富士通の新しいFMV「LIFEBOOK GH77/T」は、ディスプレイと本体を完全に2つに分けることができるオドロキのギミックが盛り込まれた、タブレットでもノートでもない、フルスペックのWindows PCだ。映像をワイヤレスでディスプレイに映し出す製品や仕組みは今までにもいくつかあったけれど、電源も含めてタッチ対応ディスプレイをワイヤレスにできるWindows PCは、きっと初めてではないだろうか。

こんな面白い製品、試さずにいられるわけがない！ このGH77/Tで、果たしてどんなことができるのか、あんなことからこんなことまで試してみたので、ご紹介しよう。

内蔵Blu-rayドライブで、ワイヤレス映画視聴

本体がちょっぴり“おにぎり”を思わせる形のコンパクトなGH77/Tは、2.3GHzのインテル® Core™ i7 プロセッサーと、8GBのメインメモリ、約2TBのHDDを搭載したパワフルな、Windows 8.1 Update 64ビット版の新コンセプトPC。Windowsタブレットではありえないこのハイスペックに加えて、スロットイン方式のBDXL対応Blu-rayディスクドライブまで備えている。

当然ながら、このBlu-rayドライブにBlu-rayムービーが収録されたディスクを挿入すれば、付属ソフトの「Corel WinDVD」などで高画質映像を見ることができる。ディスプレイにはバッテリが内蔵されていて、最大駆動時間は約4時間となっているから、連続でバッテリを気にせず映画を楽しめるだろう。

画面サイズが15.6型で、リビングに置くようなテレビと比べてしまうと小さく思えるかもしれない。でも、手で持ったり、付属スタンドでそばに置いて鑑賞すると、かなり大きく感じる。このサイズで約980gという、一般的なタブレットの基準からすると驚いてしまう軽さなので、本体にBlu-rayをセットしたらあとは好きな場所に持っていき、好きな体勢でゴロゴロ転がりながらでも楽しめるわけだ。

映像が問題なく届く範囲は、仕様上は本体が見える範囲で30mまで。試したところでは、木造2階建ての自宅だと壁1、2枚を隔てた程度なら全く問題なくWindowsの操作ができるし、映像もスムーズに再生できる。階をまたぐと、まれに途切れがちになることがあるかな……といった感じ。映像の届く範囲を探って、本体の置き場所も決めると良さそうだ。

ネットワークテレビチューナーと組み合わせ、最強のセカンドテレビに

同じく富士通が発売しているネットワークテレビチューナー「FMV-NTV1」とともに活用することで、GH77/Tでもテレビ番組の視聴や録画が可能だ。必要なものはFMV-NTV1の他、最新版のテレビソフト「DigitalTVbox」もしくは「Station TV」。これらをインストールして、さっそくテレビ鑑賞してみた。

このテレビ機能の組み合わせで便利なのは、GH77/Tが超便利なセカンドテレビ、あるいはセカンドスクリーンになるということ。リビングの大画面テレビとは別に、寝室などに置いて就寝前に1人で好きな番組を楽しめるのはもちろんのこと、リビングのテレビを見ている最中にトイレに行きたくなっても見続けることができる。で、それだけでなく、実はリビングにいながらでも脇に置いておくとかなり役に立つのだ。

たとえば、ちょっと裏番組の様子を見ておきたいなという時は、GH77/Tをセカンドスクリーンとして使うことでリビングのテレビで見ている番組を切り替えることなくチェックできる。また、DigitalTVboxの番組表機能を常に起動しておけば、無駄にザッピングするようなこともなく、面白そうな番組をすばやく確認できるだろう。dボタンで見られるデータ放送の情報を表示させておく、というようななんとなく贅沢な使い方もOKだ。

そして、Windowsなわけだから、TwitterなどのSNSで番組に対する他の人の反応をチェックするのも朝飯前。リビングの大画面テレビ映像をフルに楽しみながら、番組の関連情報も完璧に得られるこの組み合わせは、テレビ好きにはたまらないものがある。

今まで録画番組のリモート視聴というと、DLNAでDTCP-IP対応が必要だ、みたいな面倒な話になってしまっていた。ところが、GH77/Tとネットワークテレビチューナーの組み合わせでは、GH77/T本体に録画した番組を観ることになるので、そんなことは一切考えなくて良い。このようにシンプルに扱えるところも、GH77/Tの面白い部分だ。

究極のノイズレス＆ワイヤレス音楽再生

PCでじっくり音楽鑑賞していると、気になるのが本体から発生するノイズ。このノイズをどうにか抑えられないか、ということで、熱を効果的に排出できるよう構造を工夫し、ファンレスにしているPCも最近は見かけることが多い。

GH77/Tは、ファンレスではないけれども、本体から発生するノイズはかなり抑えられている。とはいえ、可能な限り無関係なノイズを減らした静かな環境で音楽鑑賞したいもの。そういう時でも、GH77/Tなら大丈夫。ディスプレイ部はファンがないので、動作音はなし。ステレオスピーカーも搭載しているので、本体部から離れた環境で音楽や映画をじっくり鑑賞できる。

さらに、ディスプレイ部には3.5mmのイヤフォンジャックが設けられているので、ヘッドフォンも使用可能。ソファやマッサージチェアにもたれかかったりしながら、リラックスできる状態で音楽鑑賞できるわけだ。

ちなみにGH77/Tは、192kHz/24bitまでの再生に対応したオーディオ性能を備えている。これは本体側のオーディオ出力端子の仕様で、ディスプレイ側のヘッドフォン端子から出力される音には適用されないようだが、それでも軽く聞いただけでは区別がつかないほど高音質。GH77/Tのオーディオに関する性能は相当に高いと言える。

GH77/Tで電子書籍。読書スタイルが変わる!?

今は多くの電子書籍ストアが、Windowsでの閲覧に対応している。たとえば富士通の電子書籍ストア「BooksV」では、Windows用クライアントを用いて、PC上でも電子書籍が使い勝手よく読める。

GH77/Tの15.6型のディスプレイで電子書籍を全画面表示すると、見開き状態でだいたいA4サイズ弱。いわゆる“コミック文庫サイズ”と呼ばれる多くの少年向けコミックで採用されているサイズと比べると、かなり大きめ。どちらかというと“大判コミックサイズ”に近い感覚で、小さな文字もかなり見やすい。

ディスプレイとしては軽量ではあるものの、寝ながらずっと手で保持しつつ長時間読み続けるのはさすがに疲れてしまう。そういった点では、より軽量なタブレット端末の方がメリットはあるのかもしれないけれど、GH77/Tの最大のアドバンテージは、ユーザーが自らPDF形式などで“自炊”して電子化した本なども閲覧しやすいこと。ファイル管理と閲覧を同一環境の中で行えるのは、やはりフルスペックのWindows PCだからこそなせるワザ、と言えそう。

ゲームを布団の中でプレー。抱きしめ心地も最高？

最後に、GH77/Tはだらだらゲームするには最高の環境になる、と断言しておきたい。ワイヤレスディスプレイということもあって、操作に対するゲーム画面のレスポンスが遅れる場合があるので、一瞬一瞬のわずかな判断遅れが命取りになるアクションゲームはおすすめできないけれど、スピードが要求されないシミュレーションやブラウザゲームはおすすめだ。

そもそもインテル® Core™ i7 プロセッサーと8GBメモリを搭載し、GPUにIntel® HD Graphics 4600を採用するGH77/Tは、グラフィックの凝ったリッチなゲームプレーにも対応できるポテンシャルがある。その意味で、ストラテジー界の大御所とも言える「Civilization V」は、GH77/Tにうってつけのゲームだ。

フルHD（1920×1080ドット）の高解像度を活かし、細部まで描き込まれた高品質なグラフィックをじっくり堪能しながら、タッチ操作で国づくりできるこの環境は、もはや快適を通り越して“危険”。これがずっと自宅にあったりすれば、平日の夜と休日が完全にゲーム漬けになって他に何もできなくなるのは明白だ。

そしてブラウザゲームといえば「艦隊これくしょん」、通称「艦これ」。このゲームもアクション性はあまりないので、全く問題なく、艦娘（かんむす）の姿をしっかり目に焼き付けつつプレーできる。

艦これ絡みで言えば、GH77/Tのワイヤレスディスプレイは「ぎゅっとする」のにこれほど適したものはない。余計なケーブルに一切邪魔されることなく、しかも15.6型という画面で艦娘の姿を大きく映し出し、抱きしめがいがあるのもすばらしい。つまり、映像も音楽も、読書もゲームも今までにないほど楽しめて、一緒に布団に入れるGH77/Tサイコー！ というわけである。

品名	LIFEBOOK GH77/T
CPU	インテル® Core™ i7-4712HQ プロセッサー（最大3.30GHz 4コア/8スレッド）
OS	Windows 8.1 Update 64ビット版
メモリ	8GB
ストレージ	約2TB HDD(1TB×2)
光学ドライブ	スロットイン BDXL対応Blu-ray Discドライブ
本体部サイズ	W185×D241×H188mm
ディスプレイ部	15.6型ワイド フルHD[1920x1080] フルフラットファインパネル IPS液晶(タッチ対応)
ディスプレイ部質量	約980g
ディスプレイ部バッテリ駆動時間	約4.0時間(JEITA Ver.2.0相当)
付属ソフト	Microsoft Office Home and Business Premium ほか

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