ソフトバンク(9984 東1、3,830円)投資先の投資倍率(時価/投資簿価)は2000年3月期には12倍であったが、現在では4.4倍に低下している。今後もこの投資倍率が続くと想定すると、投資資金を回収するには投資簿価の約20%が株式公開することが必要となる。ネット関連企業への投資は既に10社のうち1社が株式公開すれば投資資金を回収できる状態にはないのである。
同社のグループ企業は2000年9月末には609社に達した。投資倍率の低下、およびネット関連産業が導入期から成長期に移行しつつあることを考慮すると、投資先の数よりも質の重要性が高まりつつある。
ネット関連企業の株価は調整局面が続いており、投資家が懸念しているのはネット関連企業の将来の収益力である。ネット関連企業への投資ポートフォリオを構成する同社にも同じ懸念が当てはまる。今上期の持分法損益は68億円の赤字と赤字幅は拡大しており、同社の投資先の収益力も楽観できるものではない。
1株当り時価純資産価額は約4,087円となり、現在の株価と乖離幅が小さいため、レーィングは「保有」とする。時価純資産には、(1)純資産(3,839億円)、(2)上場企業株式の含み益(389億円)、(3)未上場株式の将来の含み益(9,091億円)、そして(4)ファンドからの成功報酬(241億円)を合計した。
株価(円) |
3,830
|
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52週レンジ(円) |
3,780-60,667
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(2000年12月22日) |
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発行済株数(千株) |
330,068
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時価総額 (十億円) |
1,264
|
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ROE(%) |
9.5
|
決算期 |
99/3
|
00/3
|
01/3予
|
02/3予
|
売上高 (十億円) |
528.1
|
423.2
|
379.5
|
440.3
|
EBITDA (十億円) |
43.4
|
160.1
|
17.5
|
20.4
|
経常利益 (十億円) |
-15.4
|
-51.9
|
-7.5
|
-8.7
|
当期利益 (十億円) |
37.5
|
8.4
|
39.6
|
42.7
|
EPS (円) |
365.4
|
78.1
|
119.9
|
129.3
|
PSR (倍) |
2.4
|
3.0
|
3.3
|
3.9
|
PER (倍) |
10.5
|
49.1
|
10.5
|
12.2
|
(注)EBITDA:償却前営業利益
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