Edvation x Summit 2018レポート
元Google人事担当者による企業と人材を探る講演「『これからの世界』で成果を出すニューエリート」
――EdTechの未来と取り組みの今を知る「Edvation×Summit 2018 Day2」レポート
2019年4月1日 20:06
2000年に来日し、日本のGoogleやモルガンスタンレーで人材育成に関わった経験を持つピョートル・フェリクス・グチバチ氏による日本語での講演。急速に変化していく世界の中で求められる「これからの人材」になるために必要なポイントを解説した。
まず、他国に比べて日本には「ユニコーン企業」(未上場の10億ドルに育ったスタートアップ)が非常に少ないと指摘。「一見愚かなアイデア」や「経験がない創立者」などのユニコーン企業の共通点を紹介し、「これからは『Learn』(新しいやり方を素早く学習する)と『Un-Learn』(学びほぐす。時代遅れのやり方を忘れる)ことが大切」だと説明した。
そして、「新しいビジネスの考え方」のヒントとして、経営する企業の形はプラットフォーム作りになり、利他的なビジネスであることが重要になると解説。組織は「枠」ではなく「軸」になり、他組織と協業することが当たり前になるほか、「毎日学んで走りながら考える」ことが必要だという。
また、上司は部下の特性を生かすポートフォリオマネージャーとしての役割が求められると説明。「Googleの全マネージャー育成プログラムが『同情』『共感』『思いやり』を教えている。人を承認して感謝しないと人は育たないし、がんばらない」とし、「自己実現はイコール幸せ。そのためには自己認識が必要で、それを回りに自己開示することで実現する。上司はその自己実現をサポートしていってほしい」と語った。
「自己実現をすることで人は自己肯定感を得られる。教育ではそこに期待したい。100点を取る子を育てるだけでは現状に満足する“ゆでガエル層”を作っているに過ぎない。これから世界の未来を作るには、現状に満足せず反抗的にも見える“変革層”や“アルケミスト層”(=ニューエリート)が必要」と語る。日本の教育機関は「受動的な顧客」を作っているが、これからは共に作る「能動的な人材」が必要だというのだ。
また、日本のニュースが事件や事故を伝えるだけで内容が浅いこと、もっと個人もSDGsを意識する必要があるとなども指摘。「AIに負けないためには、高い専門性を組み合わせて考えたり、いろいろなコミュニティの橋渡しができる人材になればよい」と解説した。
最後にピョートル氏は「世界に何をもたらしたいか、世界から何を得たいかを理解する必要がある。それを達成した状態が自己実現。何をギブアンドテイクしたいのか頭の中を整理して、明日から実行してほしい」と会場に訴えかけ、講演を締めくくった。