Edvation x Summit 2018レポート
エグゼクティブ向けデジタル学習の“7つの秘密”を紹介した講演「デジタルラーニング:成功のカギ」
――EdTechの未来と取り組みの今を知る「Edvation×Summit 2018 Day1」レポート
2019年3月31日 22:13
企業のリーダー育成を請け負うスイスの企業「IMD」のPaul Hunter氏が講演した「デジタルラーニング:成功のカギ」では、受講者に影響力のある学習体験を構築するノウハウを「成功の7つのカギ」として紹介した。
学習には「1.知識」「2.対話」「3.応用」「4.改善」のサイクルで学んだ知識を適用して価値を持たせることが大切だと説明。知識については、ビデオ学習も有効で、欧米ではインターネット上の大規模公開オンライン講座「MOOC(ムーク)」が活用されているという。
また、IMDの顧客は日々の仕事が忙しい企業のマネージャーたちであるため、時間を使う価値があると納得してもらうためにまず質の高い学習のビデオを見せるという。ヨーロッパでは対象となるマネージャーたちは、オフィスで大抵大きなディスプレイとノートパソコンの2画面を使っているため、ビデオ学習の際、再生しつつ片方の画面でメールなどを書きながら見るだけにならないよう、見る人が集中したくなるようなインパクトのある動画の製作に努めていると説明。IMDの提供する13のオンラインプログラムから「CHANGING EMPLOYEE BEHAVIOR」と「DIGITAL DISRUPTION」の分野から2本を紹介した。人の集中力は3分ほどと言われているため、2~3分の短いものを多数用意し、アニメも使用しているという。実際に映像を見たあと、会場に意見を聞いたり近くの席の人とお互いにディスカッションする時間も設けられ、動画の学習効果を会場全体で体験した。
最後に「インパクトのあるデジタル学習を作るための7つの秘密」を紹介した。
1.最後から始める
……学びの目的は何か、何を達成しようとしているのか、測定方法はどうするかを考えてから動画を作る。
2.エグゼクティブをエグゼクティブらしく扱う
……「データ分析の仕方」を理解してもらう。答え自体ではなく答えを模索するためのツールを提供する。
3.チャンネルを変える
……スタジアムの中継が全体だけでなく選手のアップや応援するファンなど様々な場面で構成されているのと同じように、視聴者を視覚的に参加させる。教室の授業をただ録画しているだけでは作れない。
4.バーチャルラーニングの「三位一体」尊重する
……プログラムデザイナー、ビデオ製作者、視聴者とコミュニケーションする担当者の3者が教材にかかわり、意図を明確にしたりフィードバックする。
5.内容が新鮮なもので理解しやすいものであること
……新しい事例を使い、集中しやすい2~3分の長さで製作する。
6.個人に与えたインパクトを継続的に確認する
……毎週の効果を、ダイエットと同じように確認する。効果が分からないと学習は続かない。
7.コーチは質の高いフィードバックを与える必要がある
……コーチと視聴者は相互交流を行い、質の高いフィードバックすることで良い効果につながる。
質の高いデジタルラーニングとは何かについて紹介したPaul Hunter氏の講演は、非常に明解で、学生だけでなく時間のない大人の学習にも、当然ながらビデオ学習は効果的なのだと実感できるものだった。学生時代に経験してこなかった学習方法でも、先入観なく迷わず取り入れるべきというインパクトを与える講演だった。