最近の富士通さんはちょっとやりすぎではないか。2017年初頭に発表したノートPC「LIFEBOOK UH75/B1」が、発表当初13.3型クラス世界最軽量の約777gをうたっていたところ、その直後に他社がさらに軽量なノートPCをリリースしてあっという間に世界最軽量の座が奪われたかと思いきや、再度UH75/B1を計測してみたらもっと軽い約761g(※)だったよ、ゴメンネ!(てへぺろ)みたいな感じになっていて、生き馬の目を抜くようなIT業界の厳しさを思い知った。(※)約761gはピクトブラックのみ
しかもそのUH75/B1、軽いだけでなく、ボディにマグネシウムリチウム合金やマグネシウム合金を用いたうえで、全体の剛性にも配慮し、強度を徹底的に高めている。約200kgfの「全面加圧試験」に、約35kgfの「1点加圧試験」、約76cmからの「落下試験」、さらには「振動試験」などを行ない、その後問題なく動作することを確認しているのだ。やりすぎではないだろうか。
LCD閉状態、本体起動時、底面から垂直落下での落下試験を実施。 無破損、無故障を保証するものではありません。 落下テストは信頼性データの収集のためであり、製品の耐落下衝撃性能をお約束するものではありません。
片手で楽々持ち上げられる軽さと、天板に使用しているマグネシウムリチウム合金がポイント
製品名 | LIFEBOOK UH75/B1 |
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CPU | インテル®︎ Core™ i5-7200U プロセッサー 2.5GHz(最大3.1GHz) 2コア/4スレッド |
OS | Windows 10 Home 64ビット |
メモリ | DDR4 SDRAM 4GB |
グラフィックス機能 | Intel®︎ HD Graphics 620(CPU内蔵) |
ディスプレイ | LEDバックライト付高輝度・高色純度・広視野角 TFTカラーLCD(ノングレア液晶) |
画面サイズ | 13.3型ワイド |
画面解像度 | 1,920×1,080ドット |
ストレージ | SSD 約128GB |
インターフェース | USB 3.1 Type-C×1、 USB 3.0×2、 HDMI×1、 LAN(1000BASE-T)×1、 SDメモリーカードスロット×1、 3.5mmステレオミニジャック×1 |
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac対応無線LAN Bluetooth v4.1 |
バッテリ容量 | 内蔵リチウムイオン25Wh |
バッテリ駆動時間 | 約8.3時間 |
本体サイズ | 幅309mm×奥行き212.5mm×厚み15.5mm 突起部含まず |
質量 | ピクトブラック: 約761g サテンレッド:約764g |
高強度といえば思い出すのが、2015年末に行なった 『過酷なサラリーマン生活に「LIFEBOOK SH90/W」はついてこれるのか!?』 という企画。この時は自転車での運搬時に、それなりに配慮してしっかり固定して走ったのだが、公式の紹介動画を見ると、最後に女性が無造作にカゴに放り込むというわりと雑な扱いをしていて、「え!? そこまでやっちゃっていいの?」と思わず口に出してしまうほど。
公式のUH75/B1紹介動画
本当にそんな雑な扱いでも問題ないのだろうか。いや、きっと問題ないからそうしているんだろうけれど、ここはやはり実際に試してみないと気が済まない。ということで、今回は通勤前の子供の保育園への登園を想定し、ママチャリ(電動アシスト自転車、重量30kg以上)を使ってUH75/B1の耐久性を確かめてみることにした。
WARNING!!
- 下記の実験は、メーカーが実施した品質試験に準拠しない、編集部および記者による独自実験となります。
- 同様の扱いをしてPCが破損したとしても、編集部では責任を取れませんし、メーカーの製品保証の対象外となる可能性が高いためなるべく真似をしないでください!!
100kg以上のママチャリ+人で踏みつけてしまうトラブルは平気か?
平日の朝の出勤前、ママチャリに子供2人を乗せ、保育園に向け自宅を出発……したいところなのだが、実際のところ登園時間は限られており、それに間に合うタイミングにスムーズかつ平穏無事に出発できるかどうかは子供達の機嫌に大きく左右される。そのため、朝は1分も無駄にはできないし、子供が自転車に乗ってくれた瞬間に出発しないといつ気が変わって泣き出すかわからない。のんきに子供と一緒に検証しているヒマはないので、ここでは筆者だけ乗車して検証することにした。
それでも、保育園に毎日持って行かなければならない子供の着替え、タオル、筆者の仕事道具を入れたリュックサックなどで荷物は満載。自転車と荷物、筆者の体重を合わせた総重量は100kgをゆうに超える。もしかしたら120kg近くあるかもしれないが、筆者の体重がバレるので100kg以上、ということで察してほしい。
とにかくUH75/B1をトートバッグに無造作に入れ、自転車の前カゴに雑に押し込んで出発……のはずが、やっぱり 前回と同様 、自然とカゴから飛び出して前輪の前に落下していくUH75/B1……。
たまたま地面に置いてあった5mm厚のアルミ板に、落下したUH75/B1が偶然まっすぐ乗っかって、運良くその上にもう1枚アルミ板が正しくセットされ、勢い余って前輪で踏みつける。要するに「全面加圧試験」の状態だ。前輪だけが乗っているので、50〜60kgほどの重量がUH75/B1の天板に加わっていることだろう。
ママチャリで踏みつけた瞬間のスローモーション映像
急いで自転車を降り、アルミ板を取り除いてUH75/B1の動作を確認してみるが、当たり前のように動作することを確認した。もしUH75/B1を自転車の前カゴにきちんと固定せず放り込んで、そのせいで段差をクリアした時の勢いなどでカゴから飛び出し、不運にも自転車などに(固い板の上などから)踏みつけられたとしても、故障する心配はまずないのだ(落下する場所、高さ、加圧のされ方にもよるが)。
振動のある道で雑に運んだ場合はどうなる?
気を取り直して、保育園へ。通園経路にはよく整備された舗装道路しかないが、ところどころ舗装が痛んでおり振動が大きい箇所もある。そんなちょっとした悪路も含む道中を、他の荷物と一緒に自転車の前カゴに突っ込んだUH75/B1とともに走ってみた。つまりは「振動試験」に近い検証内容だ。
結論から言えば、こちらも全く問題なし。走行中は間断なく振動があり、UH75/B1にも確実に伝わっているにもかかわらず、ディスプレイを開くと何事もなかったかのように動作する。ただ、他の荷物に挟まれて緩く固定されているような状態だから、少し角が取れたような振動になっている可能性はあるのだけれど……。
しかし、たとえばビジネスバッグにノートPCを突っ込み、それを自転車の前カゴに入れて通勤している人も多いはず。普通のノートPCでも気にせずにそうやって運んでいる人もいるかもしれないが、そういった振動や衝撃を受けやすい運び方をしていると故障する確率は明らかに高くなるのではないだろうか。
そんな悪路の振動をものともせず、何ごともなかったかのように耐えられるのがUH75/B1だ。収納の仕方によっては振動でこすれて擦り傷が入ったりする可能性はあるが、それさえ注意すれば自転車ツーキニストにとっても全く不安のない1台と言える。
前カゴへ雑に押し込んで爆走した映像。無駄に360度映像となっているのでVRゴーグルで視聴できるが、振動が激しいので酔ってオエッとなってしまうかもしれないので注意だ!
ペットボトル(3.5リットル分)の下敷きにして走ってもオーケー?
子供達を無事保育園に送り届け、仕事が終わった後の夕方、子供を迎えに行く際にスーパーで買い物する人もいるだろう。買った物を運ぶのに活躍するのは、やはりママチャリの前カゴ。しかし、仕事のために持ち運んでいるUH75/B1も運ぶ必要がある。だったら前カゴに一緒に突っ込んでおくしかない!
そんなわけで、ここではあえてUH75/B1を下敷きにする形で、お店で購入した2リットルペットボトルと1.5リットルペットボトルの2本(計3.5kg以上)を積み、「1点加圧試験」を想定した体で耐久性を確かめてみる。しかも、この状態で通園路の荒れた舗装路面を走るので、「振動試験」との合わせ技ということにもなるだろう。
走っている最中には、UH75/B1の天板にペットボトルによる荷重が常にかかっているだけでなく、路面の凹凸に合わせてペットボトルがバウンドしたりもする。「全面加圧」に近い状態からの「1点加圧」、あるいは「複数点加圧」のようになっているかもしれない。
本来なら高価で、大事なノートPCを、こんな風に迷いもなくペットボトルの下敷きにするようなことは、たとえどんなに頑丈と言われてもしたくはないもの。でも、これまでの全面加圧や振動の検証でまったく問題なかったことを考えると、加圧+振動の状態でも安心して思いっきり自転車を飛ばせる。もちろん、走り終えた後も動作には何の問題も発生していなかったし、外装に傷や割れ・欠けなんかも一切見当たらなかった。
ペットボトル2本を載せて爆走した映像。例によって360度動画となっている。ムダに360度動画を駆使した理由は、実は次回の記事で明かされる予定だったりする
モバイルだからこそ頑丈さがほしい。UH75/B1はノートPCの理想の形
今回はママチャリに載せて耐久性の高さを再確認してみたわけだけれど、日常生活や仕事の間など、ノートPCを取り巻く環境では丈夫さが試されるシチュエーションは多い。子供のいる家庭ならノートPCを踏まれてしまうアクシデントが考えられるし、満員電車で圧迫されたり、仕事に使っている時に無意識に肘をついたりして体重をかけてしまうこともあるだろう。あるいは、ノートPCに覆い被さるように居眠りすることもありそうだ。
ノートPCはどんどん軽量化が進んでいるが、それに従ってどこにでも持ち運んで使いたくなり、アクシデントに遭遇する可能性はますます高まる。PCはデータの損傷が一番怖いと言うけれど、ノートPCはデータ損傷(データアクセス不可状態)につながる物理的な破損も不安要素の1つ。そういった意味で、高いモバイル性能をもちながら、破損の不安を限りなく減らせる軽量かつ頑丈なUH75/B1は、モバイルデバイスとして理想的なスペックを備えたノートPCなのだ。