今月22日にマイクロソフトが発売したWindows Millennium Edition(Windows Me)が、発売初日で16万3,000本の販売本数に上っていることが分かった。BCN総研の調べによるもので、初日としては“Windows 98”を上回る感触だ、とまとめている。しかし、一方では発売初日の売上高のデータについては、確定した比較データはなく、「好調さ」には不確定な要素が多いほか、マイクロソフト自身が「積極的に売ろうとしていないのではないか」とみる業界関係者も目立っている。国内のパソコン市場が坂を下り始めているだけに同OSの動きに熱い視線が集まっている。
Windows Meは、22日の午後4時から発売を開始した。95や98で行った発売前日深夜からのカウントダウンは一切せず、地味な扱いに終始した。そこでマイクロソフトとしては学生やサラリーマンの帰宅時間に間に合うような発売開始時間を選び、さらに全国で2万7,000カ所以上に及ぶ複数のコンビニ系による販売にも踏み切った。
この結果、BCN総研の調査によれば“発売前の冷めた雰囲気とは逆に販売実績が順調なことを裏付けるコメントが多くあがって”おり、“OSのパッケージ販売としては好調な滑り出しといえる”状況となった。
しかし、販売初日の売上本数については明確な比較対象のデータがない。マイクロソフトは「95は発売後4日間で20万本、98は2日間で25万本だった」としているだけだし、オンライン販売やコンビニでの購入が直接、今回の16万3,000本という数字につながったのであれば従来からのパソコン販売店における店頭購入の比率は下がったとみるのが妥当のようだ。
●マイクロソフトはWindowsの統合化に躍起?
また、パソコン関連商品の国内売上高は今年7月までは順調に伸び続けたものの、8月以降は下がり続けているとみる流通関係者が多く、これは9月に入っても同様で現時点でも「下降傾向に歯止めは掛かっていない」とする意見が圧倒的だ。
つまり、Windows Meの販売開始や出足好調は、マーケットにはほとんど寄与していない可能性がある。さらに21日、富士通との発表のために来日した米マイクロソフトCEO(最高経営責任者)のスティーブ・バルマー氏と日本法人社長の阿多親市氏も22日の発売当日は、発売の現場には現れておらず日米ともに以前から業界内で言われていた「マイクロソフトはあえてMeを売ろうとしていない」の言葉と一致する言動もある。
関係筋は「マイクロソフトはここ数年でコンシューマー向けのOSとエンタープライズ向けのOSとを統合しようと躍起で、単独のコンシューマー用OSとしては最後となるはずのMeにそれほど力を入れていない」との見方でほぼ一致している。いずれにしても、景気回復をけん引役を務めてきたパソコン商品に陰りがみえ始めた今夏以降、起爆剤にもなり得たWindows Meがマーケット全体にカツを入れるかどうかは不透明といえそうだ。
■URL
・Windows Meの特別パッケージ販売開始
~販売価格は5,480~6,000円、売れゆきはまずまず
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20000922/winme1.htm
・マイクロソフト
http://www.microsoft.com/japan/
・BCN総研ニュースリリース
http://www.computernews.com/marketview/marketview.htm
市川 徹
9月29日
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