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音と映像を楽しみ抜くためのデスクトップ「ESPRIMO FH90/B2」
今はパソコンというとノートPCが主流だが、より大画面で音楽や映画を楽しめるAV機器的な用途では、デスクトップ型の方が優位だろう。画面サイズも大きくなり、テレビ視聴もより満足度が高まるし、何よりも据え置き型の大きめの筐体はスピーカーの容積を確保しやすい。つまり、音が良い。
富士通の「ESPRIMO FH90/B2」も、そんなAV機能を充実した高級モデルだ。27型のIPS液晶ディスプレイが本体と一体化したオールインワン型。ディスプレイのベゼルは左右約7mmとかなり細めで、画面だけが浮かんでいるような雰囲気。また、無線LAN内蔵で、キーボードとマウスもワイヤレス式なので、すっきりと設置できる。
PC性能としては、CPUにインテル® Core™ i7-7700HQ プロセッサーを搭載し、内蔵メモリは8GB。強力なCPUパワーを活かして動画編集なども十分に楽しめる高性能になっている。
HDDは約3TB搭載。テレビ視聴/録画機能も搭載しているので、大容量のHDDにどんどん録画していける。テレビ録画は、録画/視聴ソフト「DigitalTVbox」で地デジ/BS/110度CSのダブル録画が可能。録画は自動録画機能なども盛り込まれており、BDレコーダとほぼ同等の機能性。手軽なテレビ視聴/録画ならまったく不満がない。Blu-ray Discドライブを内蔵しているので、BD/DVD再生のほか、録画した番組をBD-Rなどに記録することも当然可能だ。
27型でフルHD解像度のディスプレイは、「ステータスパネルスイッチ」で画質モードを手軽に変更でき、鮮明な映像を楽しめた。
HDMI入力を備えているので、薄型テレビのようにゲーム機などのモニターとして使うことができるのも便利だ。また、HDMI出力も搭載しているので、大画面テレビなどへの映像出力も可能だ。
スリムさよりも音質を追求! 大容積スピーカーユニット搭載
最大の注目ポイントは内蔵のスピーカーだろう。音響メーカーのパイオニアと共同開発したハイレゾ対応の高音質スピーカーユニットを搭載しており、前面に円形のスピーカーが配置されているのがわかる。さらに背面にはウーファーを内蔵した2.1ch構成となっている。
デスクトップPCは内蔵スピーカーにこだわったモデルも多いが、それらと比べても本機は本格的な作りと言っていい。ちなみに出力は前面スピーカーが4W+4W、ウーファーが10Wとなり、なかなかの大出力だ。
このスピーカー部は、設定しておけばPCの電源がオフのときでもスマホなどと接続して単独でスピーカーとしても使うことができる。
きめ細かな再生音と豊かなスケール感。ハイレゾ音源をじっくりと聴いてみた
「ESPRIMO FH90/B2」はシステムとスピーカー、双方がハイレゾ対応。ということで、まずはハイレゾ対応の実力をじっくりと確かめてみよう。
音楽再生アプリはDigiOnの「CurioSound for FUJITSU」がプリインストールされている。WAV、AIFF、FLAC、DSDといった形式のハイレゾ音源の再生に加え、独自の「ハイレゾクリエーターCQe」を搭載し、CD音源や圧縮音源などの再生時に高音域を予測再現し、ハイレゾに近い音質の再生をすることもできる。そして、高音質化した音源をハイレゾ音源の形式で保存することも可能だ。
Windows PCでは定番の「Foobar2000」と比べると、設定やコンポーネントの追加などが不要でセットアップが実に簡単に行えて便利だ。最初に行った設定と言えば、「再生デバイス設定」で「WASAPI」を選択したことくらい。これだけで、DSD音源などもすべて再生が可能。PCでの本格的なオーディオ再生は何かと設定が面倒で、ハードルが高いと感じている人も少なくないと思うが、本機では拍子抜けしてしまうくらいに簡単だ。
最近よく聴いている「ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 第4楽章/ ネルソンス指揮ボストン交響楽団」(FLAC 96kHz/24ビット)を聴いてみたが、音の粒立ちがよく、細かな音まできちんと再生できる。音質的にも、固有のクセっぽさもなく自然な音色だ。
その音は、本体の前に置いたキーボードに手を載せた感じの視聴位置でベストなバランスとなるようにチューニングされているようで、つまりニアフィールド再生に特化したものになっている。こうした位置関係で聴いていると、ステレオの音場感もしっかりと出るし、背面から出る低音がゆったりと広がり、なかなかのスケール感だ。反面、ちょっと離れた位置で聴くと、音場感が不足したこじんまりとした印象になる。細かな音も聴き取りにくくなるので、じっくりと音楽鑑賞をするならば比較的近い位置で聴く方が好ましい。
自然な音色の再現だけでなく、力強くなる低音楽器のエネルギー感もまずまずだし、出音の勢いの良さも良い。質の高いミニコンポなどのオーディオシステムと肩を並べる実力だ。
今もよく聴いている「ガールズ・アンド・パンツァー劇場版 オリジナル・サウンド・トラック」から「劇場版・緊迫する戦況です!」を聴いてみたが、テンションの高いメロディーと勇壮なリズムが力強く再現され、劇中のドラマティックな戦車戦が蘇る。演奏する楽器もきめ細かく再現されるし、音の立ち上がりに優れているので生き生きとした音になる。オーディオ装置としてはスピーカーの間隔も狭いし、コンパクトなシステムと言えるサイズなのだが、スケール感豊かで堂々とした音になるのが本機の美点だと思う。
「CurioSound for FUJITSU」では音質を好みに合わせて調整できる「エフェクト設定」もある。グラフィックイコライザーによる調整で高域を加減したり、低音域を増強したりできる。このあたりも組み合わせれば、かなり満足度の高い音質でハイレゾ音源を含む音楽を楽しめるはずだ。
また、本機のヘッドフォン出力も、テキサス・インスツルメンツ社のオペアンプを使った本格的なもの。手持ちのイヤフォンで聴いてみたが、こちらも解像感の高い音できめ細かさと力強い鳴りが両立したバランスの良い音に仕上がっていた。内蔵スピーカーによる再生も良いが、深夜などはイヤフォンで十分な音量で音楽や映画を楽しめるだろう。
「CurioSound for FUJITSU」の機能、非ハイレゾのファイルをハイレゾ相当にアップコンバートするという「ハイレゾクリエーターCQe」も試してみた。ディスクはCDからリッピングしたWAVファイル(44.1kHz/16ビット)で、よく聴くロック曲などを再生。
画面の上部にある「ハイレゾサウンドで聴く」をオンにすると、高音域の成分を復元した再生となる。効果としては音場感が豊かになり、広がりのある音がより立体的になった感じになる。また、高音域の粗い感じがなくなり、スムーズで滑らかな音になる。反面、音色が大きく変わるようなことはなく、変に高域が強調された硬い音になったり、逆に滑らかすぎて丸い感じの音にはならず、実に自然でまとまりの良いサウンドだ。
映像でも活きるスピーカー。最新の映画を迫力ある映像と音で楽しむ
「ESPRIMO FH90/B2」はBlu-rayの再生も可能ということで、BDソフト「アサシン・クリード」を見てみることにした。ディスクをセットすると、プリインストールの「WinDVD」が起動し再生も自動的にスタートする。「アサシン・クリード」はフリーランニングを採り入れた縦横無尽なアクションが大きな見どころだが、フル画面表示では残像感もほとんど気にならず、スピード感のある映像を存分に楽しめた。
室内のシーンなど、暗い場面がやや見づらいのは、液晶ディスプレイでは仕方のない面もあるが、これは好みに応じて「画面の明るさ」を調整しよう。このほか、「ステータスパネルスイッチ」で画質調整を「シネマ」に切り替えると、映画らしい色となり、暗部の階調感も良好になるのでおすすめだ。
大型のスピーカーユニットが迫力ある低音もしっかりと再現し、臨場感も豊か。高所から飛び降りる「イーグル・ダイブ」の迫力も、映像の鮮明さとキレ味の良い再生音のおかげでかなりスリリングに楽しめる。
デスクトップPCのBD再生は、ディスプレイの実力などにより色が浅く感じられたり、残像による動きのキレが鈍るなど、薄型テレビでの視聴に比べて差を感じることが少なくないのだが、本機での視聴はそんな落差を感じることなく、なかなかの迫力を味わうことができた。
「ESPRIMO FH90/B2」はデスクトップPCとしては高価な部類に入ると思うが、高性能なPCスペックだけでなく、テレビ録画やBD/DVD再生の質の高さ、なによりもハイレゾ音源を実に簡単に、しかも優れた音で楽しめることなどを考えると、かなりコストパフォーマンスが高いと言える。
薄型テレビやBDレコーダ、そして優れたステレオ再生装置などを個別に揃えることを考えると、価格的にも有利だし、スペースも有効に活用できる。オーディオ&ビジュアルの趣味を自分の書斎などでじっくりと楽しむには、実によくできたパッケージだ。
ESPRIMO FH90/B2の購入はこちらからUltra HD Blu-rayも楽しめる! ノートPCのハイエンドモデル GRANNOTE「LIFEBOOK AH90/B1」
4Kの高画質映像を収録した次世代Blu-ray「Ultra HD Blu-ray」(以下、UHD BD)は最近ソフトのリリースも相次いでいるが、PCでの再生は非常にハードルが高い。しかし、そんなUHD BDに対応したノートPCもある。それがGRANNOTE「LIFEBOOK AH90/B1」だ。今年初めに発売した本機だが、最近、ソフトウェアアップデートでUHD BD再生に対応したので、今回試してみた。
「LIFEBOOK AH90/B1」は、3840×2160ドットの15.6型、4K解像度ディスプレイを搭載する大型ノートPC。光学ドライブももちろん搭載し、UHD BDの再生に対応する。
CPUはインテル® Core™ i7-7700HQ プロセッサー、メモリは8GB、HDD容量は約1TBとなる。内蔵スピーカーはオンキヨー製のハイレゾ対応となり、高音質再生を実現する「Waves MaxxAudio」も搭載する。HDMI出力を備えており、4Kテレビなどへの4K映像出力も可能だ。
「LIFEBOOK AH90/B1」でUHD BDを再生できるようにするために、まずPCのアップデートや「WinDVD」の更新が必要になる。手間はあるが、アップデート自体は無料で、一度済ませてしまえばOKなのであまり困ることはないだろう。
早速、UHD BD版の「アサシン・クリード」を視聴してみた。更新された「WinDVD UHD BD」で視聴してみると、15.6型とAV機器的には小画面ながらも、情報量がぎゅっと詰まった4K映像の美しさに感心する。色も鮮明だし、アサシン教団の面々が着用するローブの質感や歴史的建築物の細かなディテールなども実にリアルに再現される。ぐいぐいと画面に近づいて見たくなる没入感の高い映像だ。
音の点でも、ノートPCの内蔵スピーカーとして十分な実力で、重低音の迫力も健闘している。筆者としてはUHD BDは大きな画面で映画館に近いイメージで楽しむべきものと思っていたが、ノートPCの密度感のある画面での再生もなかなか楽しい。
UHD BDも国内版は100タイトルを突破し、最近では大ヒット作品の「君の名は。」のUHD BDも登場するなど、タイトルは充実してきている。今後はますます普及が進んでいくに違いない。そんなUHD BDをいち早く楽しめるGRANNOTE「LIFEBOOK AH90/B1」にも、ぜひとも注目してほしい。
- GRANNOTE「LIFEBOOK AH90/B1」の詳細レビューはこちら
- http://www.watch.impress.co.jp/fmv/review/1703_grannote/
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