先日発表されたばかりの富士通FMVのノートPC最新機種「LIFEBOOK AH77/U」。15.6型という大画面を搭載したスタンダードなノートPCではあるが、最新のインテル® CPUなどを搭載した性能もさることながら、「サラサラコートディスプレイ」や、傷が付きにくく衝撃にも強い強化ガラス「Dragontrail」など、「タッチ操作しやすい」部分が特色といえる。
スマートフォンやタブレット端末など、タッチパネルを搭載した端末は数あれど、「大画面のノートPCでタッチパネル」というのも、使ってみると非常に快適。今回は、実際にAH77/Uの実機を試用することができたので、詳しくみていこう。
長く使える強力スペックがイイ!
FMV LIFEBOOK AH77/Uは、5月22日に富士通から発売の15.6型液晶搭載のタッチ対応ノートPCだ。まずは充実のスペック面を見ていこう。
品名 | LIFEBOOK AH77/U |
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CPU | インテル® Core™ i7-4722HQ プロセッサー(最大3.40GHz) |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット版 |
メモリ | 8GB (8GB x 1) |
ストレージ | HDD(約1TB) |
液晶 | 15.6型ワイドフルHD[1920×1080] 広視野角液晶 フルフラットファインパネル(タッチ対応) Dragontrail |
光学ドライブ | BDXL対応 Blu-ray Discドライブ(スーパーマルチドライブ機能対応) |
外形寸法(幅×奥行×高さ) | 378.0×255.9×25.9~31.4mm |
質量 | 約2.6kg |
駆動時間 | 約5.2時間(JEITA Ver.2.0) |
付属ソフト | Microsoft Office Home & Business Premium ほか |
CPUにはインテル® Core™ i7-4722HQ プロセッサーを採用している。インテル® Core™ i7シリーズのモバイル向けラインアップには、CPUコアが2つのものと4つのものがあり、また、パフォーマンスを優先した標準電圧版と省電力性能を重視した低電圧版が存在している。AH77/Uに搭載されたインテル® Core™ i7-4722HQ プロセッサーは、4つのコアを搭載した標準電圧版で、ノートPC向けのインテル® Core™ i7シリーズとしてはトップクラスのパフォーマンスを誇る。Hyper-Threadingと呼ばれる機能も持っており、ひとつのCPUコアが2つの処理を同時実行することができるため、4コアで同時に8つの処理を同時実行でき、マルチタスク処理にも強い。ノートPCとしてはかなり強力なCPUを搭載しているということが分かるだろう。
メモリは8GBモジュールを1枚搭載しており、一般的な作業を行なうには十分な容量だ。また、空きスロットがひとつあるので、最大16GBまで拡張することも可能だ。
グラフィックス機能はCPUに内蔵されているインテル® HD グラフィックス 4600で、このメモリをビデオメモリとして利用する。最新の3Dゲームなどをプレイするのには不向きだが、ブラウザゲームなどは当然として、3Dでもグラフィックス負荷の小さなタイトルならプレイ可能だ。筆者が2013年に発売された都市開発シミュレーション「SimCity」を動かせるか試したところ、ビデオ設定を負荷が小さくなるようにすると、十分にプレイが可能であった。ある程度のマシンパワーが必要になる3D系ゲームだが、それなりに楽しめることが分かった。
ストレージにはHDDが搭載されている。容量は約1TBと大きく、動画編集にも申し分なく使える。光学ドライブは記録型のBlu-ray Discなので、編集した動画を家庭向けのBlu-ray Discプレイヤーで再生可能な形式で書き出すこともできる。子供のイベントをビデオカメラで撮影したものがあれば、本機に取り込んでから編集し、ディスクに書き出しといった一連の作業を行なえるわけだ。
スピーカーも高品質なものが搭載されており、高音から低音までまんべんなくクリアに表現が可能でノイズも少ない。高音質で高効率なサラウンドサウンドを実現するDolby Digital Plusにも対応しているので、本体スピーカーやヘッドホンで擬似サラウンド音声を楽しむこともできる。
通信機能としては、有線の1000BASE-Tのほか、最新のIEEE 802.11acに対応した無線LAN機能を搭載している。IEEE 802.11acは通信速度が非常に高速であり、家庭内のネットワークでPC間のデータのやり取りをする場合は、ストレスなく利用することができる。ロケーションごとに無線アクセスポイントの接続設定を記録し、自動的にアクセスポイントの選択を行なってくれるソフトウェアも用意されているので、ノートPCを移動して使う場合にも設定の手間なくすぐにLANを利用することが可能だ。
もう一つの通信機能として、Bluetoothがある。本機は省電力性能に優れたBluetooth v4.0を内蔵している。
15.6型液晶を搭載しているということで、ノートPCとしてはかなり大きめのはずだが、製品の厚みはそれほどないため、パッと見ではそれほど大きく感じない。実際の大きさや重さを考えるとモバイル用途として最適というわけではないものの、車での移動なら外に持ち出すのもそれほど苦にならないし、家庭内で利用する分にはリビングや書斎といった好きな場所で使うことができるだろう。
大画面+タッチがイイ!
AH77/Uを実際に触ってみると、やはり「大画面+タッチ」の使い勝手が良い。
Windows 8.1のModern UIはタッチ操作を考慮した作りのため、Windows ストアアプリを利用するのならば、タッチ操作可能なほうがよいのは確かだ。
デスクトップアプリに関しても最近はタッチ操作に最適化されたものが多く、Microsoft Officeなども、ボタンのサイズなどを大きくして、UIをタッチ操作に最適化することができる。Excelの大きなシートなどは、マウスやタッチパッドのスクロールよりも縦横無尽にスワイプでスクロールできるタッチ操作のほうが操作性は上だ。
また、ブラウザゲームなどもタッチ操作でスマートフォンやタブレット感覚でプレイできるほか、画像のレタッチなどでも、狙ったポイントのタッチが違和感なく行え、お絵描き感覚で操作できるのもメリットだ。
画面が小さいノートPCやタブレットの場合は、Windowsのデスクトップ画面がタッチ操作にあまり最適化されていないこともあり、操作しづらい場合もあるが、AH77/Uなら15.6型という大画面なので、アイコンなど画面上のUIパーツも十分に大きく、問題なく操作できる。
もちろん、タッチでは操作しづらい場面もある。しかし、そのときはタッチパッドやキーボードを使えば良いだけ。PC操作に「第3の選択肢」をプラスアルファで追加することで、より使い勝手を増すことができるのがタッチ操作の良いところといえる。
筆者は、普段自宅ではWindows 8.1を自作のデスクトップPCで使用しているが、ディスプレイは手を伸ばさないと触れることができない位置にある。このため、デスクトップ環境ではタッチ操作を意識することはなかったが、ノートPCの場合には、画面がすぐに触れられる距離にあることもあり、タッチ操作の方が楽な場面、たとえばWebブラウジング時などには自然に手が伸びる。
ちなみに、筆者の両親は最近小型のタッチ対応ノートPCを利用し始めたのだが、PCにあまり縁がなくキーボードやマウスの操作が得意でなくても、直感的に操作を行なえるため、タッチ操作は使いやすく感じるようだ。
結論としてはキーボードを常に使うような文書の作成時にはあまり手を移動させずにすむタッチパッドを使い、インターネットや文書の閲覧の際にタッチ操作をメインにするという使い方がよさそうだと感じた。
つい先ほどのことだが、この原稿を書きながら私物のタッチ非対応ノートPCの画面を思わず指で押してしまったが、AH77/Uを触っているうちに「大画面ノートでタッチ」がクセになってしまったようだ。
ノートPCでタッチを多用しはじめると、やはり指紋のつきやすさや、液晶自体の耐久性が心配になるもの。その点、「タッチのしやすさ」を重点に置いたAH77/Uの「サラサラコートディスプレイ」や「Dragontrail」は、非常にありがたく感じられるだろう。
AH77/Uのディスプレイの表面は光沢があるが、サラサラで指紋の付きにくい特殊なコーティングがされている。このため、指紋が付きにくく目立ちにくい。Windows 8が発売され、タッチ対応のノートPCが出始めた頃には指紋が目立ち、しょっちゅう画面を拭いていた覚えがあるが、本機ではそういうストレスを感じることはなかった。このパネルの表面にはDragontrailという旭硝子の強化ガラスを採用しているため、割れにくく傷がつきにくい。
富士通ならではの機能がイイ!
AH77/Uには、以上の特長のほかにも、老舗PCメーカーの富士通ならではといった便利機能も豊富に用意されている。たとえば電源横に用意されたワンタッチボタンからアクセスできる「My Cloud」だ。My Cloudでは、ユーザー登録するとさまざまなサービスを利用することが可能となっている。
遠方にいる家族などに動画や画像を見てもらいたい場合にもMy Cloudが活躍する。遠方にいる家族のPCにMy Cloudアプリをインストールしておけば、ゲストアカウントを発行して共有できるのだ。
NFC機能の搭載も本機の一つの特長となっている。AH77/Uの場合には、パームレストのタッチパッドの右にNFCポートがついており、ここにNFC対応機器やICカードをタッチして利用する。NFCとは非接触型の近距離通信技術のことで、身近なところでは駅の自動改札やおサイフケータイのタッチ通信機能で利用されているおなじみのものだ。たとえば、本機にSFCard Viewer2というソフトウェアをインストールすると、交通機関のICカードの利用履歴などをチェックすることができる。楽天Edyに対応しているショッピングサイトでは、自宅でICカードを使って買い物をすることも可能だ。
また、スマートフォンを使ってWebページを見ているときに、本機のNFCポートにスマートフォンでタッチすることにより、PCにURLを転送することもできる(その逆も可能)。NFCはPCの世界ではそれほど一般化されているとは言い難い状況だが、このような便利な機能が使えるのもAH77/Uのアピールポイントになっている。
長く使える高品質な大型ノートPC。家庭に1台PCを置くならコレ!
LIFEBOOK AH77/Uは信頼性の高い老舗PCメーカーである富士通のノートPCだ。性能の高いCPUを搭載、ストレージも大容量なため、製品サイクルの短いPCの世界にあっても、すぐに陳腐化することがない性能と機能を持っている。購入してからしばらくの間は買い換えずともマルチメディア機として、ビジネスサポート機として、エンターテイメント機として、長く活躍してくれるだろう。
大手国内メーカーということもあり、サポート体制もよい。安心して長い間使えるというのも本機のウリの一つとなっている。すでにマイクロソフトからは次期OSのWindows 10が発表されているが、Windows 10への無償アップグレードも可能になるため、OSの面でも長く使うことができるだろう。
また、AH77/U以外にも、LIFEBOOK AHシリーズにはAH53/UやAH45/U、AH42/Uといった下位機種が用意されている。
下位製品といっても、AH77/Uと同じ、信頼性の高い富士通の同じLIFEBOOK AHシリーズの製品だ。機能を見比べながら自分の用途に見合った機種を選択するとよいだろう。
AH77/U | AH53/U | AH45/U | AH42/U | |
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CPU | インテル® Core™ i7-4722HQ プロセッサー(2.40GHz、最大3.40GHz、4コア8スレッド) | インテル® Core™ i3-5005U プロセッサー (2.00GHz、2コア4スレッド) |
インテル® Celeron™ プロセッサー 3205U (1.50GHz、2コア2スレッド) |
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メモリ | 8GB(8GB×1、最大16GB) | 4GB(4GB×1、最大16GB) | ||
GPU | インテル® HD Graphics 4600(CPUに内蔵) | インテル® HD Graphics 5500(CPUに内蔵) | インテル® HD Graphics(CPUに内蔵) | |
ディスプレイ | 15.6型ワイドフルHD[1920×1080] 広視野角液晶 フルフラットファインパネル | 15.6型ワイド WXGA[1366×768] スーパーファイン液晶 | ||
タッチ | タッチ対応 | - | ||
ストレージ | HDD 約1TB | |||
光学ドライブ | BDXL対応Blu-ray Discドライブ | スーパーマルチドライブ | ||
サウンド機能 | ステレオスピーカー、Dolby Digital Plus対応 | |||
ネットワーク機能 | 1000BASE-T、IEEE 802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth v4.0 | |||
NFC | 搭載 | - | ||
サイズ(W×D×H) | 378.0×255.9×25.9~31.4mm | 378.0×255.9×25.4~30.0mm | ||
重量 | 約2.6kg | 約2.4kg | ||
バッテリー駆動時間(JEITA2.0) | 約5.2時間 | 約6.3時間 | 約10.4時間 | 約9.8時間 |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット版 | |||
Microsoft Office | Microsoft Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス |