ノートブックに限らず、PCのディスプレイ解像度の進化は、フルHDあたりでなんとなく停滞気味な雰囲気がある。地上デジタル放送をPCディスプレイで見ることも想定すれば、たしかにフルHDが都合がいいのだろうし、実際のところフルHDもあれば、一般的な使い方では十分という考え方もあるだろう。
ただ、PCのさまざまな機能を活用することを考えると、Windowsのデスクトップはやはり広ければ広いほどうれしい。特に画質が年々進化しているデジタルカメラ、あるいはスマートフォンのカメラなどは、ディスプレイ以上の解像度で撮影できる機種が多く、解像度が足りない画面上では写真が極端に縮小表示され、ディテールやリアリティが損なわれた形で見ることになってしまいがち。
富士通が発売している「FMV LIFEBOOK SH90/M」は、そういったよくある残念な状況とは無縁の超高解像度が魅力。しかも公称約21.1時間という圧倒的なバッテリ駆動時間を誇るうえ、モバイル・マルチベイ採用で拡張性にも優れる。富士通のこだわりの詰まったウルトラ・スタミナノートブックだ。
魅力大の高精細WQHDディスプレイと長時間駆動バッテリ
まず、「FMV LIFEBOOK SH90/M」の基本スペックは下表の通り。
品名 | LIFEBOOK SH90/M |
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CPU | インテル® Core™ i5-4200U プロセッサー(最大2.60GHz) |
OS | Windows 8.1 64ビット版 |
メモリ | 標準4GB (2GB x 2)/最大10GB |
ストレージ | 約500GBハイブリッドHDD (HDD+NAND型フラッシュメモリ) |
液晶 | 13.3型ワイドWQHD[2560×1440] Wide Angle液晶 フルフラットファインパネル IGZO(タッチ対応) |
光学ドライブ | スーパーマルチドライブ(DVD±R DL(2層)書き込み対応)[着脱式] |
サイズ | W319×D215×H13.6~19.8mm |
質量 | 約1.48kg(モバイル・マルチベイ用カバー装着時) 約1.59kg(スーパーマルチドライブ装着時) |
駆動時間 (JEITA(Ver.1.0)) | 約21.1時間(内蔵バッテリパック) 約28.1時間(内蔵バッテリパック+増設用バッテリ(オプション)) |
付属ソフト | Microsoft Office Home and Business 2013 ほか |
1.60GHzのインテル® Core™ i5-4200U プロセッサー(インテル® ターボ・ブースト時最大2.60GHz)、メモリ4GB(最大10GB)、ハイブリッドHDD約500GBを搭載し、GPUをCPU内蔵のIntel® HD Graphics 4400とした、Haswell世代のWindows 8.1(64ビット)ノートブックPCだ。
特徴的なのは、モバイル・マルチベイに光学ドライブや増設バッテリ(オプション)など様々なモジュールを載せ替えて使えること。標準ではCD/DVDの書き込みに対応したスーパーマルチドライブを内蔵しているが、添付のモバイル・マルチベイ用カバーに交換して重量を軽くすることもできる。
ほかにも5GHz帯対応のIEEE802.11a/b/g/n準拠の無線LANと、1000BASE-T対応の有線LAN、Bluetooth v4.0+HSに対応。SDカードスロット、USB 3.0、HDMI出力端子などのポート類も充実している。サウンド出力は24ビット/192kHzまで可能になっており、今話題のハイレゾ音源の再生もカバーするのがうれしい。
また、富士通直販サイト WEB MART限定のカスタムメイドモデルでは、より上位のCPUやSSD、Blu-ray Discドライブなども選択できる。
本体は、A4サイズよりわずかに横方向に長い程度で、重量約1.48kg(モバイル・マルチベイ用カバー装着時)と、持ち運びにも対応する大きさ。アーバンホワイトとスパークリングブラックの2種類のカラーバリエーションがあり、アーバンホワイトを例に取ると、天板と底面がカジュアル感のある樹脂素材、キーボード周りは金属素材で、エッジ部が斜めにきれいに切り落とされた”ダイヤモンドカット加工”が映える。
ちなみに、筐体は”超圧縮ソリッドコア”と呼ばれる構造で、キーボード部と底面を貼り合わせた際にサイド部分が二重になる設計となり、従来よりも高い荷重に耐えられるという。最薄部で約13.6mm、最厚部でも約19.8mmと薄型ながら、天板全体に約200kgfの力が加わっても耐えられる。満員電車などでも安心だ。
しかし、なんといっても一番の特長は、圧倒的に高精細な13.3型「IGZO」ディスプレイ。WQHD(2560×1440ドット)というフルHDを優に超える解像度で、デスクトップ上の小さな文字や画像の細部まで鮮やかに映し出す。画面をひと目見ただけで、明らかに文字のエッジの滑らかさが違うことがわかるはずだ。
さらに、もう1つの大きな特長として、バッテリ駆動時間の長さが挙げられる。内蔵の標準バッテリで公称約21.1時間動作するとしており、これは実質的に日中2日間使っても充電が不要なレベル。しかも、オプションで増設用バッテリも用意され、併用すると28時間以上動作するという。
富士通製品らしく、指紋認証機能もしっかり用意。あらかじめ付属ツールの「OmniPass」で設定を行っておけば、パームレスト部の横に設けられたセンサーを指でなぞるだけで、Windowsのログインはもちろんのこと、各種Webサービスなどのログインも行える。普段使いでパスワード入力の機会が少なくなると、それだけでもストレスの軽減につながるものだ。
超高解像度「IGZO」ディスプレイは写真閲覧に最適!
13.3型で2560×1440ドットの超高解像度「IGZO」ディスプレイは、やはり写真閲覧時にその威力をいかんなく発揮してくれる。冒頭で述べたように、近年のデジタルカメラの画素数は膨大。エントリーレベルのコンパクトモデルでも、あるいはスマートフォンのカメラ機能でも、4000×3000ドット以上という巨大な写真を撮影できてしまう時代だ。
そんな大きな写真を従来のフルHD以下のディスプレイに全画面表示で映し出した場合、縮小処理され解像度は本来の4分の1以下となってしまう。つまり、目に見える情報も4分の1以下になっているということ。せっかく元の写真は高解像度なのに、常に情報量の少ない画像を見て我慢するしかないのは、非常にもったいない。より精細に画像を再現するには、可能な限り解像度の高いディスプレイが必要なのは自明だろう。
「FMV LIFEBOOK SH90/M」の超高解像度ディスプレイであれば、そういった大きな写真のディテールを大きく損なうことなく、美しいままで表示できる。幅4000ドットの画像では3分の2ほどに縮小されてしまうことになるが、情報量としてはフルHDとは比較にならないほど多い。実際に撮影した写真を映し出してみれば、驚くほど鮮明で、リアリティのある見栄えを実感できる。今まで撮影してきた大量の画像を、思わず全部振り返って見てみたくなってしまうほど……。
手間なしで快適に写真を閲覧・管理できる富士通オリジナルアプリ・サービス群
というわけで、「FMV LIFEBOOK SH90/M」では画像閲覧が最高に面白くなるわけだが、それをきっちりサポートしてくれるツールが標準でいくつも用意されている。それが、「My Cloud」シリーズとして展開している富士通独自のアプリ・サービスだ。
「My Cloud」シリーズには、家電を操作する「My Cloud エコ」や、外出先からPC内のデータにアクセスできる「My Cloud モバイルアクセス」といったサービスもあるが、写真については「My Cloud ライブラリー」「My Cloud スタート」の2種類のアプリを活用して閲覧や整理が可能となっている。
まず「My Cloud ライブラリー」だが、これは富士通独自のクラウドを用いたコンテンツ管理サービスだ。最初にユーザー登録すると、無料で5GBのオンラインストレージを獲得でき、ここに「My Cloud スタート」などを通じてデータを保管できる。有料会員になれば画像だけでなく動画やオフィス文書など、最大で100GBまで保管できるようになるが、写真を扱うだけであれば無料会員でも十分。容量が不足してきた時に有料会員への移行を検討すればよいだろう。
「My Cloud スタート」では、PC内にある画像や音楽、動画、各種文書ファイルなどを自動で収集し、まるで本棚のような見た目のインターフェースでコンテンツを一覧表示できる。とりあえずデジタルカメラの画像をPCにコピーしておけば、写真などのデータが日付やフォルダごとにまとめられて”棚”の上にサムネイル表示され、選ぶと自動でアルバム風にレイアウトされた形で写真を閲覧していける。このレイアウトのされ方とページめくりの演出が秀逸で、タッチ対応ディスプレイのフリック操作でどんどん流し見していくこともできるし、1枚ずつ大きく表示してじっくり鑑賞することもできる。もちろん自動再生機能でスライドショーを表示させることも可能だ。
「My Cloud スタート」の写真表示はWindows 8標準のフォトビューワー機能と似ているところもあるが、機能ははるかに豊富。1日単位、月単位、年単位のそれぞれで写真を一覧できるようになっており、たとえば月単位の表示では、カレンダー風画面の日付マス内にその日の画像がサムネイル表示され、その日にどんなことがあったのか、ひと目で思い出すことができる。目立つ機能ではないが、こういうちょっとした工夫が使い勝手の良さに大きく結びついたりするので、うれしいところだ。
とにかく「My Cloud スタート」で画像をPCにコピーしておけば、勝手に画像の日付情報から判断して整理された形で閲覧できるので、写真整理の手間がほとんどかからないのがウリというわけだ。
スマホ連携が想像以上に簡単! デジタルカメラ画像も楽に転送
写真を自動で整理してくれるのはいいけれど、その写真をPCにコピーする手間はやっぱりかかるんでしょ? と思ってしまうかもしれない。「FMV LIFEBOOK SH90/M」では、実はそのあたりもしっかり考えて作られている。
スマートフォンを使っている人なら、富士通のデータ取り込み機能「F-LINK」を利用して簡単な操作をするだけで、スマートフォンから「FMV LIFEBOOK SH90/M」にワイヤレスで写真を送信できる。「FMV LIFEBOOK SH90/M」上で「F-LINK」を起動し、同じくAndroid/iOS端末の両方に用意されている「F-LINK」アプリをインストールしてボタンを何回かタップすれば、ほとんど自動で互いをWi-Fi接続し、高速で写真や動画を転送してくれる。
外出先から帰ってきたら、スマートフォンで撮影したその日の写真を一気に転送するという使い方だけでなく、自宅で撮影しつつすぐに転送して「FMV LIFEBOOK SH90/M」の大画面でしっかりプレビューする、なんて活用方法も面白い。スマートフォンの小さな画面ではきれいに見えても、大画面でよく見るとブレていて撮影に失敗していた、というのもよくあることなので、超高解像度の「FMV LIFEBOOK SH90/M」が活躍する場面は多いのではないだろうか。
なお、デジタルカメラを使っている人は、多くのモデルで採用されているSDカードを「FMV LIFEBOOK SH90/M」の本体前面のSDカードスロットにサクッと差し込むだけで、「F-LINK」が起動して写真・動画を自動的に取り込める。このようにごく少ない手順をこなすだけで、美しい大画面での写真鑑賞が楽しめるようになるのだ。
超高解像度は写真以外にも活躍する
PCとしての基本的なスペックは高いレベルを達成しつつ、ハードな使用にも耐えうる筐体構造や指紋認証などの周辺機能の充実で幅広い層に受け入れられる製品に仕上げ、さらに超高解像度ディスプレイと長時間駆動バッテリでこれまでにない新たな魅力を創造した「FMV LIFEBOOK SH90/M」。ソフトウェア面でも「My Cloud」や「F-LINK」という独自サービス・アプリに磨きがかかり、Windows 8入門ユーザーから上級ユーザーまで、誰もが使いこなしやすくなったと感じる。
今回ご紹介したように、写真の閲覧・整理に便利な機能がたくさん詰め込まれているが、超高解像度の画面は必ずしも画像表示だけに役立つものではない。プライベートにも、ビジネスにも、「FMV LIFEBOOK SH90/M」の性能を余すことなく発揮できる場面は数多くあるはずだ。
(日沼諭史)