進学や就職で新生活が始まるとき、これを機会にPCを買おうという方は多いはず。しかし同時に、「何を買えばいいのかわからない」と思う人も多いはずで、そんな時に「とりあえず安いやつ」で済ませてしまう人もまた多いことだろう。
しかし、せっかくの新生活、せっかくの大きな買い物を、そんなアバウトな決め方でいいのだろうか? 後々あれこれやりたいことが出てきた時、目的に合わないPCでは不満が募るばかり。すぐに買い替えとはいかないものだけに、最初の吟味はとても大切だ。
そこを念頭に置いていただいて、今日は富士通FMVのモバイルノートPC「LIFEBOOK SHシリーズ」の最新機種「LIFEBOOK SH90/T」本機を筆者が使用してみて、「こいつは使える!」と感じた部分を、いくつかのシーンでご紹介しよう。また、やはり新生活におすすめの「LIFEBOOK THシリーズ」の最新機種「LIFEBOOK TH90/T」についても最後に紹介していきたい。
写真を見よう 〜2,560×1,440ドットの「IGZO」液晶が活躍!~
品名 | LIFEBOOK SH90/T |
---|---|
CPU | インテル® Core™ i5-5200U プロセッサー(最大2.70GHz) |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット版 |
メモリ | 標準4GB (オンボード。空きスロット1)/最大12GB |
ストレージ | 約500GBハイブリッドHDD (HDD+NAND型フラッシュメモリ) |
液晶 | 13.3型ワイドWQHD[2560×1440] Wide Angle液晶 フルフラットファインパネル 「IGZO」(タッチ対応) |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ(DVD±R DL(2層)書き込み対応)[着脱式] |
サイズ | W319×D215×H13.6~19.8mm |
質量 | 約1.47kg(モバイル・マルチベイ用カバー装着時) 約1.57kg(スーパーマルチドライブ装着時) |
駆動時間 (JEITA(Ver.2.0)) | 約14時間(内蔵バッテリパック) 約19.1時間(内蔵バッテリパック+ベイバッテリ(オプション)) |
付属ソフト | Microsoft Office Home and Business Premium ほか |
今やデジタルカメラどころか携帯電話でも1,000万画素クラスの写真が簡単に撮影できる時代。写真を保存するメモリーカードも安くなり、たくさんの思い出を美しい映像で、山のように残せるようになった。
しかし、その美しい写真を存分に楽しめる環境というのは意外と少ない。現在のPCで主流となっているモニターの解像度は、1,920×1,080ドット、いわゆるフルHDだ。PCにせよスマートフォンにせよ、モニターの解像度が写真のデータよりも圧倒的に小さいため、撮影した写真を縮小して見ていることがほとんどだ。
元の美しい映像を見たければ、少しでも解像度の高いモニターが欲しい。本機の解像度は、2,560×1,440ドットとなっており、画素数ではフルHDの約1.8倍となる。つまり写真を見るとき、約1.8倍精細な画像を見ることができるわけだ。
そう言われてもピンと来ないと思うので、フルHDのモニターをお持ちの方は、写真を30%ほど拡大表示してみていただきたい。それがおよそ本機での標準の見え方になる。意外と違うものだなと思っていただけるはずだ。また液晶パネルは「IGZO」液晶を採用。鮮やかな発色で写真をより美しく鑑賞できる。「IGZO」液晶は低消費電力である点もノートPCとしては大きな魅力だ。
最近は写真を撮って自分で見るだけでなく、SNSにアップロードすることも多くなった。他の人に見せるなら、より綺麗な写真を選びたいところ。きっちり写真を吟味するのにも、高解像度の本機は確実に役立つ。またSDカードスロットも備えているので、デジタルカメラなどからのデータ移行も簡単に行える。
仕事や勉強に使おう 〜快適で静かなキーボードが活躍!~
新しいPCを買ったら、仕事や勉強に使いたいというのも当然のこと。「そんなの文字が打てれば何でもいいじゃん」と言われると思うが、その文字入力が「快適にできるかどうか」というのは、常に使うものだけに非常に大事なポイントだ。
本機はキーボードの構造やデザインを見直し、打鍵(タイピング)感の向上を図っている。アイソレーションキーボードで、1つ1つのキーの間がやや広めのレイアウト。またノートPCにありがちな、端のほうのキーが妙に狭くなるようなこともなく、押しやすく余裕のある配置になっている。
またキーの感触がソフトで静かなのも印象的だ。筆者はハードにタイピングする方で、原稿執筆時はかなりカチャカチャうるさいのだが、本機だと入力中もかなり静か。オフィスなどで音に敏感な人が近くにいても、これなら許してもらえるかも? と思えるくらいの違いが感じられる。
総合して、タイピングはとても快適だ。この原稿は本機を使用して書いており、使い始めてすぐ違和感なくブラインドタッチできている。筆者のような職業ライターはキーボードの使用頻度も高いので、なるべく質のいいものを使いたい。ノートPCだと後から交換するわけにもいかないので、最初に不満があるものは絶対に選べない。人それぞれの好みはあるが、筆者はレイアウト・感触ともに大変気に入った。
タッチパッドはボタンが独立したタイプに変更された。以前の機種では、タッチパッドとボタンが一体化したスタイルだったが、ボタンを明確に分けることでクリック感がよくなるとともに、ドラッグ操作がしやすくなった。
仕事で使うとなると、時には画像編集など負荷の高い用途も出てくる。本機はインテル®の最新CPUである、Broadwellマイクロアーキテクチャを採用したインテル® Core™ i5-5200U プロセッサーを搭載。モバイル向けとはいえ画像や動画の編集も十分にこなしてくれる。
外へ持ち出そう 〜堅牢なボディと長時間バッテリ駆動が活躍!~
仕事や勉強に使うとなれば、当然持ち出しもしたくなるはず。そうなると気になるのはサイズと重さだ。本機はW319×D215mmと、一般的には12インチノートの大きさに13.3インチの本体をまとめている。厚さは最厚部で約19.8mm。
重さはスーパーマルチドライブ内蔵時で約1.57kg。本機はモバイルマルチベイにスーパーマルチドライブをはじめとするモジュールに換装できる。ベイになにも搭載せずにカバーだけを装着した場合は約1.46kgと軽量化ができ、さらに本体後部のバッテリ部分がやや厚めで重心がそちらにあるため、持ちやすさは良好だ。
モニター部を開いたときには、本体側はかなり薄く見える。しかし「超圧縮ソリッドコア」構造を採用した本体の剛性は十分で、端の方を掴んで持ち上げても、本体のたわみは全く感じられない。それでいて丸みを帯びたフォルムをしており、ことさら薄さを強調しているわけではない。
持ち歩くとなればバッテリ駆動時間も気になる。本機には世界最高容量のバッテリ内の円筒型セルを搭載……つまり小型でも電気がいっぱい貯められるバッテリとなっている。フル充電なら約14時間の使用が可能。さらに2時間の急速充電で10時間以上使えるとしている(いずれもJEITA Ver.2.0準拠)。
筆者が実際に原稿を書きながらバッテリの減りを確認してみたところ、約5時間の使用で約50%のバッテリを消費した。無線LANであれこれ調べものをしながら、画像編集などの負荷のかかる作業もしたので、カタログスペックよりやや悪めに出ているようだ。それでも10時間は使用できるわけで、通常の使用なら充電なしでも朝から晩まで1日乗り切れそうだ。
それでもバッテリが足りないという時は、電源ボタンの横にあるECOボタンを使う。LANやBluetoothを切断、画面の輝度を下げるなどして、電池の持ちを最優先にするモードに切り替えられる。
休憩しよう 〜いつも綺麗なタッチパネルが活躍!~
仕事や勉強ばかりでは疲れてしまうので、時には休憩も必要。そんな時にまで不快なPCでストレスを溜めるのはまっぴらごめんだ。
先述の通り、本機には美しい「IGZO」液晶と高性能なCPUが搭載されており、Webブラウジングやメールなどでは何ら困ることはない。動画を見たければ、Webからストリーミング再生はもちろん、スーパーマルチドライブを搭載しているのでDVDも再生できる。
ここでの本機のポイントは、タッチパネル搭載であること。「タッチパネルならタブレットPCでいいじゃん」と言われるだろうが、むしろタブレットPCを普段から使っていると、ノートでもタッチしたくなってしまうものだ。
特に本機では、タッチパネルを積極的に使ってほしい。パネルの表面加工により指紋が非常に付きにくく、タッチ操作でも画面の汚れが目立たない。今も画面をタッチしてみたがほとんど指紋が残らないので、指の方が綺麗なのかと思って眼鏡を触ったら指紋べったり……というのが真面目な話として語りたいほど、この指紋の付かなさには感動があるので、タッチパネルを使わないともったいない。
ちなみに解像度が高いと各種アイコンも小さく表示され、タッチ操作がしづらくなることがある。そんな時はディスプレイの設定にある「すべての項目のサイズを変更する」を調整してやればいい。スライドバーを「大きくする」側に動かせば、アイコンやウインドウなどが拡大表示される。文字が小さくて読みづらい、といった場合もこちらで調整するといい。
かゆいところに手が届く 〜様々なシーンで活躍!~
ざっと4つの利用シーンを想定して話をしてきたが、本機のよさはまだまだたくさんある。
タッチパネルの右下部にはNFCが搭載されている。FeliCaも対応しており、電子マネーの残額などを自宅で確認できる。また今後登場するウェアラブル端末との連携も簡単にできるため、将来性のある機能の1つだ。
映像外部出力は、HDMIだけでなくアナログRGBも搭載。ちょっと古めのプロジェクタなどに接続する際も、特別なアダプタを使用することなく映像を出力できるので、出先でのプレゼンなどで役立つ場面もありそうだ。
無線LANは最新のIEEE 802.11acに対応。有線LANポートはアダプタなしでそのまま挿せる。USB 3.0ポートは右側に2つ、左側に1つで計3つ。薄型・小型のボディからは想像ができないほど、至れり尽くせりの拡張性を持っている。
以上の話をまとめると、要するに、これ1台でほとんど何でもできる。「新生活だからPCが必要。せっかくだからあれこれしたい」という人に「とりあえずコレ」と安心してオススメできる1台だ。
最後に、筆者が本機をしばらく触ってみた感想を一言で言うと、「まろやか」。高解像度の液晶は表示するものすべてが滑らかで、コンピューター的なギザギザした印象がない。キーボードは静かで柔らかな感触。形状は薄型ながら丸みがあり、配色も派手すぎず地味すぎずで優しい印象がある。トータルで見て、攻撃的な部分がなく、とてもリラックスして使える「まろやか」さがあるのだ。
自己主張の激しいものに目が行ってしまうのは人の性だが、先々まで長く付き合うパートナーとしては、こんな1台を選ぶのが幸せになれるのではないだろうか。
タブレットスタイルにもできるUltrabook「THシリーズ」
「SHシリーズ」とは別のもう1つの選択肢として、「THシリーズ」も紹介しておきたい。
最新機種となる「TH90/T」は、「SH90/T」と同じく13.3型の2,560×1,440ドットのタッチパネル「IGZO」液晶を搭載したノートPC。CPUも同じインテル® Core ™ i5-5200U プロセッサーを搭載しており、非常に近い性能を持つ2機種と言える。
「LIFEBOOK TH90/T」は、画面サイズこそ「SH90/T」と同じだが、より薄く、しかもタブレットに変形するコンバーチブルタイプのUltrabook。より尖った1台といえる
「SH90/T」との大きな違いは形状にある。「TH90/T」は本体がより薄いUltrabookとなっており、最薄部が約17.1mm、最厚部でも約19.3mmとフラットな形状だ。普段の荷物との兼ね合いで、とにかく薄さが必要という人は、こちらがベストな選択肢になる。
さらに液晶部分は180度回転するスイーベル機構を採用している。向かい合った相手に画面を見せてプレゼンするといった使い方もできれば、回転させた液晶部分を畳んでタブレットPCのような形でも扱える。もちろんタッチパネルにも対応するので操作も楽々できる。
加えて本機にはスタイラスペンも内蔵されている。指での操作は好まないという人には嬉しい機能だし、ペンは本体に収納できるため邪魔にならない。またペンそのものも1,024段階の筆圧を検知できる本格的なもので、手書きメモのような簡単な用途だけでなく、講義や会議のノート取りや、アイディア出し、絵を描く趣味があれば持ち運べるデジタルスケッチブックとしても活躍しそうだ。
その他の機能面では、USB 3.0ポートが左右1つずつで、アナログRGB出力がなく、光学ドライブは非搭載と、「SH90/T」の拡張性には及ばない。それでも有線LANは引き出し式のコネクタを搭載しているし、HDMI端子やSDカードスロット、指紋センサーも標準搭載しており、Ultrabookとしてはかなり高い拡張性を持っている。バッテリー駆動時間も約8.2時間(JEITA Ver.2.0)と十分だ。
品名 | LIFEBOOK TH90/T |
---|---|
CPU | インテル® Core™ i5-5200U プロセッサー (最大2.70GHz) |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット版 |
メモリ | 8GB |
ストレージ | 約500GBハイブリッドHDD (HDD+NAND型フラッシュメモリ) |
液晶 | 13.3型ワイドWQHD(2560×1440) Wide Angle液晶 フルフラットファインパネル IGZO(タッチ/ペン入力対応) |
サイズ | W320.8×D235×H17.1~19.3㎜ |
質量 | 約1.59kg |
駆動時間 (JEITA(Ver.2.0)) | 約8.2時間 |
付属ソフト | Microsoft Office Home and Business 2013 ほか |
スペック上では似通った2機種だが、製品としての方向性はかなり違う。仕事からプライベートまで幅広い用途で使いたいなら「SHシリーズ」、Ultrabookの薄さや180度回転する液晶、スタイラスペンの活用に魅力を感じるなら「THシリーズ」と、異なるニーズに応えてくれる。
超高解像度IGZOモバイルノートに魅力を感じたら、ぜひ「SH90/T」と「TH90/T」を見比べていただきたい。