こどもとIT
DeNA、小学校低学年向けプログラミングアプリ「プログラミングゼミ」の無償配信を開始――渋谷区がモデル校に導入
2017年10月20日 14:35
ディ・エヌ・エー(DeNA)は2017年10月19日、小学校低学年向けのプログラミングアプリ「プログラミングゼミ」の配信を開始したと発表した。
同アプリは、ビジュアルプログラミングを採用し、キーボードやマウスなどは使わないため、小学校低学年でも理解しやすい。子どもが描いた絵を取り込み、プログラミングに沿って動かすといったことも可能で、創作意欲も刺激されるつくりとなっている。パズルなどの遊びを交え、基礎から応用、創作まで楽しみながらプログラミングを習得できる。
iOS、Android、Window搭載端末に対応しており、各アプリストアにてダウンロードが可能だ。無償で提供されており、教育現場だけでなく、家庭や塾などの環境でも活用できる。
DeNAは、CSR活動の一環として、2014年より公立小学校において実証研究授業としてプログラミング教育を実施してきた。そこで使用してきたタブレットPC用ソフトウェアを改良し、アプリ開発者が実際に小学校で授業を行った経験や現場教員の意見等を反映し、教育現場でも取り入れやすい教材として開発したという。どのように授業に取り入れればよいか指導案もセットで提供しているほか、問い合わせに応じて教員研修などのサポートも行っている。
また、渋谷区がプログラミングゼミを区立小学校のタブレットPC全台に導入し、10月より順次、本アプリを利用した授業が行われる予定であると発表された。まずは千駄谷小学校をモデル校としてプログラミング授業を実施する。
同日行われた発表会には、渋谷区教育委員会 教育長の森富子氏が登壇し、渋谷区では、2020年からのプログラミング教育の必修化を見据え、2016年からプログラミング教育の検証を行ってきたとし、その中で、「指導者側の人材不足」と、「小学校低学年に対する指導に課題があること」を知見として得られたと語った。そこで今回、教員の研修体制を確保できることと、小学校低学年を対象としたソフトを開発していることから、DeNAを連携先として選定したという。
また、DeNAの代表取締役会長の南場智子氏は、「今後10年で49%の仕事がコンピューターによってなくなると言われているが、そこに新たな仕事が生まれてくるはずだ。そのほとんどがロボティクスやAIを活用したものになり、すべての産業が影響を受けることになる。来たるべきAI時代を楽しめる子どもを育てたい。コンピューターという道具を使うだけではなく、自分の夢に役立てることができることを知ってほしい。心理的なハードルを取り除き、すべての子どもにプログラミングに触れてもらいたい」と力説した。
DeNA 取締役の川崎修平氏は、「とにかくプログラミングを楽しいと感じてほしい。教育において、小学校低学年では面白さを教えることが大事だと言われている。無邪気に好奇心を持って楽しめる年代に、楽しい原体験を与えたい」と思いを語った。
プログラミングゼミは、3年半で1200人以上の子どもたちにプログラミング体験をしてもらい、ブラッシュアップしてきたものだという。その結果、アプリ開発者の末廣章介氏によると、2017年6月に横浜市立港北小学校で実施した子どもたち250人へのアンケートでは、「プログラミングの授業は楽しかったですか?」という質問に「はい」と答えた子どもが99%、「プログラミングの授業をもっと受けたいと思いますか?」という質問に「はい」と答えた子どもが98%に達したという。