スマートフォンやタブレットの普及で、PCに求められる機能と性能が以前とはずいぶん異なってきたと思われる今日この頃、2014年のFMVシリーズでは、そのあたりもしっかり考え抜かれてラインアップをそろえてきているようだ。
5月末に発売された「FMV ESPRIMO FH78/RD」は、フラッグシップとなるディスプレイ一体型のデスクトップPC。従来機種譲りの高性能さはもちろんのこと、最新のWindows 8.1を思い通りに使いこなすための富士通独自の工夫が光っている。今回はその一端を紹介したい。
ギガクラスの回線を活かしきる無線規格11acに対応
FH78/RDの主要なスペックを挙げると、64ビット版のWindows 8.1がプリインストールされ、クアッドコアのIntel® Core™ i7-4710MQ プロセッサー 2.50GHz(インテル® ターボ・ブースト・テクノロジー時最大3.50GHz)と、8GB(最大16GB)のメモリ、約3TBの大容量HDDを搭載、となっていて、もはや家庭向けPCとしては十分すぎるスペックを誇る。
品名 | ESPRIMO FH78/RD |
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CPU | インテル® Core™ i7-4710MQ プロセッサー (最大3.50GHz) |
OS | Windows 8.1 Update 64ビット版 |
ディスプレイ | 23型ワイドフルHD[1920×1080]IPS液晶 フルフラットファインパネル(タッチ対応) |
メモリ | 8GB |
ストレージ | HDD 約3TB |
光学ドライブ | スロットインBDXL対応 Blu-ray Discドライブ(スーパーマルチドライブ機能対応) |
ネットワーク | LAN(1000BASE-T対応)、ワイヤレスLAN(IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠)、Bluetooth ワイヤレステクノロジー Ver.4.0+HS準拠 |
USB/HDMI | USB3.0×4、USB2.0×2、HDMI入力×1 |
サイズ(W×D×H)突起部含まず | 571×201×431mm |
主な付属品 | Office Home and Business 2013、ワイヤレスマウス、ワイヤレスキーボード、ACアダプタ、miniB-CASカード、リモコン等 |
ディスプレイは映像を鮮やかに映し出すLEDバックライトの23型フルHD(1920×1080ドット)液晶で、ベゼル部分までが一体となったディスプレイを採用し、段差がなく見た目にすっきりしたデザインに仕上げられている。
このすっきりしたフルHDディスプレイで、地上デジタル・BSデジタル・110度CSデジタルを視聴できる。ダブルチューナーを搭載しており、視聴しながら他チャンネルの番組を録画するのはもちろん、2番組同時録画も可能だ。
標準装備のBDXL対応Blu-rayディスクドライブで、録画番組の書き出しなどにも対応。通常の左右スピーカーにサブウーファーを加えた、2.1chのマルチチャンネルスピーカー(最大出力30W)を備え、映像面だけでなく音質面の向上を図っているのもポイントだろう。
ネットワーク性能も大幅にアップした。従来通りギガビット対応の有線LANポートを備えているほか、無線LAN機能ではIEEE 802.11a/b/g/nに加え、最新の11acにも準拠。11nでは最大300Mbpsまでの通信速度だったが、11acではその3倍近い最大866Mbpsで通信できるようになる。
最近は、地域によっては最大1Gbpsの光回線を導入できるようになってきている。にもかかわらず、無線LANにするとその性能を全く活かせなくなっていたのが課題だった。有線LANで接続すればOKとはいえ、やはりケーブルをできるだけ使わずに自由度高くPCを設置したいと考える人も多いはず。11acに対応したことで、FH78/RDではギガビットクラスの通信回線を最大限に活かしつつ、配線にとらわれない設置と使いこなしが可能になった。
ちなみに、近頃のスマートフォンなどのモバイル端末も11ac対応が進んでおり、無線LANの高速化の流れはPCだけの話ではない。ただ、モバイルでは端末サイズの制約もあって、最大でも433Mbpsが通信速度の上限となっている例が多い。2倍高速な866Mbpsを実現しているのは、PCであるFH78/RDならではのアドバンテージと言えるだろう。
離れた場所から手をかざして操作できる「ハンドジェスチャー」
FH78/RDでは富士通独自のソフトウェアにも注目したい。特に、カメラ・センサー類を駆使した各種アシスト機能は、PCの操作を確実に“ラクチン”にする。ぜひ一度は機能をオンにして試してほしいところ。なかでも「ハンドジェスチャー」は、タッチパネルに次ぐ新たな操作用デバイスになっていると言ってもいいほどの高機能さだ。
ハンドジェスチャーは、手をディスプレイ前面にあるカメラに向けて動かすことで、さまざまな操作を行なえる機能。マウスカーソルの移動、クリック、ダブルクリック、ドラッグ&ドロップといったマウスでできる操作はほぼ全て網羅し、さらに画面スクロールや画像の拡大・縮小、音量調整もできる。
決められたパターンで手を動かす必要があるので、最初にコツを学ばなければならないけれど、動画によるチュートリアルも用意され、確実に覚えることができる。マウスカーソルの移動は手を上下左右にかざすだけ、クリックはつまむような形に閉じてから開くだけ、画面スクロールは手を時計・反時計回りに動かすだけ、というように、難しい手順は一切ない。
気を付けるべきポイントは、FH78/RDが搭載するカメラに映る範囲で手を動かすこと。実際に試してみると、近付きすぎた場合は手がカメラの視界からはみ出るためか、うまく認識されなくなってしまう。2mほど離れた場所からでもしっかり認識してくれたが、あまり離れると今度は画面自体が見えにくくなってしまうので、50~150cmの距離から操作するのが推奨されている。
視線と体の動きでもコントロールできる
マウスやキーボード、さらにはタッチパネルすら使わずにPCを操作する技術はまだ他にもある。次に紹介したいのが「視線アシスト」機能だ。これは、まさしくユーザーの動きでWindowsを操作できるというもの。たとえば画面の右端を見つめるとチャームを呼び出すことができるほか、Web閲覧中に視線を画面下部に向けると下スクロール、上部に向けると上スクロールというように、簡単な補助操作を目の動きでコントロールできてしまう。
また、画面の1箇所を見つめながらマウスホイールをクリックすると、そのポイントを中心に拡大することも可能。これが思いのほか正確に狙った場所を拡大してくれるうえに、きびきびと拡大・通常表示に切り替えられるので、ちょっとでもWebサイトで文字が小さくて読みにくい時や、画像の細部を確認したい時などに大活躍する。決してまだ老眼ではない筆者でも使いどころは多い。
さすがに視線のみでハンドジェスチャーほどの操作を行うことはできないが、ハンドジェスチャーやマウス、キーボード、タッチパネルなど各操作方法と組み合わせて使うことで、かなり“楽”ができる。特にチャームの呼び出しは、通常だとマウスカーソルを画面右上隅に移動させるか、タッチパネルを右端からフリックする必要があって、いちいちそこまで手を伸ばすのはおっくうだ。視線一発で手の届きにくい機能にあっさりアクセスできるのは便利なだけでなく、なにより念力で操作しているかのような“超能力っぽさ”があって面白い。
ところで視線アシスト機能は、人感センサーによる「Sense YOU Technology」という独自技術で実現されている。Sense YOU Technologyには、他に「画面オフ」機能と「おまかせポーズ」機能が含まれ、それぞれPCの前に人が座っているかどうかを自動で判断して各種処理を行う。例えば「画面オフ」機能なら、人が座っていなければ画面を一定時間経過後にオフ、人が近づいたら画面をオンにするというように、節電とプライバシー保護を兼ねるかたちで賢く制御してくれるのだ。
タッチパネルで便利に使えるようになったWindows 8だが、FH78/RDのように比較的大画面で、テレビとしても使えるデスクトップモデルでは、通常のPCと同じような至近距離からは操作しにくい場合があるし、画面が広いせいでタッチ操作する腕が疲れやすいこともある。ハンドジェスチャーとSense YOU Technologyによる、ちょっと離れた場所からのリモートコントロール的な操作方法は、これからの大画面デスクトップPCには必須の要素ではないだろうか。
(日沼諭史)
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