こどもとIT
国内外のEdTech先進事例や教育ソリューションが集結した「Edvation x Summit 2017」レポート
中学校を舞台に多様なプログラミング教材を体験できるワークショップ
2017年11月13日 06:00
2017年11月5日~6日、千代田区立麹町中学校・海運クラブ国際会議場にて、教育・人材育成の国際的なカンファレンス「Edvation x Summit 2017」が開催された。教育イノベーション協議会が主催し、「新しい教育の選択肢を知ってもらうこと」と「既成概念にとらわれない教育イノベーターを生み出すこと」の2つを目的として、国内外のEdTech先進事例や、ベンチャーを筆頭とした多様化した教育ソリューションなどを体験できる。
日曜日と月曜日の2日間開催され、月曜日には同校の中学生たちもワークショップや展示を体験していた。本記事では、麹町中学校の各教室にて実施されたワークショップや展示をメインにレポートしたい。
ロボットプログラミングの体験ブースやVR体験など豊富な展示ブース
体育館には多くの展示ブースが並んでおり、ITを活用した教材を展示するブースの賑わいが目立っていた。
アーテックは、小学生から大学生レベルまで単一のキットで学習できるプログラミングロボ「ArtecRobo(アーテックロボ)」を展示していた。AI(人工知能)を使ってロボットを動かす展示や、実際にロボットを組み立てる体験などもできた。また、「ロボットプログラミング教材に触れてみよう!」をテーマとして、信号機や自動車、イルミネーションや2足歩行ロボットなどをプログラミングできるブースも設置しており、多くの中学生が体験していた。
また、ひときわ盛況だったのは、フォーラムエイトの「VRデザインスタジオ UC-win/Road」のソリューション展示だ。空中都市散歩やクラウド観光のVRシステム、2軸モーションドライブシミュレータなどに多くの生徒が歓声を上げていた。
江崎グリコの「GLICODE(グリコード)」は、お菓子「ポッキー」を使って学習できるプログラミング教材だ。並べた「ポッキー」をカメラで読み取ってコードを作るため、児童が手を使って直感的に学習することができる。アプリは無料でダウンロードでき、あとはポッキーを並べるだけで、小学校低学年から学習を始めることができるという。
東京大学 情報学環・学際情報学府は、ARマーカーを利用して月面探索のシミュレーションを行う「月面探査体験キット」を展示していた。事前にハンドブックを利用して物理や科学の基礎知識を学んだ後に、3Dプリンタやレーザーカッターを用いてARマーカーや探査車(ローバー)を作成し、新しいテクノロジーに触れるという学び方を想定しているという。
そのほかにも、イスラエル発のゲーム感覚でプログラミングを学べる「CodeMonkey(コードモンキー)」や、ICT教材「スタディサプリ」、アクティブラーニングやアダプティブラーニングを取り扱うブースなど、さまざまな展示で賑わっていた。
「マインクラフト」とHoloLensを組み合わせたMR(複合現実)体験
各教室を使って行われていたワークショップの中でも目立っていたのが、マイクロソフトのプログラミング学習向け教材「教育版マインクラフト」のワークショップと、自由にマインクラフトを体験できるプレイブースだ。
「複合現実体験! Microsoft HoloLens!!」と銘打ったワークショップでは、マインクラフトの世界に建物を建て、同社のMRデバイス「HoloLens」を利用して、その建築データが教室内に映し出されるさまを生徒たちが体験していた。
記者も体験してみたが、半透明のゴーグルの向こうに見える教室の床に、現実の風景と重なる形で3Dデータの建物が映し出され、その周りを歩き回ることもできた。建物の位置も固定されており、中学校の教室内にマインクラフトの建物が建っているかのような感覚がしっかり得られた。この、マインクラフトとHoloLensを組み合わせたデモは教育系イベントでは今回が初公開だったという。
また、教育版マインクラフトを使ったプログラミング体験のワークショップについては、生徒向け、教員向けがそれぞれ別途に行われ、キャラ作成やキャラの動かし方などマインクラフトの基礎から、プログラミングによってエージェント(キャラクター)を動かし、階段を建築する方法などを学んでいた。生徒向けのワークショップでは、終了時に生徒から「もっとやりたい!」と声が上がり、「10分間だけ延長して遊んでいいよ」と言われると多くの生徒がそのままマインクラフトを楽しんでいた。
さまざまなSTEM教材や、ITを活用した教育ワークショップ
木で作られたSTEM学習ロボット「PETS」の体験ワークショップも終始多くの生徒で賑わっていた。PETSは、「前に進む」「右に向く」などさまざまな動きの設定されたブロックを背中に挿し込むことで、マス目のシートの上を命令された通りに動くプログラミング学習ロボットだ。使い方がシンプルでわかりやすく、「障害物を避けながらゴールを目指す」という目的もハッキリしているため、多くの子供が楽しみながら体験していた。
自分で音の鳴る絵が作れるアプリ「paintone(ペイントーン)」と、直感型ビジュアルプログラミングアプリ「Springin'(スプリンギン)」の組み合わせによって、ゲームやデジタル絵本などの自由なアプリ作品をその場で作れるワークショップも人気を博していた。
Z会は、「教育版レゴ マインドストーム EV3とiPadを用いたプログラミング教育体験会」と題して、ロボットの組み立てから実際に動かすところまでを体験できるワークショップを開催していた。
フォーラムエイトは、VRソフト「UC-win/Road」を使用し、自分の好きな世界を作成できる3次元空間作成ワークショップを実施していた。
国内外のゲストスピーカーを招いて行われた講演・パネルディスカッションは、別記事にてレポートする。