VR Watch
VRの本命? スタンドアロン(一体型)VRとは。Oculus GoとMirage Soloのスペックも比較
2018年5月2日 19:10
スタンドアロンVRとは何か
スタンドアロンVRとは、パソコンやスマートフォンといった外部機器を一切必要とせず、VRゴーグル単体で動作するVR機器です。
スマートフォン向けのプロセッサーや各種センサー、ディスプレイ、レンズ、バッテリーなどが内蔵されており、これ一つでVR動画やVRゲームなどを楽しむことができます。
これまでのVRが「VRゴーグル」と「パソコンやスマホ」を別途用意する必要があったのに対し、スタンドアロンVRは「これだけ買えば、かなり高品質なVRを楽しめる」という手軽なパッケージになっているのが特徴です。
スタンドアロンVRはなぜ「VRの本命」と呼ばれるのか
スタンドアロンVRは「VRの本命」と言われることが多いのですが、なぜなのでしょうか。
それは、スタンドアロンではないVR、すなわちPC接続型やスマートフォン接続型のVRよりも圧倒的に「手軽に楽しめる」ためです。
PC接続型VRの場合、クオリティや用途の広さは最高ですが、VR機器とは別に高価なパソコンを別途用意する必要があり、初期コストが非常に高くなります(VR機器とパソコンを合わせておよそ20万円前後)。また、VRゴーグルとパソコンの間は重く長いケーブルで接続するのが一般的なほか、別途センサーを部屋に設置する場合もあり、使用する際の準備が非常に面倒です(PlayStation VRはPC接続ではありませんが、ほぼ同様の特徴を持っています)。
ダンボール型ゴーグルなどにスマートフォンをセットする簡易方式のVRは、手軽で費用も安いですが、ゴーグルの本体やレンズは特定のスマートフォン専用に設計されている訳ではないため、装着方法や画質などに難があります。用途も主に動画や静止画などに限られ、本格的なゲーム用途などには向きません。
GoogleのDaydream ViewやサムスンのGear VRといったスマートフォン接続型VRは、専用ゴーグルとスマートフォンを接続することで、手軽さと高い映像クオリティを両立でき、ゲーム用途にも使用できますが、対応するスマートフォンは一部機種に限られてしまいます。また初期費用についても、ゴーグルとスマートフォン合わせて6〜10万円程度が必要となります。
スタンドアロンVRは、上記のような様々な欠点が解消されています。具体的には下記の通りです。
- 安価(2万円〜6万円程度)
- スマートフォンやパソコンを別途用意・接続する必要がない
- わずらわしいケーブルが一切存在しない
- 専用設計のレンズとスマートフォン並みの性能で高画質な映像を実現
- 専用コントローラーでの操作性
- ゲームにも利用できる
一方、スタンドアロン型の弱点として、PC接続型VRほどの処理能力がないため、3Dゲームなどのグラフィック品質が相対的に劣ることが挙げられます。また、PC接続型で実現できるようなルームスケールVR(一つの部屋など広い範囲を自由に動き回るVR)には現時点では対応しません。ただ、こうした課題はプロセッサーやセンサーなどの技術向上によって改善していく部分であり、長い目で見た際にはスタンドアロン型がVRの主流になっていくことが予想されます。そうした将来性も、スタンドアロンVRがVRの本命と目される理由のひとつです。
最新2製品「Oculus Go」と「Mirage Solo」
スタンドアロンVR製品はこれまでも存在していましたが、日本では提供されていなかったり、されていても主に法人向けで販売されていたりと、手を出しにくい状況でした。しかし今年2018年は主要メーカー、プラットフォーマーから一般向けに魅力的な製品が相次ぎ登場しています。
一つは、Facebook傘下のOculusから5月2日に発売された「Oculus Go」です。価格は23800円(税抜)からと非常に安価でありながら、2560x1440の解像度、72Hzの映像リフレッシュレートなど、ことディスプレイではハイエンドVRに引けを取らないスペックになっています。アプリプラットフォームとしてはGear VRと同様の「Oculus Store」に対応。Gear VR向けに開発されたアプリとの互換性が高いこともあり、Oculus Go向けのアプリは早晩充実していくことが予想されます。モーショントラッキングは3DoFに対応し、ゴーグルの「前後左右への傾き、左右の首振り」を検知することでVR内を自由に見回すことができます。
もう一つは、レノボから5月11日に発売する「Mirage Solo」です。GoogleのVRプラットフォームであるDaydreamに対応し、価格は5万円代半ばとやや高価ですが、性能面は非常にハイエンドです。対応するモーショントラッキングは「6DoF」で、ゴーグルの「前後左右への傾き、左右の首振り」に加え「上下、左右、前後への動き」を検知。これにより、立ち上がったり、しゃがんだり、体を傾けたり、一定の範囲で歩くなどの動作を検知します。6DoFに対応するアプリなら、VR内で「実際に体を動かす」ゲームなどが楽しめます。
Oculus Go | Mirage Solo | |
---|---|---|
重量 | 470g | 645g |
SoC | Snapdragon 821 | Snapdragon 835 |
RAM容量 | 3GB | 4GB |
内蔵ストレージ | 32/64GB | 64GB |
ディスプレイ解像度 | 2560x1440 | 2560x1440 |
ディスプレイ方式 | 液晶 | 液晶 |
リフレッシュレート | 60Hz/72Hz | 75Hz |
モーショントラッキング | 3DoF | 6DoF |
スピーカー | 内蔵 | なし |
バッテリー容量 | 2600mAh | 4000mAh |
公称バッテリーライフ | 約2〜2.5時間 | 約2.5時間 |
ネットワーク | 802.11b/g/n/ac Bluetooth 4.1 | 802.11b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
ポート | MicroUSB ヘッドホン端子 | USB type-C ヘッドホン端子 |
メモリーカード | なし | microSD(〜256GB) |
コントローラー | 付属 | 付属 |
OS | Android 7.1.2 | Daydream 2.0 |
アプリプラットフォーム | Oculus Store | Google Play |
公式ストアでの税抜価格 (2018年5月現在) | 23800円(32GB) 29800円(64GB) | 51200円 |
その他のスタンドアロン型VRを紹介
ここでは、上記2製品以外のスタンドアロン型VRを紹介していきます。
HTC Vive Focus
PC接続型VR「Vive」を発売するHTCが展開するスタンドアロン型VRヘッドセットです。すでに中国市場で発売していますが、今年中の世界展開が予定されています。6DoFに対応するなどハイエンドなスペックを誇ります。アプリプラットフォームとしては「Viveport」に対応します。