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市場が負う“高いツケ”

 「マーケットの価格決定機能を無視し、相場を操作したツケが回った」(外資系証券幹部)  NTT(9432)株の第6次放出価格を少しでも底上げしようとの狙いから実施されたPKO(プライス・キーピング・オペレーション)に、市場関係者の間から不満が噴き出している。露骨な“買い支え”の結果、肝心のNTT株の放出価格(94万9,000円)が昨年の第5次放出価格(166万円)を大幅に下回った上に、相場全体のバランスを崩してしまったためだ。

 ●連れ安防いだ「絶対下げない相場」
 米国の代表的な株価指標であるダウ工業株30種平均とナスダック総合指数が調整色を強めたのは10月に入ってから。4月の銘柄入れ替え以降、日経平均株価は米国市場の動向をよりストレートに反映する指数に変わったが、この時期はなぜか米国株安に連動しなかった。

 「景気が減速気味にある米国と比べ、企業業績が回復局面にある日本が下げるのはおかしい」。新聞の株式面には、こうした類のもっともらしい解説が掲載されたが、実態は違う。「絶対に下げない相場」(大手証券幹部)が形成されていたからだ。

 中東情勢緊迫化から急落した米国の株価動向を受け売り圧力が高まった13日、日経平均は1万5,000円の大台割れが必至とみられていた。

 が、「下げない相場」を読んでいた向きはいたって冷静。「大手証券や外資系証券、内外の投資信託会社を通じて出された指値の買い注文が現物株市場や先物市場に並んでいた」(銀行系証券関係者)からで、この日に限らず、相場全体が下がりそうになったタイミングでは、露骨な“買い支え”が実施されていたもようだ。

 ●相場のバランス崩した罪
 市場関係者によると、この時期は本来1万4,000円台半ばまで日経平均が下がっても当然の展開だったという。にもかかわらずPKOで下支えしたために「余計な売りのエネルギーが蓄積されてしまった」(外資系証券幹部)ことは否めない。

 10月中旬にダウ指数が1万ドルの大台を割り込み、世界同時株安懸念が急浮上した前後には「さすがに買支えが無理とみたのか、不自然な買い注文はみられなかった」(米系資産運用会社)。が、一方で蓄積されていた売りエネルギーが放出された結果、東京市場全体の下げ足を加速。平均株価があっけなく1万4,000円台半ばまで下落した。

 「NTT株の放出価格が決まり、買い支えが消えた分だけ、下落の圧力をもろに受ける形」(米系証券)となり、未だに高いツケを払わされ続けている格好だ。  大蔵省は売却益を金融破綻処理の損失穴埋めに使う交付国債の償還財源に充てるが、自らのオペレーション・ミスが放出価格の下落を招いたことだけでなく、相場全体のバランスを崩してしまったことをどう受け止めているのだろう。

■URL
・NTT(持株会社)
http://www.ntt.co.jp/

・NTTが初の公募増資、売り出しとあわせ130万株
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/09/29/doc568.htm

相場 英雄
11月1日
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