特集: ENERGY 2017
東京電力エナジーパートナーが都市ガスの販売を開始
東京電力エナジーパートナー VS 東京ガス! お得なのはどっち!?
2017年8月8日 06:00
7月から遂に東京電力エナジーパートナーが都市ガスの販売を始めた。地域によってはすでに電力、ガスともに自由化のインフラが整ったところもあるが、東京(東部)と神奈川(東部)はようやく、電力、ガスともに自由化がスタートしたと言えるだろう。
ただし、東京都、神奈川県以外の関東全域については、近々ガスの販売を順次拡大していくという。
筆者の自宅は横浜市港北区なので、東京電力エナジーパートナーのガス販売対象地域。そこで本格的に、電気とガスをどこから購入するかを検討し、実際に申し込んでみた。
電気とガス、セット販売の真打! 東京電力エナジーパートナー vs 東京ガス
さて筆者の自宅は東急電鉄の沿線で、東急のCATVやインターネット回線を引いている。東急は電力の販売もやっているので、もしガスも販売するのであれば、生活基盤をすべて東急にまとめて「グロスでの割り引きを……」と思っていたが、東急はガスに参入しないということなので、この野望は夢に終わった(笑)。東急電鉄がガスタービン列車を走らせていれば、話は変わったかもしれないが……。
電力自由化では、アレだけCMを打っていた石油会社や携帯電話会社だが、ガス自由化に対してはいずれも尻込みしている。
このように、電力自由化に比べるとイマイチ盛り上がりにかけ、参入企業の少なさばかり目立つが、我々ガス会社を選ぶ消費者としては選択肢が少なくて楽(笑)。
なにしろ、関東近辺でガス自由化に乗り出したのは、元々LPガスなどを扱う河原実業、レモンガス、ニチガス(日本瓦斯)に加え、東京電力エナジーパートナーだ。えっと、ウチの近所にはトーエルという大きなLPガス会社があるのだが、そこも参入していないのかっ! というぐらい冷めている。
実際には、東京電力エナジーパートナーとニチガスが業務提携し、東京電力エナジーパートナーの都市ガスをニチガスが仕入れ、販売する流れとなっている。
また、ニチガスと業務提携している河原実業、レモンガスは、大元をたどると東京電力エナジーパートナーから都市ガスの供給を受けることになるようだ。そのため2017年ガス自由化の乱は、東京電力連合と東京ガスで争われていると考えてもいいだろう。
こんな感じで始まったガス自由化だが、我々消費者としては、電気やガスは契約中の会社、または他社に乗り換えるという選択が考えられる。また筆者のように、CATVとインターネットと電力をセットで割引購入し、ガスだけを東京ガスから他社に乗り換えるという手段もある。
しかし、電力自由化で魅力的だった割引がそうであるように、今回のガス自由化でもセット割が有力な選択肢となるだろう。現状、電気とガスのセット販売をしているのは、東京電力エナジーパートナーと東京ガスだ。
昨年の電力自由化で乗り換えを控えていた消費者の中には、この真打2社が出揃ってからというタイミングを見計らっていた人もいるだろう。
家族会議で現在と今後の生活パターンを聞き取り調査
さっそく東京電力エナジーパートナーと東京ガスの2社について、月々の光熱費をシミュレーションしてみたい。しかしその前に、現在と近未来の生活パターンを分析しておく必要がある。
ウチには3人の娘がいるが、長女は大学の近所に住んでいるばあちゃんの家で預かってもらっている。週1、2回帰ってくることもあるが、電気やガスを使う頭数には入れなくてよさそうだ。再来年あたりに就職してこちらに戻ってくるかもしれないが、昼間家にいるということもないだろう。いやいや、いてもらったら困るし、それニートだし(笑)。
次女は自宅から通う大学生。週1で午後からのゼミもあるようだが、そんなに電気は使わない。あと数年は在学するので、これもさほど変動はない。
三女は高校1年でやはり昼間は家にいない。が、コイツが一番電気使い虫だ(笑)。風呂上りのドライヤーは長いし、朝はこてを使ってヘアスタイリングとオシャレに余念がない上に、学校から帰ると趣味のお菓子作りでオーブンを使いまくる(笑)。
さらに奥さんは、フルタイムで働きに出ているので日中は家にいない。昼間に電気を使うのは筆者ぐらい。原稿書きがメインなので、エアコンとパソコン、部屋の照明はつけっぱなしだ。しかし週に2、3日は、発表会やら取材で家を開けるので、高齢者世帯のようにずっと家にいるというより、日中は家を空けているとしたほうがよさそうだ。
次は家族会議で、電気とガス、冷暖房利用状況についてヒアリング。まずウチは、全員がシャワー派なので風呂を沸かして入ることがほとんどない。日中もほとんどガスを使うことはなく、筆者が昼に食べるラーメンのお湯を沸かすぐらい。あとは朝夕の食事の支度ぐらいだ。
昼間はそれほど使わない電気だが、夜になると、子ども部屋×2と筆者の部屋のエアコンが同時にフル稼働。リビングはエアコンの苦手な奥さんが過ごしているので、運転をしてもかなりゆるーい冷房だ。
それ以外で電力を食うのはホットプレート。共働きということもあり、焼きながら食べられるホットプレートは必需品、朝はパンと目玉焼きを、夜は肉やたこ焼きを焼くのに週2回以上は使っている。
話しをまとめると、電気の消費は朝と夜に集中。使用量は、ほぼ一般家庭と同じ400kwhを使っている計算だ。かたやガスの消費量は、個々がシャワーを浴びるので一般家庭より少し多めの50m³位だ。
また、「一人暮らしをはじめたい!」「結婚したい!」人は手を挙げて! と質問したところ誰もおらず。娘たちの増減もなさそうなので、この生活サイクルがしばらく続くことになりそうだ。
電気やガスなどの光熱費は、ライフスタイルや生活パターンによって大きく変動するので、乗り換えを検討する場合は、少なくとも家族にヒアリングしたほうがいい。うちのように夕食が終わってから、全員を集めてワイワイやれば、ものの10分で把握できるはずだ。その際、現在だけでなく、2、3年後の近い将来についても考慮して話を聞いておこう。
東京電力エナジーパートナー vs 東京ガス! Webで簡単見積もり
さていよいよ両社の料金シミュレーションサイトで、どのくらいお得になるのか計算してみよう。その前に、少なくとも3カ月か半年分の請求書を用意したい。もし可能であれば1年分用意したいところだ。
・東京電力エナジーパートナー
東京電力エナジーパートナーのシミュレーションは、「くわしく|電気(ガス)の使用量で計算」というタブを選んで、最初の1カ月の「何月」「どれだけ」を入力すると、あらかじめ予測値が入力された1年分の使用量の欄が表示される。あとは請求書の数値をここに入力していけばいい。
すべての項目を入力し、シミュレーションするとオススメのプランが表示される。
・東京ガス
東京ガスのシミュレーションも、入力する項目は東京電力エナジーパートナーとほぼ同じ。「詳細条件でシミュレーション」を選ぶと、家族構成や日中の在宅など細かい条件を指定できる。家族会議でヒアリングした内容を入力するといい。
1~12月までのガス料金を入力する画面では、用意した請求書を元に使用量を打ち込んでいく。1年分の請求書があればすべてを、なければ部分的に入力する。入力しなかった空欄は、ボタンを押すと、平均的なガス使用量を元に入力値に応じた予測使用量を自動入力してくれる。
同様に電気関係の情報も入力。使用電力量もガス同様に請求書の数値を入力する。するとオススメのプランが何件か表示されるので、プリントアウトしておこう。
さてここでひとつポイントがある。東京電力エナジーパートナーと東京ガスではそれぞれ予測方法が違うため、1年間の総使用量が大きく変わってくるのだ。
そこでオススメしたいのが、両社の予測値をメモしておくこと。筆者の試した限りでは、電気の使用量は東京電力エナジーパートナーの予測の方が実際に近く、ガスの使用量予測は東京ガスのほうが実際に近い感じだった。
1年分の請求書が用意できなかった場合は、一度各社の予測値を出して、電気は東京電力エナジーパートナーの予測値を、ガスは東京ガスの予測値を入力しなおしてからシミュレーションするといい。
あとはこの2つの結果を元に、料金の比較をすればいい! と言いたいところだが、どちらもポイント還元があるので、そのポイントをどこで使えるか、そして付帯サービスの魅力なども加味して最終的にどちらにするかを決めよう。
付帯サービスなども合わせて東京電力エナジーパートナーに決定!
両社の料金シミュレーションサイトにて、電気とガスをまったく同じ使用量で試算してみたところ、それぞれ東京電力エナジーパートナーは8,049円、東京ガスは8,639円、安くなるという結果が出た。その差年間で590円だ! 少なっ! 1カ月に換算するとおよそ49円。
「ならどっちでもいいや」という人が多いかもしれないが、ここからが重要。両社にはそれぞれ付帯サービスがあり、還元されるポイントが「何」に対して使えるか、その他無償のサービスなどが利用できるかがポイントとなる。
ウチの場合は、東京ガスオリジナルグッズや500ポイント貯まらないとTポイントなどの提携ポイントと交換できない東京ガスよりは、貯まったポイントを電気料金の支払いに使えたり(1ポイント=1円相当)、選択した会社のポイントとして貯められる東京電力エナジーパートナーが優勢。
さらに無償付帯サービスの面でも、東京ガスの「クックパッド」のプレミアム(人気レシピ検索などができる)サービスが使えるよりは、ガスコンロ、給湯器、ファンヒーターが壊れたときに、24時間自己負担金なしで修理してくれる東京電力エナジーパートナーのサービスに「超」魅力を感じた。
また、以下の連載で紹介してきた東京電力の強さもある。
・藤山哲人の光熱費見直し対策室|第1回:ガス自由化で突入する「光熱費自由化」
https://www.watch.impress.co.jp/headline/docs/series/energy_fujiyama/1046939.html
・藤山哲人の光熱費見直し対策室|第2回:東京電力がガス料金プラン発表!コスパと修理サービスがスゴイ!!
https://www.watch.impress.co.jp/headline/docs/series/energy_fujiyama/1061900.html
こうした事情を踏まえて、最終的に家族全員一致で東京電力エナジーパートナーにすることにした。
東京電力エナジーパートナーのガスの申し込みはフリーダイヤルで10分程度
さてプランの変更は、Webでパパッ! と済ませたいところだが、さすがに商売敵の東京電力エナジーパートナーと東京ガスのシステムを連携させるわけにもいかないため、ガスの乗り換えは申込書を使う方法もあるが、フリーダイヤルでの申請が一番早いようだ。
電力とガスのプランを同時に切り替える場合は、フリーダイヤルのほうが楽。だが、電力のプラン切り替えは、24時間いつでも素早くできる、Webから申し込むのがオススメだ。
ただ、用語がややこしかったりするので、シミュレーションはバッチリ、現在加入中のサービス名と切り替えるサービス名も把握しているという人にオススメ。なんとなく東京電力エナジーパートナーのガスに申し込む場合は、フリーダイヤルの方が確実だし、手厚く説明してくれる。
フリーダイヤルを使うにしても、Webで切り替えるにしても、最新の電気とガスの請求書の用意を忘れずに。
また、ガスの切り替えで必要になるのは以下の情報。電話をしながらあわてて探すより、あらかじめメモしておくといいだろう。
- 東京電力エナジーパートナーのお客さま番号
- 契約者氏名と住所、電話番号
- 電気の切り替えを直前にしたい場合はWeb申し込み番号
- 東京ガスのお客さま番号
- 供給地点特定番号
- 直近の検針日(最新の請求書の検針日)
- 現在のガスのプラン(通常は一般)
電話での申し込みは10分ほどで終わる。平日は朝の9時~夜8時まで、土日は朝の9時~夕方5時まで受け受けている。
これで来月もしくは再来月から東京電力エナジーパートナーからガスを買えるようになる!
ちなみにウチは、7月24日申し込みで翌月からガスと電気の請求がまとめて届くということだ。
(協力:東京電力エナジーパートナー)