本日10月9日、富士通のPC 2014年冬モデルが発表された。今回は新モデルとして待望の8型タブレットが登場。そのほか、10.1型タブレット、そしてディスプレイ一体型デスクトップもモデルチェンジを果たした。今回は各機種の注目ポイントを紹介していこう。
スリムな8型Windowsタブレット「ARROWS Tab QH33/S」
今回の冬モデルにおいて新モデルとして登場するのが、「ARROWS Tab QH33/S」(以下QH33/S)。富士通初の個人向け8型タブレットだ。正確には、7月に発表された法人向け8型タブレットの個人向け版となる。
最大の特長は、そのサイズ感。全体的に持ちやすいスリムなつくりを目指したそうで、特に本体横幅を狭くすることで片手でもグリップしやすく、約390グラムという軽量さもあり長時間保持しても疲れにくい設計となっている。実際、外観も8型タブレットとしては左右の額縁が狭く、スタイリッシュに見える。上下の額縁はそれなりにスペースがあるが、この部分は本体を横にして持ったときにしっかりホールドするために必要なので、むしろスペースがあるほうが良い部分だろう。
スペック面では、インテル® Atom™ プロセッサー Z3735F、2GBメモリ(DDR3L)、約64GBのフラッシュストレージを搭載。画面解像度は800x1280ドットと平均的なスペックだが、microHDMI出力端子を搭載しており、外部ディスプレイや大画面TVに接続することも可能だ。
もちろん、Microsoft Officeが標準添付されるので、仕事環境をどこにでも持ち運べる。また、広辞苑第六版、リーダーズ英和辞典第3版 / 新和英中辞典5版、学研パーソナル統合辞典(4種)などがプリインストールされる。これらの辞典はオフラインでも利用できる。
QH33/Sにはオプションとして専用のフォリオカバーが用意されており、カバーをタブレットのスタンドとして使うこともできる。
2 in 1 PCとして新生「ARROWS Tab QH55/S」
「ARROWS Tab QH55/S」(以下QH55/S)は、「ARROWS Tab QH55/M」の後継機にあたる10.1型のペン対応タブレット。白を基調とし背面がツルっとした前モデルから外見は大きく変化し、渋めのシルバーカラーに、背面はすべりにくいディンプル加工をほどこしたビジネス寄りのデザインとなった。
前モデルとの大きな違いは、以前はオプションだった専用のスリムキーボードが標準添付となったこと。また、スリムキーボード自体も前モデルから着実に改善されているのがポイントだ。
キーボードが標準添付になったことで、「ペン入力」「タッチ入力」「キーボード入力」が三位一体で利用できるようになり、とくにOneNoteのようなノート系アプリの活用はより広がりそうだ。
スペック面では、インテル® Atom™ プロセッサー Z3795、4GBメモリ(LPDDR3)、約64GBフラッシュストレージ、約10.1型タッチ液晶(1920x1200ドット)などを搭載。メモリ容量は前モデルと同じだが、前モデルは32bit版OSの制限で搭載メモリのうち3GBしか利用できなかったのに対し、今回は64bit版OSなので搭載する4GBをフルに利用できる。CPU自体のスペックアップも相まって、全体的な動作速度向上が期待できそうだ。
ディスプレイは残念ながら前モデルの2560x1600ドットからは下がってしまったが、ドットピッチは依然として200ppiを超えており、精細さは充分だ。アスペクト比は16:10で、縦持ちで使っても画面が細長すぎないのがうれしい。また、Web直販限定のカスタムメイドモデルではノングレア液晶を選択することができるようになった。
より洗練された変形、ペン入力、そしてインテルの最新技術がプラスされた「ESPRIMO WHシリーズ」
ディスプレイ一体型デスクトップPCシリーズ「ESPRIMO WH77/S」「ESPRIMO WH53/S」(以下、新WHシリーズ)は、23型のディスプレイ一体型デスクトップ。前モデルにあたるのは「ESPRIMO WH77/M」だが、今回から上位モデルに加え、下位モデルを新たにラインアップする。
ディスプレイの傾斜角度を状況に応じて変えることで、タッチしやすい角度(タッチスタイル)にしたり、キーボード/マウスでの作業や動画鑑賞に最適な角度(ベーシックスタイル)にしたり……というWHシリーズの変形機構は継承。さらに今回はヒンジ部の機構が改良され、よりディスプレイを動かしやすくなり、かつタッチ時などのぐらつきが減っている。また、画面サイズは21.5型→23型と拡大しつつ、液晶の狭額縁化により横幅は前モデルから約5.2mmの増加に抑えている。
さらに、新WHシリーズは新たにペン入力をサポート。様々なアプリでペンによる書き込みが可能となった。ペン自体は先端に柔らかな導電繊維を採用し、筆圧感知にこそ対応しないものの、ペン先は約2mmと細く、画面が23型と大きいことも相まって、狙った箇所に正確に描画できる印象だ。ヒンジ改良によるディスプレイの安定感も、ペン描画の快適性に寄与している。
また、ペンをより快適に利用するため、前述の「ベーシックスタイル」、「タッチスタイル」に加え、ディスプレイを最大限まで倒す「ペンスタイル」に新たに対応。ペンスタイルにすることで、画面の色味を紙に近づける「ペーパーモード」や、手によるタッチを一時的に無効化することでペンでの操作に集中できる「ペンモード」(いわゆるパームリジェクション)を利用できる。ペーパーモードやペンモードへの移行は、内蔵の加速度センサーにより自動で行なうことができるのもポイントだ(設定が必要)。
その他のスペック面では、WH77/Sがインテル® Core™ i7-4712MQ プロセッサー/8GBメモリ/約2TB HDD、WH53/Sがインテル® Core™ i3-4100M プロセッサー/4GBメモリ/約1TB HDDで、上位下位共通でBDXL対応Blu-ray Discドライブ、802.11ac対応Wi-Fiなどを搭載している。
ところで、PC Watch読者の中にはこの機種を「どこかで見覚えが……」と思う方がいるかもしれない。実は新WHシリーズは、先日ドイツIFAで行なわれた「インテル® RealSense™ テクノロジー」デモイベントに出展された対応試作機が製品化されたものだ。
インテル® RealSense™ テクノロジーとは、インテルが提唱する「タッチの先のインターフェース」、具体的には、3Dカメラで取得した深度情報などを使って、知覚やジェスチャーなどを利用したPC操作を実現するための技術。インテルはそのための3Dカメラモジュールを提供しているが、今回の新WHシリーズはそのカメラモジュールをフロントに搭載しており、より自然なジェスチャー操作や3Dキャプチャーなど、様々な機能が利用できるようになるとのことだ。