富士通のノートPC「LIFEBOOK」シリーズの中で、中心的な位置づけとなっているのが「AH」シリーズだ。ベーシックモデル「AH45/42」、上級者も満足できる高スペックを詰め込んだハイスペックモデル「AH77/53」、そして高性能CPUや4K液晶など究極の仕様を実現したプレミアムモデル「GRANNOTE(AH90)」と、幅広いラインナップを備えているが、この全ラインナップで共通する特長がある。それは、シンプルながら上質さを感じさせるデザインと、快適な使い心地にとことんこだわっているという点だ。
品名 | LIFEBOOK AH42/A3 |
---|---|
CPU | インテル® Celeron® プロセッサー 3855U(1.60GHz/2コア2スレッド) |
OS | Windows 10 Home 64ビット版 |
メモリ | 標準4GB(4GB×1)/最大16GB |
ストレージ | HDD(約1TB) |
液晶 | 15.6型ワイドHD[1366×768] LEDバックライト付TFTカラーLCD(スーパーファイン液晶) |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ(DVD±R DL(2層)書き込み対応) |
外形寸法(幅×奥行×高さ) | 378.0×256.0×24.7~26.4mm |
質量 | 約2.3kg |
駆動時間 | 約8.0時間(JEITA Ver.2.0) |
付属ソフト | Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス、Corel® Digital Studio for FUJITSU、筆ぐるめ 23、ほか |
シンプルなデザインと優しい使い心地
「LIFEBOOK AH42/A3」(以下、AH42/A3)は、AHシリーズのベーシックモデルに位置づけられる製品だが、本体デザインはハイスペックモデルやGRANNOTEなどの上位モデルと同じ”シンプル&プレミアム”をコンセプトとしている。余計な装飾を極力省くとともに、一体成型の外装を多用することで、なめらかな本体デザインを採用しており、文字通りシンプルな印象を強く受ける。
試用した実機のカラーは「シャンパンゴールド」で、今回の新モデルから追加された新色となる。昨今、スマートフォンなどでも採用が多い流行色であり、男女ともに違和感なく使えるカラーとなっている。けばけばしくない落ち着いた金色なので、ビジネス/プライベート問わず導入できそうだ。また、このカラーを選べるのは、ベーシックモデルである「AH42/A3」のみ、というのもポイントだろう。
液晶を開いてキーボード面を見ると、それがさらに強く感じられる。キーボード面はパームレスト部からキーボード部まで継ぎ目が一切ない。また、一段高くなっているパームレスト部とキーボードの間になめらかなカーブがあるが、それ以外はフラットなデザインとなっている。このコンセプトは、AHシリーズ全機種で統一されており、デザイン性を高める大きな要因となっている。
そして、実際に本体を手に取って感じるのが、ごつごつとした印象の少ない手触りだ。本体側面は極力角が取られ、柔らかい手触りとなっている。液晶面を開閉する時や、本体を持ち歩く場合でも、指や手のひらへの当たりが柔らかく、非常に優しいという印象を強く受ける。こういった、スペック表などからは見えにくい細部へのこだわりも、AHシリーズの大きな特長。ベーシックモデルであっても、本体デザインへのこだわりがこれだけ見られる点は、競合製品に対する大きな差別化要因となるだろう。
キーボードも、AHシリーズの大きなこだわりポイントだ。AH42/A3には、テンキーを加えたフルサイズキーボードが搭載されているが、実際にタイピングして感じるのが、ストロークの深さからくる、しっかりとした打鍵感。AH42/A3のキーボードのキーストロークは約2.5mmと、このクラスのノートPCとして圧倒的な深さを実現。ストロークが浅いと、どうしても”キーを押した”という感覚が弱くなり、タイピングの快適さが大きく失われてしまう。対するAH42/A3は、十分にストロークが深いため、非常に快適なタイピングが可能で、この点は大きな魅力だ。
また、もうひとつの大きなこだわりが「3段階押下圧キーボード」と呼ばれる部分。指によって押す力に差があることに着目して、主に親指で操作するキーは押下圧を高く、小指で操作するキーは押下圧を低く、というようにキーによって押下圧を3段階に調節しているのだ。実際に同じ指で異なるキーを操作してみると、押下圧の違いを十分に認識できるほどの違いがある。しかし、タイピング時にはこの違いをほとんど感じることはなく、逆にどの指も均一の力で押せているように感じる。これにより、長時間の使用でも疲れにくく、快適なキーボード操作を可能にしているわけだ。
さらに、キートップを奥(液晶側)が手前よりもやや低くなるように傾斜させた「ステップ型キートップ配置」、キートップ中央部をわずかに凹ませた「球面シリンドリカルキートップ」というように、キーボードへのこだわりは群を抜いている。このキー入力の快適さは、実際に触ってみるとすぐにわかり、使いやすさをとことん重視する開発者の思いがひしひしと伝わってくる。
キーボード手前のタッチパッドも、最近増えてきたクリックボタン一体型ではなく、独立した左右のクリックボタンを備えるものとなっている。これによって確実なクリック操作が行え、こちらもキーボード同様に軽快な操作を可能としている。これも、利便性重視の大きなこだわりと言っていいだろう。
オンキヨー製ステレオスピーカーを搭載
ヘッドホン端子はハイレゾ対応
パソコンにとって欠かせないポイントとして映像やサウンドがあるが、AH42/A3はその点も抜かりがない。液晶には15.6型「スーパーファイン液晶」を採用。表示解像度は1,366×768ドットと標準的だが、筆者が鑑賞したところ、鮮やかな発色で、特に赤の鮮やかさは鮮烈な印象を受けた。ムービーも高品質に表示できる。
さらに、キーボード奥にはオンキヨー製の高音質ステレオスピーカーを搭載している。スピーカーの仕様的には上位モデルとは異なりハイレゾ非対応だが、それでも大手音響メーカーらしい、伸びのあるクリアな音が再生されるため、動画や音楽なども本格的な音質で楽しめる。
一方、ヘッドホン出力はハイレゾにしっかり対応。ハイレゾ音源対応ヘッドホン(別売)をヘッドホン端子に装着すれば、ハイクオリティなハイレゾ音源を余すところなく楽しめる。こういった部分も、上位モデルの特長をしっかり受け継いだ、魅力的なポイントだ。
搭載CPUはインテル® Celeron® プロセッサー 3855U 、メインメモリは標準4GB(最大16GB)、内蔵ストレージは容量約1TBのHDDにDVDスーパーマルチドライブと、スペック的にはベーシックモデルらしいものとなっている。ただ、実際に使ってみると、動作が重いという印象は少なく、軽快に動作する。3Dゲームなど動作の重いアプリの利用には厳しい部分もあるが、Webアクセスや、Officeなど日常的に使用するアプリなどは問題なく快適に利用でき、基本性能を不安視する必要はない。
側面のポート類は、USB 3.0×3、USB 2.0×1、HDMI、有線LAN、SDカードスロットなど豊富に用意され、拡張性も申し分ない。細かいところでは、USB 2.0ポートは右側面に用意され、付属のマウスを接続した場合でもケーブルの取り回しに苦労することがないように配慮されている点なども、特筆すべき部分。こういった部分からも、使い勝手を重視している姿勢が伝わってくる。
このようにAH42/A3は、使い勝手を突き詰めるという上位モデルの思想をしっかり受け継ぐことで、優れた利便性を確保しており、クラスを超えた魅力のある製品に仕上がっている。そして、スペック表を見るだけではわからない特長も多いので、まずはパソコン量販店などで実機を触って見てもらいたい。その魅力を十分に実感できるはずだ。