FMVの2015年最新夏モデル「ESPRIMO FHシリーズ」各モデル「FH77/UD」、「FH52/U」、「WF1/U」は、なんと高音質で音楽再生できる「ハイレゾ」に対応した一体型PCだ。単にハイレゾ音源を再生できる、というレベルではなく、内蔵スピーカーからヘッドフォン出力に至るまで、音楽CDを超える超高音域もきちんと再現するという「完全ハイレゾ対応」を実現している。
これまでメーカー製PCでハイレゾ出力対応をうたっているものはあったけれど、一体型PCでスピーカーまでハイレゾに正式対応したものは、FMVが世界初かもしれない。原音に近い繊細な音のニュアンスを感じ取れるようになるハイレゾを、FHシリーズはどこまで美しく再生できるのだろうか。今回は最上位モデル「FH77/UD」を用いて、ハイレゾの楽しみ方も合わせて紹介したいと思う。
FHシリーズが“完全対応”したハイレゾとは?
まず「ハイレゾとはなんぞや?」という人のために、簡単にハイレゾのことを解説しよう。
「ハイレゾ」とはハイレゾリューション・オーディオの略称で、音楽CDよりも「いい音」を実現する仕様のこと。音楽CDの44.1kHz/16ビットという数値で表されるデータ量よりもはるかに大きなデータで記録され、例えば96kHz/24ビットや192kHz/24ビットといったデータが、WAV/FLAC形式などの楽曲ファイルで提供されている。
これらの数値は音の周波数や精度を意味し、大きければ大きいほど、音の変化をきめ細かく、精度高くデータ化していることになる。ハイレゾは特に20kHz以上の超高音域の情報量が多く、音楽CDでは仕様上カットされているその音域の再現性が高くなっており、録音時の“原音”に近い音を再現できると言われている。
最近ではスマートフォンも対応し始めているハイレゾだが、実はWindowsはかなり以前からハイレゾ音源を聞くことはできた。ハイレゾ音源に対応したプレーヤーソフトを使うことで、再生すること自体は多くのPCが可能だ。でも、単に再生できるだけでは本当の意味での「ハイレゾ対応」とはならない。音の出力先となるアンプ、スピーカー、ヘッドフォンがハイレゾ音源を再生するのに十分な性能をもっていない場合、結局は音楽CDと同程度の音質に変換された状態で出力されてしまうからだ。
なので、Windows PCで正しくハイレゾを楽しもうとするなら、音源の出力処理を受け持つサウンドカード(オーディオチップ)がハイレゾに対応していることと、そこに接続するスピーカーやヘッドフォンもハイレゾに対応していることが必須。これらのハードウェアを一式そろえてハイレゾ環境を整えるのは、なかなかハードルが高かったと言える。
しかしFHシリーズは、標準で内蔵オーディオチップが192kHz/24ビットまでの音声出力に対応し、独立したオーディオアンプを基板上に2基搭載。しかもパイオニア製のハイレゾ対応スピーカーを装備。ディスプレイ下部に設けられたツイーター付きの2ウェイステレオスピーカーのおかげで、ハイレゾならではの伸びのある高音域を実現する、という。ヘッドフォン出力端子ももちろんハイレゾ対応だ。
そのため、あとはプレーヤーソフトとハイレゾの楽曲ファイルさえ準備できればOK。特別なオプションやオーディオコンポーネントを追加する必要は全くのゼロ。オーディオにさほど詳しくない人でも手間をかけることなく、すぐにハイレゾの高音質を体感できるのだ。
プレーヤーソフトとハイレゾ音源を手に入れよう
FHシリーズにプリインストールされている「Windows Media Player 12」は、WAV形式で24bit/96kHzまでのハイレゾ音源を再生できる。しかし、FLACなどのファイル形式や、192kHzの音源は再生できない。
というわけで、FHシリーズでハイレゾを楽しむには、まずプレーヤーソフトと楽曲ファイルを用意しなければならないのだけれど、筆者としては、プレーヤーソフトに「foobar2000」をおすすめしたい。無料で使えるフリーソフトで、ハイレゾ再生のために利用しているユーザーが多く、わからないことがあっても調べやすいこと、慣れるに従ってプラグインで機能をどんどん拡張していけるのがポイントだ。
foobar2000をインストールしたら、「WASAPI output support」(http://www.foobar2000.org/components/view/foo_out_wasapi)というプラグインをインストールしておく。なぜこのプラグインが必要なのか、ここでは細かい説明はしないけれど、Windowsの標準的な音声出力機能を経由せず、WASAPIという仕組みを使って音楽再生することで、ハイレゾ本来の音質そのままで再生できるようになる。インストール後、“Output”の設定で「WASAPI」と表記された項目を選択しておこう。
ハイレゾを聞く前の設定はこれでおしまい。あとは、肝心のハイレゾ音源を手に入れなければならない。音楽CDよりはるかに大きいデータ量を誇るハイレゾ音源は、お店に行って買うのではなく、ハイレゾ音源配信サイトからダウンロードするのが一般的。たとえば「e-onkyo music」(http://www.e-onkyo.com/music/)では、クラシック、ジャズ、ロック、アニメ・ゲーム音楽など、多彩なジャンルのハイレゾ音源が販売されている。
気に入った曲を1つずつ購入してもいいし、アルバムごとまとめて購入するのもいい。楽曲によってダウンロードできるファイルフォーマットは異なるので、購入の際は、ひとまずWAV/FLACいずれかの形式で192kHz/24ビット以下のものを選ぶようにしよう。“DSF 2.8MHz/1bit”や“DSF 5.6MHz/1bit”といったものもあるが、これらDSDと呼ばれる形式のファイルを再生するには改めてfoobar2000で設定を行ったり、別のプラグインが必要だったりするので、慣れていない人は今のところは避けたほうが無難だ。
データ量が大きいので、ダウンロードに時間がかかる点にも注意。インターネット回線の速度にもよるけれど、曲の長さによって1曲当たり300〜400MBものファイルを個別にダウンロードしなければならないので、ちょっと根気が必要だ。楽曲ファイルのダウンロードが終わったら、foobar2000のウィンドウにドラッグ&ドロップして再生準備は完了となる。
ちなみに、FHシリーズなどのESPRIMO FHシリーズ購入者は、期間限定でe-onkyo musicのハイレゾ音源を1曲無料ダウンロードできる。FMVユーザーなら必然的に利用することになるMy Cloudのアカウント取得とユーザー登録をするだけなので、ぜひとも忘れずにゲットしておきたい。
果たして、ハイレゾ対応スピーカーの音質は?
FHシリーズが搭載するパイオニア製のハイレゾ対応スピーカーは、ウーファーとツイーターが組み合わされた2ウェイのステレオシステムとなっている。とはいえ、ディスプレイ下のスペースに収まる小型スピーカーということもあり、このサイズだと正直クオリティには期待できないかなー、と思ったのだが、さにあらず。
クラシックでは、弦楽器がみずみずしく透明感と張りのある音色を響かせ、女性ボーカル曲では、艶やかで生々しい息づかいが聞こえてきそうなくらい。中・高音域の粒立ち具合がはっきり分かるほどで、かといって全体的には強調されすぎていることはなく、ハイレゾならではの繊細な落ち着いた音圧で奏でてくれるのが印象的だ。
音楽をかける際はついボリュームを大きくしてしまいがちかもしれないけれど、ある程度クオリティの高いスピーカーになると、音の解像度とダイナミックレンジが高く・広くなるおかげで、ボリュームを絞ってもしっかり聞き取れる。FHシリーズも、まさにそんなスピーカーだ。むやみにボリュームを大きくしなくても、くっきりとした音の輪郭を保った状態で聞くことができる。
つまりFHシリーズは、聴くことに集中する音楽鑑賞はもちろんのこと、BGMとして静かに聞き流すような使い方にも向いている。PC利用時はじっと音楽を聴くより、どちらかというとWebブラウジングしながらとか、仕事の資料をまとめながらとか、他のことをしつつ音楽を聴くことが多い気がするから、繊細な音までしっかり表現してくれるこのスピーカーは、PC用としてはちょうどいいバランスに仕上げられていると感じた。
次に、本体側面に用意された3.5mmイヤフォンジャックにヘッドフォンを接続して聞いてみると、同じ曲でもまた新たなハイレゾの世界を楽しめる。中・高音域の透明感や音の解像感はそのままに、メリハリのある低音域まで堪能できる。FHシリーズは、1粒で2度おいしいハイレゾ対応PCなのだ。
自分好みに音質をカスタムするのも楽しみの1つ
ただ、やはり口径が小さいこともあってか、スピーカーで重低音を100%再現できているかというとそうではない。曲のジャンルや曲調によっては、「もうちょっと低音が欲しいのに」と思うタイミングがありそうだ。そんな時はfoobar2000のイコライザー機能を使おう。低音域から高音域まで、帯域ごとのレベルを手動調整して自分好みの音質にカスタマイズできる。
ハイレゾそのままの純粋な音を聞くべく、音質を変えるイコライザーは使わず、常にフラットにしておきたい、という人も多いかもしれない。けれど、使用機材や周囲の環境、自分の耳の聞こえ方などによって最適な音質は変わるもの。むしろハイレゾだからこそ、自分にとって“一番いい音”に聞こえる音質設定づくりは、時間をかけてでも追求する方が面白いのではないだろうか。
また、家だけでなく、外出先で自在にハイレゾを楽しむのもアリ。昨今のスマートフォンはPCに引けを取らないCPU性能をもち、すでに述べたようにハイレゾ再生やハイレゾ出力が可能になってきている。PCで再生するハイレゾ音源も、スマートフォンで再生するハイレゾ音源も、どちらもファイルは同じ。変換することなく、PCからスマートフォンに単純にファイルをコピーするだけで、外に持ち出してカジュアルにハイレゾを堪能できる。
ハイレゾ音源はファイル容量が大きいため、スマートフォンの内蔵ストレージに保存してしまうとすぐに一杯になってしまう。だから、ハイレゾ音源保存用に大容量のmicroSDカードを使うのもアリ。スマートフォンとケーブル接続してファイル転送するような手間をかけずに、microSDカードを抜き差しするだけでOKという手軽さがうれしい。FHシリーズの本体前面に用意されているSDカードスロットが、こんなときにも活きるはずだ。
ハイレゾを気軽に試したい人も、本気でハマりたい人も
最初の“ハードウェアの環境整備”が最大の難関となるハイレゾだけれど、FHシリーズではその難関が最初からクリアされている。ソフトウェア面では、プリインストールのWindows Media Player 12でも24bit/96kHzまでのWAV形式ファイルであれば再生でき、さらに高音質なハイレゾ音源も無料のアプリで再生できるようになるので、追加投資は必要ない。
FHシリーズには、インテル® Core™ i7-4712MQ プロセッサー/8GBメモリ/約2TB HDDを搭載したテレビ対応の上位モデル「FH77/UD」、インテル® Celeron® プロセッサー 2950M/4GBメモリ/約1TB HDDを搭載した下位モデル「FH52/U」、そして、スペックをカスタマイズ可能な富士通直販 WEB MARTのカスタムメイドモデル「WF1/U」が存在するが、どのモデルもハイレゾ対応の部分では横並びとなっている。下位モデルであればより手頃な価格となるので、ハイレゾ入門機として、FHシリーズは最適なPCではないだろうか。
もし、より一層ハイレゾに浸かりたいなら、FHシリーズの置き場所にこだわって音の聞こえ方を調整してみるとか、foobar2000の音質に関わる設定をカスタマイズしてみるとか、あるいはヘッドフォンを新調するとか……コストをかける・かけないに関わらず、いろいろな楽しみの広げ方がある。どんな風に音楽と付き合っていくかを考える楽しみがあるのも、ハイレゾの魅力なのだ。
FHシリーズ購入で先着5,000名にハイレゾ音源を1曲プレゼント
現在、2015年夏モデルのESPRIMO FHシリーズを購入すると、先着5,000名にe-onkyo musicのハイレゾ音源を1曲プレゼントするキャンペーンを実施中だ。FHを購入後、すぐにハイレゾを体験できるチャンス!
プレゼント内容:2015年7月1日(水曜日)~9月30日(水曜日)にe-onkyo musicサイトで利用できる無料クーポンコード
対象機種:2015年5月発表 ESPRIMO FHシリーズ(FH77/UD、FH52/U、WF1/U)
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