特集: ENERGY 2017
電気とガスを東京電力エナジーパートナーに乗り換えて、はじめての冬!
2018年1月17日 00:00
これまでに電力とガスの自由化をお伝えしてきた筆者だが、昨年8月に東京電力エナジーパートナーに乗り換えた。もちろん、電気とガスのセットで!
乗り換えまでは、電気が東京電力の従量電灯B(50A)、ガスは東京ガスから買っていた。新プランは、いずれも東京電力で電気が「スタンダードS」で、ガスが「とくとくガスプラン」。おそらくサラリーマンのご家庭では、いちばんスタンダードになると思われるプランだ。
いろいろ比較検討した過程については、「東京電力エナジーパートナーが都市ガスの販売を開始」を参考にしていただきたい。
今回は電気とガスをまとめてから数カ月、検針日や移行期間などもあって、ようやく10月分の請求書から電気とガスがまとまったものに切り替わったので、我が家の光熱費を見ていただこう。
乗り換えから4カ月! 10月・11月分の請求書が揃った!
ガスや電気の単価変動があったり、2016年は10月、2017年は11月に大阪・京都まで「遊び関係」の仕事で1週間以上家を空けていたので、まったく同じ条件じゃないので比較しづらい点はご容赦いただきたい。
請求書ではわかりにくいので、電気&ガスの料金と使用量のグラフにまとめてみた。
やや料金が高くなった感があるが、これにはワケがある。比較対象としている昨年冬ってのがミソだ。普段はあまり気にしないが、電気料金の明細に書いてある「燃料費調整」というものがある。先ほどの平成29年11月の電気代の請求書を見ればわかるとおり、1,822円とかなりの額。これは、前年11月と比べて大きく上昇している。
電気代は燃料費調整込みで考えるべきだが、ここで注目したいのはプランを変更した場合、どのぐらい電気代が変わってくるかだ。そこで燃料費調整(920円として)を考慮しない単価を計算すると、次のようになった。
ガス単価 | 価格変動率 | 電気単価 | 価格変動率 | |
---|---|---|---|---|
10月 | 133.76 | 2.8% | 25.43 | -1.8% |
11月 | 129.86 | 3.6% | 25.27 | -2.3% |
また、ガス代も燃料費調整に相当する原料費調整というものがあるが、電気代のように請求書には明記されず単価が変わる方式となっている(東京ガス)。したがって乗り換えした場合は、電気代同様に一覧表より安くなっているはずだ。
ちなみに、乗り換え前に試算した結果では、節約できる光熱費は年間で590円!(笑)月々にすると49円だった。燃料費調整も含めた電気代で見ると、プラン乗り換え前より高く見えてしまうが、昨年夏に急騰した燃料費調整を考慮すると、ほぼ計算どおりに安くなったといえるだろう。
結果を見て「わずかな割り引きで魅力がないなぁ」と思われる方がいるかもしれない。しかし、筆者が東京電力エナジーパートナーに乗り換えた理由は、金額以上に、電気とガスをセットにすることで付帯サービスがついてくるからだ。その1つが料金に応じたTポイントの加算。貯まったTポイントは電気代の足しにもできるが、我が家の場合は筆者の昼食代に変わる。なにせ昼間は誰もいないので、近所のファミマのコンビニ飯が手っ取り早いのだ。
さらに、「ガス機器修理サービス」の無償付帯サービスも東京電力を選んだポイントだ。詳細は「東京電力がガス料金プラン発表!コスパと修理サービスがスゴイ!!」をご覧いただきたいが、給湯器をはじめとしたガス機器が壊れた場合、最大50万円まで無償で、365日24時間修理できるというものだ。3年前12月の年末に給湯器が壊れて、風呂もシャワーも使えず、食器洗いも冷たい水、工事は年明けと言われ、修理代は20万近いと言われたときの悪夢をみなさんは理解できるだろうか? この悪夢を経験した筆者は、東京電力の「ガス機器修理サービス」に、がっつり食いついたというわけだ。
また、東京電力エナジーパートナーが姉ヶ崎に建設中の熱量調整設備が2018年度中に完成すると、さらに多くの世帯にガスを届けることができるため、ガスの単価変更も見込まれる。そのほか、シェールガスへの切り替えや、原発の再稼動など変動要素がかなりあるので、長期的に見た切り替えともいえる。
今年の冬は寒波が迫り出してきて、関東から西は寒くなるとの予想。今後需要が高まり光熱費が上がってくるだけに、今後の光熱費の推移が楽しみだ。
この寒い冬の賢い節電方法とは?
「“夏はエアコンで光熱費が高い”と思われがちですが、実は“冬のほうが光熱費が高くなる”んです」
お話いただいたのは、東京電力エナジーパートナー(株)リビング事業本部 副部長(リビング・デジタルメディア担当)の中村剛さん。次のグラフのとおり、夏場は32℃程度の気温を28℃に下げるエネルギーさえあれば、快適に暮らせる。しかし冬場は10℃の気温を20℃まで引き上げねばならず、より大きなエネルギーが必要になる。
さらに、一般的には夏は出かける機会が多いが、冬は在宅率が高いという。つまり、それだけ長時間暖房機器を使用することになり、大きなエネルギーを長時間使うのが冬の暖房の特徴なのだ。
最近の石油やガス価格の高騰で、暖房はエアコンを利用している人が多いだろう。2016年にリンナイが調査したところによれば、利用している暖房機器(複数回答ありで)のトップは、68%のエアコンがダントツでトップ。続いてコタツ26%、電気ストーブ25%、ホットカーペット23%と続く。使っている人が多いのかと思っていた石油ファンヒーター・ストーブは20%で5位、さらに、利用者が14%と少なくなってガスファンヒーター・ストーブとなった。施設費が高い床暖房は、逆に健闘しており12%の利用者がいるという。
しかし、暖房機器の満足度を調べると一転する。エアコンは最も満足度が低いのだ。調査は下記のような項目をチェックするというものだったが、エアコンは安全性と手間のかからないという点のみが満足で、暖房機器としての「どこにいても暖かい」「足元の暖かさ」「部屋が十分に暖まる」などに不満があるようだ。
この点を中村さんに聞いてみると、意外な返事が返ってきた。
「おそらくエアコンの選択ミスが多いのではないでしょうか」
詳しく聞いてみると、エアコンを購入するのは、ほとんど夏前。すると、冬のエアコン暖房まで検討して購入する人はまず稀というのだ。確かに、これから暑くなろうかというときに、冬場の足元の暖かさまでは検討しないし、暑くて検討したくもないだろう。
「エアコン選びの第一歩は部屋の畳数でしょう。その次は? おそらく価格です。でも、ちょっとまってください。同じメーカーの同じ畳数用のエアコンなのに、安いものから高級機まで幅があります。もちろん、センサーやお掃除機能で高くなっている場合もあるのですが、エアコンのパワーを示す“暖房の能力(kW)”の表示を見てください」と中村さん。
「冷房時の性能は、安くても高くてもそれほど変わりありません。夏は小さいエネルギーで快適になるので、安いエアコンでも十分やり過ごせるのです」
先の例で見ると、夏場の標準機と高級機のパワー差は0.8しかない。しかし、暖房のパワー差は2.1とかなり大きい。
「冬場の暖房を見てみると、安いエアコンは値が小さく、高いエアコンは値が大きくなっています。このように夏を基準にエアコンを選んでしまうと、冬の暖房時になんだか寒いということになってしまうのです」
つまり、暖房があまり効かずに寒いから、ちょっと1枚羽織っておこうという家庭は、冬の暖房能力が足りていないということなのだ。だから石油ファンヒーターなどを併用して、パワーを補ってやらなければならなかった。
中村さんのアドバイスは明確だ。「エアコンは高級機を買ったほうがいいのです。高級機のほうが部屋を暖かくでき、さらに省エネ性も高いので電気代が安いのです」。
「エアコンには、さっきの表示と合わせてCOPやAPFという数値が記載されています。これは電気ストーブのコスト(エネルギー効率)を1とした場合、そのエアコンがどれだけ効率がいいかを示します。たとえばCOP5であれば、エネルギー効率は電気ストーブの5倍高いので、電気代は1/5の20%で済むというわけです」
昔はCOPの表記を使っていたそうだが、最近ではAPF(「通年エネルギー消費効率」)という表記に変わってきているという。COPはエアコンの性能そのものを示す値で、外気温などに大きく左右されるため最近では実情に近いAPFの値を表記しているのだという。
「“通年エネルギー消費効率”の値もエアコン選びのポイントとなります。出力が同じ機種なら、この値を見ます。つまり“通年エネルギー消費効率”(APF)が高いほうが、より省エネで電気代がかからないということが読み取れるんです」
そして、単純明快なエアコン選びのポイントを教えていただいた。
・畳数を決めたら、暖房能力(kW)の高いものを選ぶ
・暖房能力が同じ機種なら“通年エネルギー消費効率”(APF)の高いものを選ぶ
⇒高級機のほうが、暖房の機器がよく、電気代も安くなる
エアコンは機種選びさえ間違えなければ、経済的な暖房であることがわかった。しかし、すべてをエアコン暖房にするのは無理だ。そのほかの暖房機器についても聞いてみた。
「暖房選びは“機器+家+人”の組み合わせです。機器を設置する場所や家の気密性、人それぞれの好みの暖かさがあるので、次の表を参考にして選んでください。とくに脱衣所やトイレなど、ヒートショックの原因になるところに設置してください」
最後にこんなアドバイスも。
「燃料を燃やさないタイプの暖房は、空気が乾燥するので、加湿器の併用をオススメします。50%以上に湿度を保つようにすれば、インフルエンザウィルスを抑えられるだけでなく、体感温度も上がるので設定温度を低めに設定でき節電にもなります」
冬の大敵インフルエンザ対策も考えると、エアコンなど電気を使う暖房機器は、加湿器の併用で健康に、そして、節電にもつながるのだ。
ガス式の床暖房が安くなるプランも新設
年明け早々に東京電力からタイムリーなサービスが発表された。それが「とくとくガス床暖プラン」だ。ガス温水床暖房を使っていると、シーズンの12月~4月までどうしても光熱費がかさんでしまう。そこで、この期間限定で、ほかの期間よりガス代が割安になるという料金プランだ。東京ガスがすでに実施している「暖らんぷらん」同様のサービスだ。
ただ、東京電力エナジーパートナーの場合は、新規加入で1年間のガス料金が5%割り引きになるほか、電気とセットで乗り換えれば電気代が年間1,200円安くなるという。また「ガス機器修理サービス」が無償で付帯してくるのも魅力だ。
東京電力エナジーパートナーによれば、ファミリー層向けの「スタンダードS+とくとくガス床暖房プラン」(電気50A 380kWh/月、ガス40m3/月)の場合は、東京ガスを東京電力にまとめると最初の1年間は5,500円もお得になるという。
さらに、家族が多いという世帯や、ペットを飼っていて暖房機器を使いっぱなしという場合には、「プレミアムL+とくとくガス床暖房プラン」(電気12kVA 700kWh/月、ガス110m3/月)を選ぶと、1年間で2万2,100円もお得になるということだ。
新春1月5日に発表されたばかりのプランなので、ガス式の温水床暖房を使っている方はぜひ検討してみてはいかがだろうか?
まとめ
これから本格的に寒くなる季節、どうしても光熱費がかかってしまうのはやむを得ない。でも、少しでも安く、より暖かく、より健康に暮らせる暖房は、暖房機器のちょっとした選び方のポイントで変わってくるようだ。
また、多くの暖房機器は電気を消費する。料金だけに目が行きがちだが、それ以外の付帯サービスも会社選びの重要なポイントになる。これから電力やガスの自由化を検討するという方は、筆者のケースを参考にするもよし、シミュレーションを行ってみるのもいいだろう。
電力自由化から2年が経ち、2年縛りの契約から解放されるご家庭も多いころだと思う。あらためてガスと電力のセットで、光熱費の見直しをしてもいい時期かもしれない。
(協力:東京電力エナジーパートナー)