こどもとIT

Chromebookに教育版マインクラフトが正式リリース、Google Playでインストール

2020年8月10日(アメリカ現地時間)、教育版マインクラフトの公式サイトで発表された情報によると、Chromebook対応の「Minecraft: Education Edition」が正式にリリースされた。マイクロソフトは1ヶ月ほど前から、同製品のChromebookベータをリリースし、公開ベータテストを実施していたが、ちょうどアメリカの学校が9月から新年度に入るBack to Schoolのタイミングに合わせて、正式リリースの情報が明らかになった。

教育版マインクラフトは2016年に登場し、これまではWindows 10やmacOS、iPadでの利用が可能だった。しかし、昨今は学校現場でChromebookが普及し、多くの教育者から同バージョンを望む声が寄せられていたようだ。Chromebookバージョンが登場したことによって、多くの学校でマインクラフトを楽しむ子どもたちが増えそうだ。

教育版マインクラフトでは、Chromebookバージョンのリリースに合わせて、さまざまな新機能が追加された。

たとえば、「Minecraft Bedrock Edition」に登場するキツネ、ミツバチ、養蜂箱、ハチミツブロックなどが追加され、American Beekeeping Federationが提供する「Kids and Bee Program」と提携して、マインクラフトの世界でも蜂の保護や養蜂家を体験できる、11種類のSTEMレッスンが用意された。これは、ミツバチの激減が深刻化するアメリカにおいて、子どもたちがマインクラフトを通して課題に興味を持ち、自然保護の大切さや生態系を学ぶのがねらいだ。

ミツバチの役割や生態系を学び、養蜂家を体験できる「Build with Bees」のレッスン

またコンピュータ科学や数学、科学など、さまざまな教科のレッスンがまとめられたライブラリーも充実した。すべてのレッスンにタグ付けされ、検索もしやすくなった。

ほかにも、コロナの影響で学校での学び方が変わってきた今、教育版マインクラフトにも遠隔授業やハイブリッドラーニング(教室で学ぶ生徒と、家で学ぶ生徒に分かれるスタイル)をサポートする機能が設けられた。教育版マインクラフトを活用した遠隔授業のツールやリソースなどの情報が「Learning at Home With Minecraft」ページに掲載されているのでチェックしてほしい。

マインクラフトは、ゲームだと思われがちであるが、子どもたちがデジタルものづくりをしたり、ワールドの中の課題をクリアしたりと、クリエイティブな活動ができるツールである。教室に来られなくても、リモートでの協同作業が可能で、子どもたちが主体的に取り組む学習につながりやすい特性を持つ。21世紀型スキルの育成にも有効だと話す教育者が多く、教育版マインクラフトでは、プログラミングや課題解決型学習に活用できるレッスンが数多く用意されているのも特徴だ。

教育版マインクラフトで提供されている教科。教科ごとにさまざまなレッスンが用意され、各レッスンにはタグが付いて検索しやすくなった(画面はWindows環境の教育版マインクラフトのもの)

Chromebookバージョンの教育版マインクラフトを入手するためには、Google PlayストアからAndroidアプリで入手可能。ただし、Chromebookを含む、すべてのプラットフォームで教育版マインクラフトを利用するためには、Office 365 Educationのアカウントが必要になるのが大前提。ただ、いずれはOffice 365 Education とGoogleのアカウントが連携していれば、Google のアカウントでログインできるようになるという。

教育版マインクラフトは、Chromebookバージョンを含め、教育者が無料で試用することができる。試用ライセンスは、教師用に25ログイン、学生用に10ログイン提供されている。

今回のChromebookバージョンでは、他のプラットフォームと同じ機能が提供される。そのため、iPadとChromebookなど、異なるデバイスを持つ生徒同士であっても、ひとつのレッスンで協同作業が可能となる。ただし、教育版マインクラフトと連携して使うプログラミングアプリ「Code Connection」と、マインクラフトの授業支援アプリ「Classroom Mode」は、まだChromebookバージョンでは利用できない。

Chromebookバージョンのデバイスの要件は下記の通り。
・ChromeOS バージョン: M83以降
・ハードドライブ:デバイスを共有するアカウントごとに最大500 MBの空き容量(推奨1 GB)。
・RAM:4 GBのRAMを推奨
・CPU:性能が低いプロセッサではパフォーマンスの問題が発生する可能性があるため、他のアプリケーションをすべて終了しておくことを推奨

日本の教育現場においても、Chromebookを導入する学校が増えている。今後、より多くの教育者や子どもたちが教育版マインクラフトを活用して学習する日も来るだろう。今までとは異なる学習に夢中になる子どもたちの姿が、今から目に浮かぶ。

神谷加代

こどもとIT編集記者。「教育×IT」をテーマに教育分野におけるIT活用やプログラミング教育、EdTech関連の話題を多数取材。著書に『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)、『マインクラフトで身につく5つの力』(共著、学研プラス)など。