特集: ENERGY 2017

東京電力、Webコンテンツで福島第一原子力発電所のバーチャルツアーを公開

東京電力は、より多くの人に「廃炉の現場の今」をお伝えするWebコンテンツ、福島第一原子力発電所のバーチャルツアー「INSIDE FUKUSHIMA DAIICHI~廃炉の現場をめぐるバーチャルツアー~」を公開しました。

「INSIDE FUKUSHIMA DAIICHI~廃炉の現場をめぐるバーチャルツアー~」

福島第一原子力発電所は、事故から7年が経ち、原子炉・使用済燃料プールの安定冷却や汚染水対策、作業・労働環境の改善が進み、燃料取り出しなど本格的な廃炉作業が進んでいます。

「INSIDE FUKUSHIMA DAIICHI~廃炉の現場をめぐるバーチャルツアー~」では、そうした廃炉作業の進捗状況を、1~4号機原子炉建屋内を実際に視察しているかのような臨場感で擬似的に体験できます。また、施設の一部を360度映像で見ることができます。現場や設備に対する質問に対して、各見学ルートの動画の最後にFAQ 形式で答えています。さらに、「エリアによって変わる放射線量」の数値も公開することで、より多くの人に廃炉の現場をリアルに知ってもらうことを目的としています。

TOP画面
5号機原子炉建屋内の360度映像
水素爆発した3号機原子炉建屋
1号機正面:視察で出た質問を元に構成されたQ&A

【公開する各設備の内容】
・1号機
事故当時、水素爆発により、原子炉建屋の上部が大きく壊れました。そのガレキが原子炉建屋の上部に未だに残っています。使用済燃料プールから燃料を取り出すためには、ガレキの撤去が必要であり、2018年1月からその撤去作業を行っています。

・2号機
事故当時、水素爆発を免れました。現在は、使用済燃料プールから燃料取り出しを行うために、原子炉建屋上部の調査に向けて準備を行っています。

・3号機
事故当時、水素爆発を起こしましたが、今では、屋上のガレキ撤去が終わり、使用済燃料プールからの燃料取り出しの準備が進んでいます。2018年度中頃、燃料取り出しを開始する予定です。

・4号機
事故当時、3号機で発生した水素の影響により爆発しました。定期点検中であったため、原子炉内の燃料はすべて使用済燃料プールに移されていました。2014 年には燃料の取り出しが完了し、核燃料によるリスクがなくなりました。

・5号機 格納容器外側(360度映像・主観映像)
1~4号機と比べ、敷地の標高が高いため、津波による大きな被害を受けずに済みました。現在は、運転を停止しており、使用済燃料プールでは燃料を冷却しながら、安定的に保管しています。なお、6号機とともに廃炉が決定しています。

・高性能多核種除去設備(ALPS)(360度映像・主観映像)
汚染水を浄化する設備のひとつです。汚染水からトリチウム以外のほとんどの放射性物質を取り除くことができます。

・タンクエリア
汚染水からトリチウム以外のほとんどの放射性物質を取り除かれた処理済みの水などを保管するエリアです。

・冷凍機プラント(主観映像)
氷の壁(陸側遮水壁)の温度管理を24時間体制で行っています。1~4号機に地下水が入り込むと、大量の汚染水が発生してしまいますが、氷の壁によって、地下水が1~4号機のそばに近づけないようにすることで、入り込む量を抑えることができます。

・冷凍機室(360度映像)
1~4号機の周囲の地面を凍らせる、氷の壁を作るための設備です。

・免震重要棟 緊急対策室(主観映像)
震災などの災害が発生した際に、対策本部を設置する建物です。震度7の地震が来ても、緊急時の対応に支障を来たさないよう会議室・通信設備・電源設備・空調設備などが備わっています。事故当時もこちらに対策本部が設置されました。

・廃棄物処理施設 造成地
廃棄物は種類ごとに分別して、1F構内で安全に保管しています。この先10年間の廃棄物の発生を予測し、しっかり保管できるように施設の増設を進めています。

東京電力では、今後もホームページなどを通じて、情報公開を積極的に行うとともに、廃炉作業の進捗をわかりやすく伝えていくとしています。