絞りとボケの素敵な関係
絞りとは光の量を調節するカーテンのようなもの
今回は、ミラーレス機の『OLYMPUS OM-D E-M5』を使って絞りとボケの関係について勉強してみましょう。
‘絞り’とは、レンズに入ってくる光の量を調節する働きのことで、絞りを開けるとカーテンを開けるように多くの光が入ってきますし、絞りを絞るとカーテンを閉めるように入ってくる光の量が少なくなります。
この‘絞り’を表す単位として‘F値’と言う用語が使われます。このF値は「F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8」のように表され、数値が小さいほど絞りを開けた状態で明るく、大きいほど絞りを絞った状態で暗くなります。後ほど出てきますが‘開放絞り’とは、絞りを開けた一番明るい状態をいいます。
絞りを開く(小さいF値にする)と、カメラに入る光の量が多くなって広い範囲をボカすことができるようになり、絞りを絞る(大きいF値にする)と、カメラに入る光の量が少なくなってボケる範囲が狭くなります。
今回はこの絞りを開けたり絞ったりしてボケの大きさを調節する勉強になりますので、あまり難しく考えずに、ボカしたいときは絞りを開ける、隅々までピントを合わせたいときは絞りを絞るとだけ覚えておいてください!
開放絞り値はレンズによって決まる
絞りを調節して撮影するには「絞り優先AEモード」を使用します。モードダイヤルには「A」や「Av」などと表記されています。このモードを使うと、自分が選んだ絞りに合わせて適正な露出になるようにカメラが自動でシャッタースピードを決めてくれます。この両方を自分で調節するマニュアルモードもいずれは使いこなせるようになりたいものですが、まずは「絞り優先AEモード」を通常の撮影に使うことから始めてみましょう。
まずボカしたいときですが、どこまで絞り値を小さくできるかは一眼レフやミラーレス機などのレンズ交換式カメラの場合はカメラボディではなく、装着しているレンズによって違います。
今回使用したレンズは、『OLYMPUS OM-D E-M5』のキットレンズの『M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ』です。このレンズの開放絞り値は製品名にあるように「F3.5からF6.3」となります。
……から? …絞りを一番開けた状態を開放絞りというのに‘から’というのはどういうことでしょうか?
答えはこのレンズがズームレンズだからです。つまり一番広い画角の12mmで撮影するときはF3.5の明るい絞り値が使えますが、一番ズームした望遠側の50mmで撮影するときはF6.3からしか絞り値が使えないことになります。
通常撮影するのに困る絞り値ではありませんが、左側の数字だけを見て勘違いして購入してしまわないように、レンズの見方として覚えておいてください。
ボケの量は写真のムードを大きく左右します!
どんなときにどれだけボカせばいい写真になるのかなんて決まりはありませんが、ボケの量によって写真のムードは大きく変わります。
たとえば作例の写真のように手前のバンビにピントを合わせて周りをボカすことによって、写真の中の主役はバンビになり、見る人の目はその一点に惹き付けられます。主にテーブルフォトやポートレートで主役の被写体を周りから浮き立たせるように目立たせたいときに使う手法になります。一般的に柔らかいイメージの写真になります。
また、写真の中の被写体全体にピントが合っていれば、その場の状況が良く分かる写真になります。こちらは風景写真などで広い範囲を雄大に見せたいときに使う手法になります。一般的に硬いイメージの写真になります。
このようにボケの量を自分好みに調節できることは写真の醍醐味でもありますので、ステキな被写体に出会ったら、ぜひ、光のカーテンをうまく使って自分だけの一枚を撮ってみてくださいね!
OLYMPUS O-MD E-M5
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ