女性向けのデザインで注目を集めた初代「Floral Kiss」の登場から2年
富士通のノートパソコン「LIFEBOOK」のひとつである「Floral Kiss」(CHシリーズ)は、「女性のためのノートPC」を謳い、2012年の登場時は女性誌にも多く取り上げられた特長あるモデルだ。富士通の女性社員たちが主導して開発したシリーズであり、「イケメン執事」が登場するイベントが行われるなど、メディアでもよく取り上げられた。記事や店頭で目にした人も多かっただろう。
初代Floral Kissは、ピンクやホワイトなどのかわいらしいカラーバリエーション、ディスプレイ開閉時にネイルを傷つけないクラッチバッグのような形状、各部にきらめくストーンなど、まるでコスメのような、こだわりのデザインが目を引くモデルだった。光学ドライブは付いておらず、ネットワークの接続も無線LANのみ。簡単に言うと「デザインに徹底的にこだわったUltrabook™」という位置づけだった。
そして今回発表された第二弾となるFloral Kissは、初代Floral Kissに寄せられたユーザーの要望を大きく取り入れ、オールインワンとなって生まれ変わったノートパソコンである。カラーバリエーションは2色展開で、それぞれ2色の切り替えが入ったバイカラーの天板が特徴的な、バッグや靴をイメージするデザインへ変更された。白×茶の落ち着いた色合いの「Clear White with Brown」と、赤×ベージュの上品な「Elegant Red with Beige」で、どちらもパーソナル用途はもちろん、ビジネスで使っても違和感のない、「大人の女性向け」といった雰囲気のデザインだ。
光学ドライブ内蔵や駆動時間大幅アップでバリバリ使えるオールインワンノートPCに
まずは、今回のFloral Kissと初代との違いを見てみたい。
女性から大きな要望があったという「DVDスーパーマルチドライブ」を今回新たに搭載したため、CD-Rへの書き込みや、DVDからのインストールにも困らない。CPUは第4世代 インテルⓇ Core™ i5-4200U プロセッサーで、前機種よりも高速化。4GBのメモリ、約500GBのHDDなどのスペックは前モデルと同様で、これ1台で使えるオールインワンノートパソコンの仕様と言える。
本体サイズは初代の17.5mmから22.5mmと最厚部は増したが、フットプリント自体は322mm×228.5mmから、319mm×220.9mmへと小さくなっている。一方で重さは約1.45kgから約1.72kgへと増えたが、光学ドライブがついての差であればこれは許容範囲だろう。
ディスプレイの大きさは前機種同様13.3型だが、解像度がHD(1366×768ドット)からフルHD(1920×1080ドット)に高解像度化した上、タッチパネル化。OSもより使いやすくなったWindows 8.1を搭載している。日頃スマートフォンを使っているのと同じ感覚でタッチ操作が可能だ。
13.3型という大きさはモバイルノートPCの代表的なサイズだ。Floral Kissの場合、光学ドライブ内蔵でも約1.72kgとぎりぎり軽量ノートの範囲に入り、全体的な大きさも持ち運びに無理のないサイズに収まっている。なにより、駆動時間が初代から比べて倍増した(JEITA1.0で約17.8時間、JEITA2.0基準で約9.1時間)ことで、一日外で使っても心配ないのがうれしい。
シンプルかつ上質になったキーボード面。安心できる拡張性の高さも魅力
初代Floral Kissで好評だった、英数字だけが刻印されたキーボードは踏襲。長いツメでも打ちやすい大きなキーで間隔も広く、快適なキーピッチやキーストロークが保たれている。アクセントカラーに色付けされたファンクションキーなどは、迷ったときすぐに見つけられ、ストレスなく使えて、実際に使ってみると印象はいい。
また、パール調だった電源ボタンはステータスLEDに合わせてビジューに変更され、雰囲気が統一されている。ちなみにACアダプタはシンプルな白であれば充分だというユーザーからの声を反映し、本体接続部に付けられていた大きなダイヤモンドカットストーンの飾りは今回付いていない。
細かい部分では、有線LAN端子が搭載されたほか、USB 3.0端子も3つに増え、HDMI出力端子も新たに搭載された。SDカードスロットは位置を前面に変えて搭載されている。
専用アプリケーションは、初代では「DIARY」「SCRAPBOOK」「12星座占い」が付属していたが、今回はターゲットとする「ちょっと大人」な働く女性に人気があるコンテンツに変更された。Webスクラップができる「SCRAPBOOK」はUIやタッチの操作性を向上し継続して搭載されるが、「DIARY」と「12星座占い」に代わり、女性向け旅行ガイドブック「ことりっぷ for Floral Kiss」と、フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」監修の本格的なエクササイズを、気になる部位別や家中のシチュエーションに合わせて行なうことができる「BIKATSU Life」を新たに用意した。知的好奇心が高く、自分磨きに余念がないユーザー層により役立つコンテンツが搭載されている。そのほかにも、Microsoft Officeがプリインストールされ、オリジナルデザインのテンプレートを購入特典としてダウンロードできる。
このほか、富士通のFMVシリーズに共通で搭載されている個人向けクラウドサービス「My Cloud」も搭載。写真・動画の管理や共有が簡単に行える。最初にひととおり使えるようになるまで少し手間がかかるが、使い慣れるとスマホやテレビとの連携にとても便利なので、ぜひ使いこなしたい。
スタイリッシュさがプラスされ「定番モデル化」への道を進むFloral Kiss
初代のFloral Kissは、今見てもかなりトガった、インパクトのあるモデルだったのだが、それに比べると今回はデザイン的にはややシンプルで落ち着いたように見える。初代で高い評価を得た部分を継続し、不要だったり凝り過ぎとされた部分は思い切ってそぎ落としたようだ。その一方で、DVDスーパーマルチドライブや有線LANの端子を搭載するなど実用面では大幅にパワーアップ。単なるバージョンアップというより、違うシリーズが登場したかのような大変身だ。
もともと、Floral Kissは登場時から20〜30代女性をターゲットにしていたモデルだったが、実は10代の女性にも結構売れたそうだ。Ultrabook™ならではのスペックや、10代〜20代までの方が似合いそうな「かわいい」カラバリがあったので、ある意味納得だ。ただ、女子といっても十人十色で、初代Floral Kissが放つ「女子力」が高すぎて引いてしまう層もいたかもしれない。
それに比べると今回のモデルは30代、40代の女性が仕事で使っても浮かない、落ち着いた雰囲気がある。「気持ちが上がるデザインのノートパソコンを使いたいが、ちゃらちゃらしてると思われたくない」という、働く女性の微妙な心理を上手く表現してくれているように思う。「働く大人の女性にフィットするもの」を意識して作られただけに、ちょっと本気で使う人にも過不足ないモデルに仕上がっている。見た目は女性向け、中身は堅実なノートPCとしておすすめだ。
NEW「Floral Kiss」 | |
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品番 | LIFEBOOK CH75/R |
CPU | インテル® Core™ i5-4200U プロセッサー |
OS | Windows 8.1 |
ディスプレイ | 13.3型 フルHD[1920×1080](タッチパネル) |
メモリ | 4GB |
ストレージ | HDD 約500GB |
バッテリ駆動時間 | 約17.8時間(JEITA1.0) 約9.1時間(JEITA2.0) |
有線LAN | ○ |
USB/HDMI | USB3.0×3, HDMI出力×1 |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ |
サイズ(W×D×H) | 319×220.9×10.9~22.5mm |
重さ | 約1.72kg |