VR Watch
4月27日開始「ドラゴンクエストVR」を体験。まさに「ロール」を「プレイ」するRPG
2018年4月25日 21:13
ロールプレイングゲーム(RPG)の原義は、役割（ロール）を演じる（プレイ）ということだ。RPGの原点と言えるTRPG(テーブルトップRPG。テーブルトークとも)では、その言葉通り、プレイヤー各自がキャラクターを「演じる」ことで進行していく。
2018年4月27日からVR ZONE SHINJUKUで稼働開始するVRアトラクション「ドラゴンクエストVR」は、まさにRPGの原義に立ち返ったかのような体験となっている。
日本で最も有名なRPGと言ってもいい「ドラゴンクエスト」をVR体験に移し替えた本作は、最大4人が一つのパーティーとして同時にプレイするフリーローム（各自がある程度自由に歩き回れる）VRアトラクション。プレイヤーはそれぞれ「戦士」「魔法使い」「僧侶」の3つの職業から一つを選び、ドラゴンクエストの世界に降り立つ。戦士は剣による直接攻撃と盾による防御を行え、あるときは敵に切り込み、あるときは味方を守る、オンラインゲームでいう「タンク」の役割となる。魔法使いは、遠距離から攻撃魔法を使って敵を攻撃可能。僧侶は回復、蘇生、攻撃の3種類の魔法でパーティーをサポートする。
ここまでの説明でも分かる通り、ドラゴンクエストVRでは職業による役割分担がはっきりしている。魔法使いや僧侶は、基本的に「自力でかわす」以外に攻撃を回避する手段がないため、前衛である戦士の盾で守ってもらう必要があるし、同様に戦士や魔法使いは回復手段を持たないため、傷を負ったり死んでしまった場合には僧侶が回復や蘇生の魔法をかける必要がある（そういうわけでルール上でも一つのパーティーには戦士と僧侶が必ず一人ずついなくてはいけない）。
それぞれが違った役割を通してパーティー全体に貢献する、それがドラゴンクエストVRの楽しさの一つだ。そうした楽しさは、これまでにもMMORPGやチームプレイ型のFPSゲームなどで追求されてきた楽しさなのだが、ドラゴンクエストVRではVRという表現を用いることで、その楽しさがよりプリミティブに表現されている。VR空間で文字通り肩を並べ、背中を任せ、あるときは後衛を守るため敵を押しとどめたり、時には戦士の陰に隠れながら戦う、といったプレイを主観視点で体験することによって、自身の役割がより明確に意識されていく。
ちなみに筆者は僧侶を体験したが、回復・蘇生の他にバギ系呪文を使った攻撃も行えるため、行動の選択肢が他の職業に比べて多い。ひたすら味方を回復してサポートに徹するもよし、味方そっちのけで敵をなぎ倒すもよし、とロールプレイのし甲斐がある。
こうしてプレイヤーは、ドラゴンクエストVRのプレイを通じて「ロール」を「プレイ」することの楽しさを実感する。これはドラゴンクエストVRの公式PVを見ても明確に意識されているコンセプトだと分かる。
実のところ、そうした観点から言えば、ドラゴンクエストVRには不満もある。まず、VR内で自分の姿が見えないこと（正確には両手と武器だけ）だ。自分がどんな姿になっているのか明確に意識できれば、もっと「なりきり」感が増幅されるのではと思う。
もう一つ。PVでは魔法使いが激しく呪文名を叫んでいるため、呪文の発動は音声コマンドなのかと思いきや、実は「視界に表示された3つの魔法の中から杖で選ぶ」という、実質的にはコマンド選択式。PVと同様に、文字通り呪文を「唱え」て使うようにした方が気分が出そうだ。もちろん、発声が必要だと呪文を「憶える」という学習コストが高まるので、特にドラクエ未経験者にはつらそうではあるのだが。
今回のドラゴンクエストVRは、ドラゴンクエストという多面的な魅力を持った作品のうち、主に「戦闘」の要素をクローズアップしたものになっている。が、ドラクエファンであるならば、「フィールドでの冒険」や「洞窟の探索」、あるいは「村人との会話」、もしかしたら「ぱふぱふ」などもVRで体験したいと思うだろう。ドラクエの生みの親である堀井雄二氏はドラゴンクエストVRに「ドラクエをヴァーチャルリアリティで再現してみたい！という夢にかなり近づいてきました！」とコメントを寄せているが、まさしく来るべき「真のドラゴンクエストVR」への第一歩として、ドラクエファンならぜひ体験してみてほしい。