄養不足で苦しんでいる。その両方を一気に解決してしまうロボットを開発したのだ。
このロボットは、日本国内で食べられるのに捨てられる食品を、世界の飢餓に苦しむ子供たちが喜ぶ栄養満点なキャンディーに加工するというもの。ちなみに、なぜキャンディーにしたかというと、理由は3つ。軽くて小さいから運びやすい、袋に入っていると長持ちする、お腹が空いて噛む力がない子どもたちでもなめるだけで栄養が取れる、とよく考えられている。
ロボットの構造は、いくつかの機能に分かれている。食品をベルトコンベアで運び、容器と食べ物に分別する機能、食べ物をフリーズドライにする機能、その食べ物をミキサーで粉にする機能、キャンディーを作り、それを小さく切る機能などである。廃棄食品からキャンディーを作り、運ぶまで、すべて自動化されている点がポイントである。
このロボットには、約4か月の製作期間を費やし、9月の日本決勝大会に臨んだ。刀を用いたアピールたっぷりのプレゼンテーションは、わかりやすく見ごたえもあった。プログラミング部分も容器と食べ物を分ける部分やミキサーで粉にする部分などに工夫を散りばめた。そして結果は優秀賞。このロボットで見事日本決勝大会を勝ち抜き、2年連続の国際大会出場を決めたのだ。
世界に向けて更なる改良、そして堂々の8位入賞!
晴れてタイ国際大会の出場を決めたCandy Samuraiだったが、ここからさらに改良を加えたという。日本決勝大会では、キャンディー切断工程はおもちゃの刃を使っており、実際には切っていなかった。しかし、世界の舞台に向けて、このキャンディー切断をロボットを使って実際に切るように改良したのだ。その際、どの飴が一番切りやすいのか、たくさんの飴をとりよせて実験したという。
このような地道な努力で成し遂げた改良とともに、苦手という英語でのプレゼンテーション準備もしっかり行い、タイでの本番を迎えたのであった。そして結果は、見事2年連続の入賞、堂々の8位である。2年連続での入賞は簡単なことではない。このような改良やここまでの努力の積み重ねの結果であろう。