各社から出揃った感のある、7型や8型の液晶を搭載した小型サイズのタブレット。10型以上のノートPCや中型タブレットなどと比較すると、断然携帯性に優れており、それでいて4型や5型のスマートフォンと比べると表示できる情報量が多い。そんな小型タブレットだが、多種多様なWindowsのソフトウェアを利用できるWindows 8.1を搭載した8型タブレットが富士通から登場した。Windows 8.1採用の「ARROWS Tab QH33/S」だ。
軽快な動作! ビジネスと趣味をカバー
まずはQH33/Sのスペックを見ていくことにしよう。
品名 | ARROWS Tab QH33/S |
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CPU | インテル® Atom™ プロセッサー Z3735F(最大1.83GHz) |
液晶 | 8型ワイドWXGA[800×1280]Wide Angle液晶 フルフラットファインパネル(タッチ対応) |
バッテリ駆動時間 | 約12.0時間(JEITA Ver.1.0) 約10.5時間(JEITA Ver.2.0) |
サイズ | W126.0×D215.0×H9.9mm |
質量 | 約390g |
ストレージ | 約64GB |
カードスロット | microSDメモリーカード対応 |
メモリ | 2GB |
通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth v4.0 |
Webカメラ | 約500万画素(リア)、約126万画素(フロント) |
オーディオ機能 | ステレオスピーカー、マイク搭載 |
ディスプレイ端子 | microHDMI |
USB | microUSB 2.0×1(充電ポート兼用) |
OS | Windows 8.1 with Bing 32ビット版 |
付属ソフト | Microsoft Office Home and Business 2013 ほか |
ディスプレイのサイズは8型ワイドで、解像度は800×1,280ドットのWXGAサイズ。幅が約126mm、奥行きが約215mm、厚みが約9.9mmだ。重量は約390gと軽く、どこでも持ち歩けるモバイルタブレットだ。
QH33/Sの特長は、その持ちやすさ。このサイズのタブレットを使う際、多くの人は親指をディスプレイ側に引っかけ、人差し指から小指まででタブレット裏面を支えるように持つだろうが、富士通によれば、QH33/Sの横幅を約126mmとしたのは、そうして持った際の持ちやすさ、疲れにくさを優先した結果だということだ。重量はシステム手帳よりも軽い約390g。このサイズと重量を実現することで、長く片手で利用しても疲れにくくなっているというわけだ。
ストレージとしては、約64GBの内蔵フラッシュメモリディスクを搭載している。回復パーティションなどで領域を使用しているため、Cドライブは実際には約50GBが割り振られているが、OSやプリインストールソフトウェアなどがあるため、筆者が試用した実機では、27GB強が空き容量となっていた。少なく感じるかもしれないが、microSDカードのスロットも用意されているので、ストレージを拡充することもできるし、Windows 8.1と統合されたOneDriveを用いれば、普段はデータをクラウド上に置いておき、必要に応じてダウンロード……といった使い方が可能だ。そうしてストレージを節約していけば、容量面で困ることは少ないはずだ。
性能面での仕様としては、CPUにインテル® Atom™ プロセッサー Z3735Fを採用。メモリは2GB搭載されている。このCPUは昨年発表されたもので、Bay Trail-Tと言う開発コードネームで呼ばれているモバイル向けCPUの最新版だ。Intelの提唱する平均消費電力を示すSDP(Scenario Design Power)は2.2Wと非常に低い上、クアッドコアを採用し、最大1.83GHzで動作する。
通信機能はWi-Fiに対応しており、規格はIEEE 802.11b/g/nが利用可能だ。またBluetooth v4.0も用意されているので、対応しているキーボードやマウスなどを無線で利用できる。Webカメラはリアに約500万画素、フロント側には約126万画素のインカメラが用意されている。マイクとステレオスピーカーも用意されているので、LINEやSkypeなどのWebチャットやビデオチャットを楽しむことができる。ちなみにヘッドホンジャックはマイクと兼用になっており、ヘッドホンだけでなくヘッドセットも利用可能になっている。
このほかにmicroHDMIの映像外部出力も用意されている。HDMIで大画面テレビに接続して写真や動画を楽しむこともできるし、PCディスプレイにつないだ上でBluetoothキーボードなどと接続すればデスクワークにも利用できる。microUSB 2.0端子は充電用のポートも兼ねている。
持ち歩きに便利な8型タブレット。サクサク動いてストレスなし
筆者は今回、試用機を用いてレビューすることができたが、やはり8型というサイズがキモの製品だと実感した。
スマートフォンは画面サイズが小さく、顔を近づけて見る分には良いが、距離が少し遠くなると途端に使いづらくなる。筆者は息抜きに料理をすることがあるのだが、その際とくに重宝したのが、QH33/Sでのレシピの閲覧。ダイニングに本機を置いてレシピを表示し、ちょくちょく見ながら料理をしていたのだが、「ながら見」しながらの立ち作業をするにも充分な画面の大きさだ。
また、動画などを見るときにスマートフォンよりも大画面で迫力ある映像を見ることができる。さらに言うと、QH33/Sの裏側にはステレオスピーカーが搭載されており、音質も良好だ。DTCP-IP対応のプレイヤーアプリがプリインストールされており、宅内のDTCP-IP対応レコーダーに録画した番組を手軽に視聴できるのもうれしい。
などなど、QH33/Sはスマートフォンよりも大きい画面の大きさがメリットなわけだが、ではモバイル用途には大きすぎるかというとそうでもない。
外へ持ち出す場合、QH33/Sは混雑した電車内でもある程度身動きできる状態なら、まわりに迷惑をかけずに使える大きさといえる。軽くて長時間片手で持っていても疲れることがない。加えて、スマートフォンの小さな画面よりも、ディスプレイ内容の判読性が高い。この辺りのアドバンテージは中型タブレットやノートPCとスマートフォンの良いとこどりといえる。
モバイル用途で気になるバッテリの駆動時間に関しては、公称ではJEITA1.0で約12.0時間、JEITA2.0で約10.5時間となっているが、試用機をヘビーに使い倒してみたところ5時間ちょっと利用することができた。バッテリ駆動時間が5時間というのは短く聞こえるかもしれないが、無線LANを利用しWebサイトを閲覧したり、動画を見たりと常に動作していたため、メーカーが提示しているJEITA 1.0での計測よりもかなり厳しい条件になっているはずだ。
OSにWindows 8.1を採用している点も大きなポイントだ。デスクトップPCやノートPCで利用していたアプリケーションやデータなどの資産がそのまま利用できるということで、これまで使っていた環境をそのまま継承することができる。Microsoft OfficeもHome&Businessがプリインストールされているので、WordやExcel、Outlookのほか、ビジネスシーンで役立つPowerPointや、タブレットで利用するのに便利なOneNoteも利用可能だ。Android機でも互換性のあるOfficeスイートを使うこともできるが、Microsoft純正のOfficeならではの慣れ親しんだ操作法で、モバイルでも文書作成などができるのはうれしいところだろう。
実は、QH33/Sには、広辞苑やリーダーズ英和辞典、和英辞典といった電子辞書がプリインストールされており、これもまた意外と便利だ。小さいので常にそばに置いて使っていたが、ちょっと気になることができたときに、すぐ調べることができる。
手軽な1台目のPCや持ち運び用のセカンドPCとして
QH33/S最大の武器は、やはり8型というサイズ、そしてQH33/Sならではの「持ちやすさ」だ。これまでスマートフォンなどをメインに使用していたライトユーザーの1台目のPCとして、また、すでにメインとなるPCを持っているビジネスユーザーのサブ機としてもおすすめだ。
QH33/Sはタブレットとはいっても、中身は完全なWindows 8.1。Officeフォーマットのファイル作成や本格的な画像編集など、いまだスマートフォンではやりづらい作業も可能だし、何よりその可搬性の高さで仕事や学業のサポートをしてくれるだろう。Bluetooth接続のマウスやキーボードを用意すれば、ノートPCと同じように腰を落ち着けて作業を行なうこともできる。
そして、その可搬性の高さはサブ機として利用するにも役立つ。自宅やオフィスのデスクトップPCでがっつりと作業を行なったデータをOneDriveなどのクラウド上に保存しておけば、外出先での編集もできるし、標準装備のHDMI出力や、オプションのVGA変換アダプタを用いれば、営業先でのプレゼンにも使える。そのほかWebサイトやメールのチェック、簡単な返信の作成のほか、会議前の簡単な書類の最後のチェックなども、もちろんこなせる。メインのPCを持っているからこそのサポート用ツールとして役立ってくれるだろう。
ちなみに、法人市場向けの同型機「ARROWS Tab Q335/K」もラインアップされているので、ビジネス利用なら是非そちらもチェックしてみよう。